ここでは、ヨーヨーの構造のうち、ボディ(Body)について解説する。
概要
ヨーヨーの本体。
ヨーヨーの運動エネルギーを保存する、一種のフライホイールとしての役割を担う。
ボディの材質と形状によって、性能に大きく差が出る。
基本的には、重心を外寄りにして慣性モーメントを稼ぎ、スリープ時間を延ばすと共に傾きにくくする。
しかし、いたずらに外寄りにしても動かしづらいヨーヨーになってしまうことがある。
設計者が最も頭を悩ませる部分である。
重量配分を偏らせるため、別材質で「おもり」を作ることがあり、リムウェイトと呼ばれる。
詳しくは「リム(ヨーヨー)」の記事を参照。
材質
様々な材質が使われているが、一長一短あり、何が一番よいということはない。
主に、キャッチ時の感触とヨーヨーの総重量に影響する。
重いほどスリープ時間が長くなるが、あまり重いと使いづらいヨーヨーになる。
できれば物理店舗や練習会で実際に触らせてもらい、納得したものを選ぶようにしたい。
プラスティック
おもちゃのヨーヨーから競技モデルに至るまで、幅広く使われる材質。
安価で、軽いので動かしやすく、怪我もしにくい。
ABS樹脂
→ABS
アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂。
頑丈で、様々な色をつけられる。
しかし、「頑丈」といってもヨーヨーの材質としてはこれでも脆すぎ、現在ではポリカーボネートにその座を譲りつつある。
軽く、値段が安いので、格安機種には使われることがある。
ポリカーボネート
「象が踏んでも壊れない」アーム筆入にも採用された、極めて頑丈なプラスティック。
色も透明で美しく、ハイエンドプラスティックモデルにはよく採用されている。
ポリアセタール樹脂(POM)(デルリン・ジュラコン・セルコン)
柔らかく、剛性の高い樹脂。
柔らかさと壊れにくさを併せ持ち、ヨーヨーとの相性がよい。
ゴム
ゴムは基本的にリムウェイトの材質であり、本体に使われることはあまりない。
使われる場合はオフストリングヨーヨーがほとんど。
摩擦力が大きく、ストリングが当たると急減速するため、当たらないように工夫されている。
金属
金属製のヨーヨーは、重いのでスリープ時間が長い。
また、プラスティックに比べて精度が出しやすく、ブレの少ないヨーヨーが作れる。
総金属製のヨーヨーが出始めたのは1990年頃だが、この頃は非常に高価な割にプラスティックと大差ない性能であったため、もっぱらコレクションモデルであった。
2006年頃から実用的なフルメタル機種が出始め、現在ではプラスティック金属リム機種と評価が逆転。トーナメントモデルのスタンダードとなった。
アルミニウム合金
金属製ヨーヨーの主流。軽く、加工しやすく、価格も(他の金属に比べれば)安い。
様々な種類の合金があり、ヨーヨーで主に使われるのはA6061, A7075, A7068など。
チタン
→チタン
硬く、さびに強く、アルミニウムよりは重いが真鍮やステンレスよりは軽い。
ほどよい重さが抜群のフィーリングを生み、ヨーヨーには最適の素材である。
ネックは価格で、普通は1個3万円を超える。10万円近いものも珍しくない。
(アルミニウム機種は3000円-15000円程度)
アルミ製でも十分な性能なので、相当こだわる人向け。
「ラフトヴァーク」のようなチタンヨーヨー専門メーカーも存在する。
マグネシウム
周期表を見ればわかるとおり、ヨーヨーに使える金属の中では最も軽い。
これでヨーヨーを作れば、プラスティック機種並の超軽量ヨーヨーができあがる。
へこみ耐性が大きく、工作精度も出しやすい。
切りくずが非常に燃えやすく、消火も極めてしにくい。
製造に特殊な設備を必要とし、価格も高価である(チタンに比べれば安いが…)。
ステンレス
極めて硬く、さびにくく、価格もそこそこ。
ただし普通サイズのヨーヨーでは重すぎるため、ミニサイズのヨーヨーに用いられる。
ブリキ
いわゆる「ブリキのおもちゃ」として、かつてはブリキ製ヨーヨーが多数作られた。
世界初の総金属製ヨーヨーも、おそらくブリキだっただろう。
強度が極めて低く、メッキがはげるとすぐさびるため、競技用には向かない。
木
世界初の近代ヨーヨー「フローレス」は、カエデの木を削り出して作られた。
