マグヌス効果とは、液体や気体中で回転する円柱または球に力がはたらく物理学の現象である。
1852年にドイツの科学者ハインリッヒ・グスタフ・マグヌスがこの現象を確認したことから名付けられた。
ボールにカーブをかけることができるのは、この現象のおかげである。
マグヌス効果の説明
慣性の法則
物理学の法則の一つに、「質点は、力が作用しない限り、静止または等速直線運動する」という慣性の法則がある。
ボールで説明すると、静止しているボールは外部から力を加えられない限り静止したままであり、動いているボールは外部から力を加えられない限り同じ方向に同じ速度で動き続けるという意味である。
なお、斜め上に向かって投げたボールの軌道が地面に向かって曲がっていくのは地球の重力、地面を転がしたボールがやがて止まるのは地面との摩擦力や空気抵抗がボールに働いているからである。
重力も空気抵抗もない宇宙空間では、投げたボールは同じ方向に同じ速度で動き続けるだろう。
さて、皆さんは例えば下の動画のように球技でボールが曲がる映像を見たことがあると思う。
ところが、先ほど読んだように、運動しているボールは外部から力が加わらない限り曲がることはないはずである。一見、外部から力が加えられてないように見えるボールはなぜカーブするのだろう?
ベルヌーイの定理
マグヌス効果を説明する前に、もう一つの物理学の法則について理解する必要がある。
それは、気体の移動速度が上がれば上がるほど、その気体の圧力は下がるというものである。
簡単に言うと、空気の流れ(つまり風)の弱いところから強いところに向かって、押される力がかかる、といった感じだろうか。
具体例をいくつか挙げると、
- 風船を2つ並べてその間に息を吹きかけると、2つの風船は互いに近づく
- 机に2つ空き缶や空きペットボトルを並べ、その間に息を吹きかけると互いに近づく
- ドライヤーの吹き出し口を上に向け、ピンポン球を風に乗せるとピンポン球が宙に浮く。多少ドライヤーを動かしてもピンポン球は落ちない(ドライヤーは中心部に近いほど風が強く、ピンポン球も圧力の低い中心部に近づいていこうとするため)
これらはすべてこの法則によって引き起こされる現象である。
ちなみに、この法則をベルヌーイの法則、またはベルヌーイの定理という。
ボールはなぜ曲がるのか?
さて、地球上でピッチャーがボールを手前方向の回転(ピッチャーから見てボールの下側が奥に、上側が手前に動くような回転)をかけて投げた場合、ボールにどのような力がかかるのかを考えてみよう。
まず、ボールが受ける空気の流れに注目してみる。
このとき、ボールは空気中を移動しているので空気抵抗、つまり逆方向の空気の流れを受ける(下の図の⇒)。
それに加えて、ボールが空気中を回転すると、ボールの周りの空気も回転に引きずられ、回転方向に沿った空気の流れが生まれる(下の図の→)。
⇒…ボール全体が受ける空気の流れ →…ボールの回転によって生じる空気の流れ ∧,,∧ ⇒ ⇒ (´・ω・) ⇒ → ∧,,∧ ( っ(⌒) ⇒ ↑◯↓ 三二≡=─ ⊂(・ω・`)、 `u-u' ⇒ ← ヽ と) ⇒ ⇒ u-u'
この2つの空気の流れが合わさることで、ボールの上の部分の空気の流れは、
⇒ + → = 強い右向きの空気の流れ
となる。一方、ボールの下の部分は、
⇒ + ← = 弱い右向きの空気の流れ
となる。すると、
となり、結果としてボールの落ちがゆるやかになり、直線に近い軌道で進む。
ちなみに、これが野球でいうストレートである。上方向の変化球とも考えることができるため、「直球も変化球の一つ」という言葉もある。同じような方向と速度のボールでも、回転が異なれば下の動画のように軌道も大きく変わることになる。
もちろん回転方向を逆にすれば揚力は下に向いて落ちやすいボールになるし、横回転をかければ揚力は横に向いて冒頭の動画のようにボールはカーブする。これがマグヌス効果である。
※ なお、フォークボールやナックルボールは奥方向の回転をかけて下向きの力をかけているのではなく、回転を抑えてボールの空気抵抗を上げることで下に落としている。
マグヌス効果の使用例
球技における変化球
