宝塚音楽学校いじめ事件とは、2008年に宝塚音楽学校で万引きや窃盗を理由に退学処分を受けた生徒が、処分は不当として音楽学校を被告とする訴訟を起こしたことで注目を集めた事件。
事件の詳細
発端
2008年6月 同級生の紛失したドライヤーを毎日使っていた事実が発覚した際に、96期生のある生徒の部屋を捜索した所、多額の現金、他の生徒の名前入りの食券、紛失届けの出されていた多数の生徒の私物、紛失物が、同生徒のクローゼットから発見された。その後、寮内に防犯カメラを設置するなど、学校側が対策を行い、盗難騒ぎは一旦収まったが、同年9月、同生徒がコンビニで万引きをしたのではないかとする報告が学校側に寄せられた。万引きを裏付ける決定的な証拠はなかったが、周囲に盗癖を疑われていたこともあり問題となった。翌月の10月、ある生徒の携帯電話が無くなり、その翌日に同生徒の一人部屋を調査したところ、押入れから使用形跡が残った状態の紛失携帯電話が発見された。加えて、同生徒が宝塚大劇場で拾ったとされる財布も発見される。取得した財布を9日間届け出をせず部屋に所持していた事が問題となる。9月の時点では万引きしたとされる物品は発見されなかったものの、同生徒の所から本人のサイズとは違う新品の制服ブラウス等、複数見つかっていたなど、未解決の紛失事件が度重なり、「清く正しく美しく」の校則にふさわしくないなどの理由で同生徒を退学処分とした。また、その生徒は2008年夏休みの帰省中、学校に無断で取材を受けたが、予科生が取材を受ける時の細かく指定されたルールなど破っており、退学処分の一つの理由としてあげられていた。
退学生徒の主張と裁判
退学処分とされた元生徒は、「他生徒からいじめを受けており、身に覚えの無い万引きをでっち上げられて退学処分になった。よって、虚偽の事実を元にした処分であるから退学は無効である」と主張して、地裁に退学処分の取り消しと慰謝料1000万円を求める申し立てを行った事により音楽学校訴訟事件として注目される。
2009年1月、地裁は「万引きを行ったという客観的な証拠がない」「将来歌劇団入団を目指す被告の生徒として、将来備えるべき職業倫理に照らせば、拾得後直ちに届け出るべきである。だが、拾った財布を9日間届けなかったことで退学処分は酷」また、携帯電話に関しても、「このうち同期生の携帯電話を寮の自室に持ち帰る行為は、遺失物横領に当たる行為である不適切な行為であることは明らかであるものの、これをもって退学処分の理由とまですることは困難である」として、同生徒の復学を認める仮処分命令を出す。
元生徒は、同年11月、宝塚音楽学校に対し退学処分の取り消しと慰謝料1000万円を求め、訴訟を起こした。
裁判で係争中の2009年末頃、96期生の一人のブログが発覚。ブログには元生徒に対する実名で、退学になった生徒への非難の記述があった。
和解
宝塚音楽学校は2010年7月14日、裁判所の調停を受け入れ、裁判は終結した。和解の内容は、劇団に入団しない事を条件に、「宝塚音楽学校の二度の退学処分を取り消すこと」「元生徒への卒業資格の授与」「元生徒の宝塚歌劇団への入学は認めない」というものであった。尚、慰謝料の額は非公開とされた。1000万円を求めた原告側の勝訴とは言えないが、入団しない事を条件とは言え退学処分取消と卒業資格を受ける事で和解が成立した。
週刊誌の報道
- 『週刊ポスト』―同期生は元生徒に対して「存在を消して」、「死ねばいいのに」、「私の視界に入るな」などといった罵詈雑言を浴びせた。学校職員は元生徒に対し「見ていたらイライラする」と発言した。洗濯物が汚いという理由で共同の洗濯機の利用を朝5時に制限された。
- 『女性セブン』―私物をゴミ箱に捨てられた。メーリングリストから一人だけ外された。
- 『週刊新潮』―元生徒が鞄にナイフ等を入れていると言われた。備品を誤って鞄に入れてしまったことを盗難と騒ぎ立てられた。元生徒が万引きを疑われた際に防犯カメラを見ればわかると言っても聞いてくれなかった。副校長に万引きに関して「本当にやっていないなら弁明を言えるんじゃないの?」などと発言し、また、上述の学校職員は「学校指定の精神科に診てもらえ」「劇団、学校、警察を巻き込んでまで自分の名誉を守りたいのか」などとも発言した。
関連項目
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