その後「ダンカン・インペリアル」が登場するまで、ヨーヨーといえば木でできているものだった。
現在、トーナメントモデルが木で作られることはないが、柔らかい感触からファンが多く、ハイテクヨーヨーを作っているメーカーでも木製ヨーヨーを作る例がある。
- フローレスヨーヨー(ダンカン・フローレス)
- ダンカン・トーナメント
- BC・スピットファイヤー
- トム・クーン・3in1ノージャイヴ
- ヨメガ・パンサー
- ヨーヨーファクトリー・レジェンド
- ヨーヨージャム・ジャムブー 竹製ボディ・アルミリムのヨーヨー
形状
ヨーヨーのプレイスタイルは、基本的に形状によって分けられる。
ルーピングプレイタイプとストリングプレイタイプは形状が全く異なり、基本的に両立はできない。
ルーピング
トラピーズ有効幅が狭いタイプのヨーヨー。
ヨーヨーのフチにストリングが当たり、ヨーヨーが反転しやすくなるため、ルーピングに向く。
レイダー
かつては「ノーマルシェイプ」と呼ばれていたが、今やワイドバタフライ形状のヨーヨーの方が遙かに多くなり、ふさわしい名前ではなくなってしまった。
現在ではほとんどのルーピングヨーヨーがこの形なので、これを「ルーピング型」と呼ぶこともある。
インペリアル
「ダンカン・インペリアル」と同じ、マカロンのような形状。
世界最古の近代ヨーヨー「フローレス」から連綿と続く伝統の形である。
ループ向け固定軸ヨーヨーのほとんどがこの形状である。
持ちやすいため、ボールベアリング機でも初心者向けの一部機種に採用されている。
プロフェッショナル
「ダンカン・プロフェッショナル」や「コカコーラヨーヨー(1976年版)」に採用されている、薄型のどら焼きのような形状。
かつてはルーピングに向くとされ、「ループ・ザ・ループ」耐久ではハイパーミレニアムがよく使われていたが、トリックが高度化するにつれて「エッジが効きすぎてもかえって使いづらい」ということで、レイダー形状が主流になった。
バタフライ
「ダンカン・バタフライ」をはじめとする、鼓型の形状。
「トラピーズ」など、ストリングの上にヨーヨーをのせるトリックがやりやすくなっている。
横から見た形状によって分類される。
ナロー
元祖「ダンカン・バタフライ」から第1期ハイパーヨーヨーの頃までの「バタフライ型」。
その後のヨーヨーはどんどん幅広になっていったので、現在ではこちらが「狭いバタフライ」になった。
ストリングもループもそこそここなせる。
そのため、現在でも初心者向け機種に採用される。
ストレート
ラウンド
丸いバタフライ。
手に持ちやすいので、かつてはカウンターウェイトプレイに重宝された。
中心部の傾斜がゆるいため、スリープロスが大きく、最近はあまり作られていない。
ステップ
中程に段をつけた形で、現在の主流。
中心部の傾斜をきつくすることで、ストリングがフチに当たる面積を減らすことができ、傾いたときのスリープロスを軽減する。
Hプロファイル
フチに段を設けた、横から見るとHに見える形状。慣性モーメントの向上につながる。
インバースラウンド
横から見ると、逆方向に弧を描いて見える形。
スリープロス軽減と持ちやすさを両立している。
オフストリング
有効幅がとてつもなく広い。
通常はオフストリング専用機種で、オンストリングには向かない。
パゴダ
パゴダ(pagoda)とは「仏塔」の意。
片方がインペリアル、もう片方がバタフライの左右非対称シェイプのこと。
デフォルトがこの状態のヨーヨーは現在のところない。
インペリアル型にもバタフライ型にもカスタムできるヨーヨーの、「3通りの形状に組み替えられるよ」という宣伝文句のための形状である。
非回転体
丸くないヨーヨーもごくわずか存在する。
もちろん競技向けではなく、コレクションモデル。しかしながらメーカーは割と本気で作っている。
「くまめキーホルダーヨーヨー」は、おそらく史上初の回転対称形ですらないモデル。これでトリックができると自慢できる。
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関連項目
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