上で見たように、ボールに様々な回転を加えることで揚力を起こし、ボールの軌道をあらゆる方向に変化させることができる。
エアガンのホップアップシステム
BB弾に縦回転を加えることで、弾丸を浮き上がるようにしている(前述のストレートと同じことをしているだけだが、こちらは投射物が軽いため、実際に浮き上がる)。
このため、エアガンはアクション映画のように寝かせて撃ったりすると弾丸があらぬ方向に逸れていく。
ローター船
マストの代わりにポールを立てて、横風を利用して推進力を得る。
ローター飛行機
マグヌスニキ
マグヌス効果自体は、以前から球技に携わるものの間で知られていた理論であった。
しかし、なんJでこの名前を大きく広めることになったのが、マグヌスニキと呼ばれる人物である。
彼はなんJに立てられた 中村勝のストレートがさいてょよりも遅いという現実 というスレで、
103 : 風吹けば名無し 投稿日:2012/11/01(木) 10:50:50.59 ID:Ai2ljNA1
アマで解説囓(かじ)ってる俺が来ましたよ。
確かにガンでは中村の速球は140km/h台だけど、
腕の振りが大きくて速く、初速から既にMAX近いスピードで
打者の前でも加速し続けてるから早い
距離が25mくらいあれば150後半は出てるよ彼
111 : 風吹けば名無し 投稿日:2012/11/01(木) 10:55:10.99 ID:Ai2ljNA1
まあ素人さんにわかりやすく言えば、
140km/hのストレートって言っても2種類あって
打者の手元でやっと140km/hに到達するボールもあれば
初速から打者の手前まで一貫して140km/hのボールもあるってこと
勿論後者がの方が速く感じる
と発言。なんJ民から「これコピペ?」、「空気抵抗があるのに初速=終速は無理だし、ましてや加速なんてしたら力学を超越してる」、「物理法則を無視してるのはスピードガンじゃなくてお前だろ」などと一斉にツッコミを食らった。それに対して彼は、
(「マウンドからホームベースまで傾斜してるし加速しそう」というレスに対して)
151 : 風吹けば名無し 投稿日:2012/11/01(木) 11:03:36.13 ID:Ai2ljNA1
>>145
勿論位置エネルギーが関係してるよ
リリースポイントとミットの高低差ね。
最大加速度以下の範囲だから、加速する
208 : 風吹けば名無し 投稿日:2012/11/01(木) 11:15:33.68 ID:Ai2ljNA1
加速についてまとめてみるよ、
・位置エネルギー(リリポとミットの高低差)
・回転数によるHOP-UP(伸び)
・最大加速度以下での範囲
これらが有機的に絡みあって中村のボールは加速しているんだな
などのように、独自に解釈した物理法則を用いてなんJ民への説得を必死に続けた。その中で、
356 : 風吹けば名無し 投稿日:2012/11/01(木) 11:43:14.88 ID:Ai2ljNA1
マグヌス効果をサーフボードに換えて想像して欲しい
波(空気抵抗)に対してサーフボード無しに泳ぐと
体力消費が激しく、進まない
だけどサーフボード(マグヌス効果)があれば楽に乗れてスピードが活かせる。
http://www.youtube.com/watch?v=e7XeTlXj7XQ(URLの動画は、サーフィンの動画ではなくただサーファーがカリフォルニアサイコーと連呼するだけの動画である。ちなみにニコニコ動画にも転載されている。
)
このようにマグヌス効果という単語を用いたことで、彼はなんJ民からマグヌスニキと呼ばれるようになった。また、それまでは「埼玉のダルビッシュ」として日ハムファンの間で細々と語られる存在でしかなかった中村勝にもマグヌス中村というあだ名が付いてしまった。
そして、奮闘もむなしくなんJ民にからかわれるだけに終わったマグヌスニキは、
313 : 風吹けば名無し 投稿日:2012/11/01(木) 11:37:58.25 ID:Ai2ljNA1
違う
403 : 風吹けば名無し[sage] 投稿日:2012/11/01(木) 11:52:34.08 ID:Ai2ljNA1
なんか嫌な人ばっかりだ
