日本国憲法第21条とは、日本国憲法第3章(国民の権利及び義務)に存在する条文である。
概要
1. 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
第1項が「集会・結社の自由」及び「表現の自由」の保護を、第2項が「検閲の禁止」と「通信の秘密」を定めている。
日本国憲法第3章に存在する条文の中には、第13条をはじめとして「公共の福祉」による制約を受けることが定められているものがあるが、この第21条に関してはその制約は規定されていない。
ただし運用上は、これらの自由もまた他の基本的人権を阻害してはならないと解釈されており、特に表現の自由に関しては、プライバシーの保護、善良風俗の維持(猥褻文書等に関し)などとの衝突をどうするか、ということが議論の対象となっている。
帝国憲法において
1890年(明治23年)施行の大日本帝国憲法においては、結社・表現の自由は第29条、通信の秘密(信書の秘密)は第26条で規定されていた。
第26条 日本臣民ハ法律ニ定メタル場合ヲ除ク外信書ノ秘密ヲ侵サルヽコトナシ
(日本臣民は法律に定めたる場合を除く他、信書の秘密を犯されない)
しかしながら、共に「法律に定めたる場合を除く」「法律の範囲内に於て」と、「法律の留保」による規制を受ける旨が定められていた。
そして帝国憲法下では集会・結社の自由や言論・表現の自由について、現実に不敬罪、新聞紙法、出版法、治安警察法、治安維持法などを根拠に取り締まられることがあり、立法上の制約がそれらの自由の保護よりも優先される状態となっていた。
自民党改憲案において
2012年(平成24年)4月に自由民主党(自民党)が発表した憲法改正案(自由民主党憲法改正草案)では、日本国憲法第21条に相応する箇所は、同様に第21条で規定されているが、内容が以下のように改められている。
1. 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。
2. 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。
第2項として、新たに「公益及び公の秩序」に反する結社と、その活動を禁止する規定が定められている。
関連項目
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