勇気一つを友にしてとは、NHK「みんなのうた」で放映された歌のひとつである。
概要
作詞・片岡輝、作曲・越部信義、歌は山田美也子と東京放送児童合唱団(4番のみ)。アニメーションは毛利厚が手掛けた。1975年10月に初めて紹介されて以来、今でもたびたび再放送されるなど、みんなのうたの中でもメジャーな曲の一つである。合唱曲ではないが、小中学校の歌集にしばしば載せられている。
ギリシア神話のエピソードを基にしているが、後述の通り、3番の歌詞にあるイカロスの悲劇的な最期や、アニメーションの独特の絵柄から、「まっくら森の歌」「メトロポリタン美術館」などと共に、みんなのうたのトラウマソングとしても名高い。
4番は合唱パートが入る他、音階が半音上がり、終盤の旋律が異なっている。無表情で白目の子供たちが怖いという声もあって、真のトラウマは4番という声も。
アニメ日常では第24話EDに使用された(歌:佐咲紗花、編曲:伊藤真澄)。尺の都合のため、TV放送盤では3番と4番の前半がカットされている。
バックストーリー
クレタ島を舞台にしたギリシア神話がモデルとなっている。その昔、体は人間だが頭が牛の怪物ミノタウロスが、クレタを荒らし回った。クレタ王・ミノスは(だいたいこいつのせいなのだが)、大工のダイダロスに命じて一度入ったら二度と出られない迷宮を作らせて、ミノタウロスをその奥深くに幽閉する。そして、クレタの戦いに敗れて屈服していたアテネから若者達を人質として要求し、ミノタウロスの生け贄にさせていた。
ある年、アテネの王子テセウスは自ら生け贄を志願する表向きで、ミノタウロスを退治するためクレタにやって来た。テセウスと恋に落ちたミノスの娘・アリアドネは彼を救おうとダイダロスに相談し、迷宮の入り口に結んだ糸玉を持たせて、テセウスが迷宮で迷わないように手助けした。テセウスはミノタウロスを見事退治し、アリアドネを伴ってアテネへと戻った。
ずいぶん長い前置きにはなったが、この歌の元ネタはここからである。娘を奪われて激怒したミノスは、手助けをしたダイダロスとその息子・イカロスを迷宮に閉じ込めてしまった。しかし優れた発明家であるダイダロスは、集めた鳥の羽を蝋で固めて人工の翼を作り、空を飛んで迷宮を脱出した。まだ若いイカロスは調子に乗って、父の忠告を忘れて高く飛んでしまった為に、太陽の熱で蝋が溶けてしまい海に落ちて死んでしまうのである。
この話には色々後日談がある。息子を失ったものの、ダイダロス自身は無事シチリア島に辿り着いた。ミノスはダイダロスを殺そうとシチリアにやって来たが、ダイダロスを匿ったシチリアの王とその一族によって逆に暗殺されてしまった。また、テセウスはアテネに戻る途中に、なんとアリアドネを置き去りにしてしまう。薄情と思われるかもしれないが、酒の神・ディオニュソス(バッカス)がアリアドネに横恋慕したため、テセウスから横取りしたとも言われている。
そしてテセウスは、出発する時に船に黒い帆を付けて、帰る時に白い帆に変えてたら生還、黒い帆のままだったら死んだという目印にしていたが、帆を変えるのを忘れて戻ってしまう。これを見た、テセウスの父でアテネ王のアイゲウスは息子が死んだと勘違いして、海に飛び込んで死んでしまう。彼の名を冠したこの海こそが、エーゲ海である。
関連動画
関連項目
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