との言葉を残し、スレを去った。
…かと思われたが、彼はなんと誰かが建てた自分の晒しスレに自ら乗り込んで再度弁解を試み、そこでも迷言、もとい名言を発した。
323 :風吹けば名無し:2012/11/01(木) 17:48:53.96 ID:Ai2ljNA1
>>286
問題
坂の上からにボール置きました。働いてる力は鉛直下向きです。
ボールはどのような運動をするでしょうか
1.力の方向は鉛直下向きなのでボールは地下を掘り進む or 止まる
2.坂に沿って転がる
3.わかりません
610 :風吹けば名無し:2012/11/01(木) 18:15:13.27 ID:Ai2ljNA1
言われなき人格攻撃しかないな
まあ何とも思わんけど、スレとして終わってるよここ
当然そこでもこのように批判の嵐だったが、日本シリーズの試合時間になると今度は実況スレにおもむき何事もなかったかのように実況を始めた。彼は最後まで自分の考えに疑問を持つことはなかったようだ。
マグヌスニキの理論はどこが間違っているか
彼の発言は物理学的につじつまの合わないものがいくつか見られるが、あえて一点だけにツッコミを入れろと言われたら執筆者は下の文をあげる。
つまり、より遠くから投げればボールはより速くなるということになり、ボールは捕球されるまで永遠に加速し続けることになる。これがもし本当ならば第一種永久機関ができてしまうため、ノーベル賞を受賞してもお釣りがくるほどの大発見である。中村勝にもノーベル中村という新たなあだ名が付くかもしれない。こう考えると彼の言っている理論はおかしいと気付くだろう。
なお、誤解のないように言っておくと、マグヌス効果自体はれっきとした物理学の理論であり、上で述べたようにボールに手前方向の回転をかけて落ちをゆるやかにできるというのは事実である(人間の力では頑張って回転をかけてもHOP-UPまではしないと考えられるが)。
推測の域を出ないが、おそらく彼の頭の中では、
- ボールが回転することにより空気抵抗が減ってスピードが活かせる(事実)
- リリースポイントからミットまでの高低差による位置エネルギーが運動エネルギーに変換されて、ボールが加速する(空気抵抗を無視すれば事実。ただし、加速量はわずか[1]だし、実際は空気抵抗による減速も大きい)
- マグヌス効果によってボールに生じる揚力が、ボールに位置エネルギーを無償で供給する(勘違い)
これらが有機的に絡みあって、彼の頭の中で中村勝のストレートは永遠に加速し続けることになったのではないかと思われる。
彼から何か学ぶとすれば、それはネットでボコボコに叩かれても別の場所では何食わぬ態度で過ごせるような、中村勝のボールのように決して沈まない鋼のメンタルを持つことだろう。
参考動画
カリフォルニアサイコー!
関連項目
脚注
- *空気抵抗などを無視すると、力学的エネルギー保存則により、
(投球直後の位置エネルギー) + (投球直後の運動エネルギー) = (捕球直前の位置エネルギー) + (捕球直前の運動エネルギー)
が成り立つ。
重力加速度をg(≒9.81)[m/s2]、ボールの質量をm[kg]、投球直後のボールの速さをv投[m/s]、リリースポイントの高さをh投[m]、捕球直前のボールの速さをv捕[m/s]、ボールをキャッチするミットの高さをh捕[m]とすると、
mgh投 + mv投2/2 = mgh捕 + mv捕2/2
両辺に2をかけ、mで割って、
2gh投 + v投2 = 2gh捕 + v捕2
整理することで、
v捕2 = v投2 + 2g(h投 - h捕)
を得る。
試しにg=9.81m/s2、v投 = 38.9m/s(140km/h)、リリースポイントとミットの高低差 = h投 - h捕 = 2.5m(少し多めにとった) を代入して計算すると、v捕 = 39.5m/s(142km/h)となる。
つまり、空気抵抗なしでも多くても2~3km/h程度しか加速しないことになる。
なお、速度が増すのは下方向の速度成分が増加するからであり、水平方向には加速されない。
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