小川(ちいがわ)とは、静岡県掛川市大須賀地区の洋望台周辺を流れる二級河川である。
概要
静岡県掛川市南部の大須賀地区(旧大須賀町)、掛川市横須賀の北にある洋望台周辺を流れる河川。弁財天川水系に属する。
正式な読みは「ちいがわ」であり、「ちいかわ」ではない。現地の「小川橋」にも、「ちいがわはし」と書かれた銘板がある。
河川の概況
横須賀の北の標高180mほどの山(住所上では西大渕周辺)を源流とし、砂防ダムを複数経由した後に上釜ヶ谷橋をくぐる。そして鶯橋から山間部を抜けて住宅街の洋望台に入り、未来橋を経由する。最後に小川橋を通り過ぎるとすぐに西大谷川と合流して終点となる。その後2kmほどで西大谷川は弁財天川と合流して程なく遠州灘(太平洋)に流れ出る。
上釜ヶ谷橋 | 掛川市道釜ヶ谷寺ヶ谷線 |
(起点) | |
鶯橋 | 掛川市道洋望台北線 |
未来橋 | 掛川市道洋望台南線 |
小川橋 | 静岡県道409号 大須賀掛川停車場線 |
(終点) | 西大谷川との合流点 |
河川として指定された延長は弁財天川水系の中で最も短く650m(静岡県交通基盤部河川消防局より。地図上で計測すると鶯橋周辺が起点となる)。
ただ、地形的に見れば起点の奥にも河川の地形が続いており、実質的な延長は1.5km程度になると思われる。掛川市のe-地図かけがわでの情報によると、この山間部には「釜ヶ谷」「東沢」などの地名がついているようだ。
普段は水が流れていないことも多いが、ハザードマップでは上流の土砂による土石流の発生が想定されており、ほとんどの範囲が土砂災害警戒区域または砂防指定地に指定されている。現地では砂防ダムのほか、コンクリートによる床固工が1990年代に施されている。
いずれにせよ短い河川であり、歴史ある町の横須賀の近くにあり人目につきやすかったこともあって「小さい川」から「小川」と名付けられたということと思われる。江戸時代・17世紀ごろに作成された「遠州横須賀惣絵図」の東側(右側)にも、「小川」の名前は載っていないものの、小川に当たる場所に小さな河川が記載されている。
なお、先ほど起点は鶯橋周辺と書いたが、小川の「起点の標識」はなぜか650m地点よりも下流の洋望台の途中に設置されており、どちらが起点かわからない状態になっている。
名称
「小」の読みが「ちい」になった理由は不明。ただ、洋望台のすぐ南にある横須賀では、明治時代から祭りとして続けられている、中学生以下が参加する祢里(山車)として「小祢里」があり、小川と同様の読みで「ちいねり」と呼んでいる。
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https://twitter.com/KakegawaCity/status/1416944704181063682
なお、この周辺の方言である遠州弁で「ちいっと」は「少し」という意味になるが、関係があるかどうかは不明。
「川」の読みが「かわ」ではなく「がわ」である理由も不明。「かわ」「がわ」の違いには明確な基準はないが、城岡(2014)によると、明治時代以降に「がわ」と読む河川が増加したとされており、2007年発行の『地名集日本』で「かわ」と読む河川は全体の約7.4%と少数となっている。
終点に設置されている看板の英語表記は上記のように「Chii River」となっているが、小川は国土地理院が提示した地名等の英語表記規程における「固有名詞的部分の読みが2音拍で漢字1文字の場合」に該当するため、「Chiigawa River」がそれに沿った表記なのではないかと指摘する意見もある。
※2012年撮影のGoogleストリートビューには「Chii River」の看板が設置されていないが、2014年投稿のブログ記事では確認できるので、恐らく2012~2014年の間に新しく看板が設置されたものと思われる。
余談だが、東南アジアのメコン川や、南米のアマゾン川の水系にも「チー川」がある。タイのチー川はタイ語で「แม่น้ําชี」、ブラジルのチー川はポルトガル語で「Rio Tea」と書く。日本語での読み方は恐らく「ナイル川」等の他の外国の河川に合わせて「ちいがわ」になると思われる。
ちなみに東武東上線の「小川町駅」の駅名標に「ちいかわまち」という振り仮名が書かれた画像があるが、そちらはコラ画像である。2023年5月上旬時点で小川町駅で駅名標をそのように変えるようなイベントは開催されていない。
関連リンク
- e-地図かけがわ(掛川市)
- 弁財天川水系のホームページ(しずおか河川ナビゲーション)
- 静岡県袋井市歴史文化館「遠州灘の高潮災害と二つの築山―命山の築造とその周辺」
- ちいねり(小祢里)(掛川市)
- 城岡啓二「明治時代以降の「〜川」の連濁と非連濁について」(静岡大学人文社会学部 人文論集, 64 (1-2), 2014)
- 地名等の英語表記規程(国土地理院)
- 「ちいねり」、「ちいがわ」(遠州横須賀・あれこれ書き連ね, gooブログ, 2014/10/11)
- 「チー川沿いの村を訪ねる-マハサラカム~ロイエット~ヤソトン」(東北芸術工科大学歴史遺産学科ブログ, 2015/01/17)
- Chi(Goole Map, タイ)
- Rio Tea(Google Map, ブラジル)
関連項目
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