概要
明治40年の京都・滋賀を舞台に、電気をこよなく愛する主人公・坂本喜八と、神仏への信仰が深いヒロイン・百川稲子の出逢いにより、二人を取り巻く人物たちの過去や人間関係が紐解かれていく恋物語。
第8回京都アニメーション大賞にて小説部門奨励賞を受賞し、2018年8月10日にKAエスマ文庫より発売された。カバーイラストは池田和美、背景は長谷百香が担当。
2018年8月9日にアニメ化企画の始動が発表。2025年10月25日、アニメ「二十世紀電氣目録-ユーレカ・エヴリカ-」の2026年の放送が決定した。
ストーリー
「うちと一緒に死んで、極楽浄土に連れてってくれる?」
明治四十年。夏。京都伏見に住む百川稲子は、何をやっても上手くいかず、父親に叱責される毎日。彼女にとって唯一の救いは、神仏に祈り信じることだけだった。ある日いつものように伏見稲荷で手を合わせていると、「見えへんもんは信じひん」と吐き捨てる自由奔放な少年・坂本喜八と出逢った。彼は神仏を否定し、これからは電気の時代だと豪語する。
そんな折、稲子に突如結婚の話が持ち上がる。父の一方的な決定に、しかし自分の価値はそれくらい、と諦める稲子。喜八はそんな彼女の逃げ出したいという本心を引き出し、閉ざされた家から連れ出した。
結婚を止める唯一の方法は、奇書『電氣目録』を探し出すこと。それは喜八が幼い頃に書いた電気に関する予言書で、かつて兄・清六が持ち出して行方知れずとなっていた。喜八と稲子――二人は『電氣目録』を探し、京都・滋賀の地を逃げ回る。
登場人物
- 坂本喜八(声:内田雄馬)
疑り深い性格の青年。好きなものは機械いじりと発明。実家は寺だが神仏を信用しておらず、寺を飛び出し叔父の蓬莱仏具店で手伝いをしつつ機械修理も請け負う。
かつて兄の清六に連れられた内国勧業博覧会で近未来の機械に魅了され、二十世紀は電氣の時代だと信じてやまないようになった。 - 百川稲子(声:雨宮天)
京都の老舗「百川酒造」の次女。純粋で活発な性格だが、失敗も多くよく父の甚右衛門に怒られている。
神仏への信仰心が厚く、口癖は「信じることが取り柄」。亡き母のような杜氏になるのが夢。 - 陸健吾
大津の米穀商・陸恒吉商店の次男。日露戦争中、多くの激戦地で戦績を上げ、敵の砲撃にも恐れず猪突猛進する様から「陸蒸気」とあだ名された。現在は廃娼運動を行う救世軍に属する。
規子の幼馴染で、婚約者だが犬猿の仲で結婚は保留中。 - 百川規子
稲子の姉。稲子とは対照的に才色兼備で、なんでも卒なくこなす。稲子の憧れとする女性。 - 坂本清六
喜八の兄。いつもへらへらしていて人をからかうことが好き。喜八の電氣への興味や、自由奔放な振る舞いは清六が由来となっている。
喜八から電氣目録を預かったが、そのまま行方を眩ませた。 - 三添 洋輔
三添商店の長男。商いに秀でていて、洋酒で三添商店に莫大な利益を齎した。
酒に関する武勇伝が多く、特に好んだのが白乾児であることから「パイカル博士」との異名を持つ。 - 百川甚右衛門
稲子の父。武士のような貫禄と威厳を持つ。度々稲子を愛用のステッキで叩き怒鳴り散らしている。
アニメ
監督は「CITY THE ANIMATION」の第5話で驚異の演出・絵コンテを披露した太田稔、
シリーズ構成は「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」で脚本を担当した浦畑達彦、
キャラクターデザイン・総作画監督は「劇場版 Free!-the Final Stroke-」のキャラクター設定や総作画監督を務めた岡村公平、
世界観設定は「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」でも同役職を担った鈴木貴昭、
音楽は今作がアニメ初劇伴となる湖東ひとみが担当する。
スタッフ
- 原作:「二十世紀電氣目録」結城弘(KAエスマ文庫/京都アニメーション)
- 監督:太田稔
- シリーズ構成:浦畑達彦
- キャラクターデザイン・総作画監督:岡村公平
- 世界観設定:鈴木貴昭
- 音楽:湖東ひとみ
- アニメーション制作:京都アニメーション
関連項目
関連リンク
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