マウンティング(mounting)とは、同種の生物の間で、交尾のために、またはより力のあるものがより弱い相手に乗っかること。
概要
マウンティングは、野生動物の間で、交尾のためにオスがメスに乗っかる行為、またはより力のあるものがより弱い相手に力関係を示すために乗っかることをいう。
生物間でのマウンティングは、上位の生物が相手に乗っかり下位の生物がそれを受け入れておとなしく乗られることにより、「どちらが上の存在でどちらが下の存在か」というのを確認し合うために行われる。きちんと上下関係を作ることにより、自分の立ち位置をお互いに理解しあい秩序を保つために必要な行為である。
猿などはマウンティングを行うことにより上下関係をはっきりさせておく典型的な例であり、他に下位の猿が自ら率先して相手の毛づくろいを行うことで自分が下位の存在であることを見せていたりする。
ただ、ボスが衰えてきたり若手が台頭するなどしてグループの秩序が保てなくなってきたときボスの交代劇は存在する。基本的に負けたボスは、追放されるか自ら出ていくかになる[1]。
新しく就任したボスはグループの猿たちに恭順を誓わせるために改めて背中に乗っかり「どちらが上か、どちらがボスでどちらが手下か」を示すということになる。
そこから転じて、学歴、職業、社会的地位、年収、家柄などで自分の方が上であると主張すること。
また相手の不備や長幼の序を指摘することで、より自分が優位であることを示そうとすることをいう。
相手の問題点やミスを指摘する際には、「そういう問題を起こしていない自分のほうが優れている」という意味も言外に含まれていることがあるため、マウンティングの一種と考えられている事から、モラハラやパワハラなどハラスメント行為の一種とされる場合もある。[2]
マウンティングゴリラ
マウントをとることで自分の価値を示そうとする人のことを「マウンティングゴリラ」と呼ぶ。ムーギー・キムの2019年の著書での造語とされているが、Twitterでは2014年ごろから同様の用例がある。
ただし、もともとのゴリラはやたらと自分の力を誇示するためにマウンティングをしているわけではないので注意。
なお、ここでゴリラの名誉のために書いておくが、ジャングルに住む本当のゴリラは、いたずらに自分の力を見せつけるためにその胸をたたくことはない。敵や別のゴリラが近寄ってくるなど、自分の守るべき群れに脅威が迫った際にドラミングをする。大変な力持ちなのに普段はそれをひけらかさない、まさに見上げた霊長類なのだ。
それとは逆に、限られた基準で自分の価値をアピールし、必要もなしにマウンティングにかかる人間は、内心が不安でいっぱいだからその胸をたたいているのである。こうした悲しい習性を持つ人間を、私は“マウンティング・ゴリラ”と名付けた。
ムーギー・キム「"中途半端なエリート"ほど不幸になる理由―相対評価に軸を置いてはいけない」(PRESIDENT Online)
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関連項目
関連リンク
- 勝手に判断、単独行動、大迷惑な部下とは - あからさまなマウンティング問題 (プレジデントオンライン 2018年3月5日号)
- マウンティングが止まらない! オフィスにいる「俺の方が上」人間に気をつけろ! (Business Journal 2017.09.06)
- 会話でマウンティングしがちな人の心理とその対処法(名越康文) (TOWNWORKマガジン 2017年04月05日)
脚注
- *残ったとしてもかつて自分の下だった相手に今度はマウンティングされることになるため屈辱的ではあるだろうし、居たら居たでボスの座奪還を恐れた新ボスにグループを追放される可能性もある。
- *本当に心配して行っていることや本当の正義感であることも可能性として考えられるが、いくらそうであったとしても相手が不快に思うこと(ハラスメント)や人間関係や秩序を破壊して人員が退職したり部署異動するなどの実害をもたらすといった結果においては、「正しいことだった」「自分が上だ」という個人の観点ではなく、会社や社会あるいは法律や規則といった、より客観的なものによって判断される。
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