消去法とは以下のことを指す。
1の概要
連立一次方程式(2つ以上の方程式で変数が1乗であるもの)の解法の一つで、方程式の中から変数を消去することからそう呼ばれる。例えば次の連立一次方程式があったとする。
3x+2y=11
x-4y=6
この場合、消去法はxかyのどちらかを消去して、まず一方の値を出した後に、その値をもとの式に代入することでもう片方の数値を出す解法となる。
まず、yを消去するとして、前者の式の左辺と右辺を共に2倍にして6x+4y=22とする。これと後者の式を足すとyが消えて7x=28となる。するとx=4とわかる。前者の式のxに4を代入するとy=-0.5とわかる。
2の概要
When you have eliminated the impossible, whatever remains, however improbable, must be the truth.
選択肢から正しい(場合によっては誤った)選択肢を選ぶ形式の問題においてしばしば使われる解法。『明らかに誤っている選択肢を排除していき、最後に残った選択肢が正解である』という解法である。
上の引用のように紙上の問題に限らず、事件の推理などや、現実における選択のときにも用いられる。現実の選択の場合、紙上の問題のようにただ一つの正答が決まっているわけではないので、『選択肢の条件を比較しながら、明らかに劣っている選択肢を排除していき、選択肢を狭める』のが一般的と思われる。
選挙でも使われる。積極的に支持しているわけではないが他の候補者よりマシと思われる人物に投票する場合等。
実例
例えば以下のような選択式の問題があったとする。
問題:次の選択肢から正しいものを選べ
ア.メタルグレイモンはドラゴンクエストに登場する。
イ.暴れん坊将軍の主人公は足利義教である。
ウ.東京都特別区は24区ある。
エ.野球はアメリカ発祥のスポーツである。
オ.2ちゃんねるを作った人物は矢野さとるである。
エが正しいとわからなかった場合、それぞれの選択肢を吟味し、間違っていると思われる選択肢を消して正解を導く方法となる。仮に間違った選択肢をすべて消去できず、アとエが残ってしまった場合でも、適当にマークしても50%の確率で正解できる。もし10問問題があるテストがあったとして、全部二択までしか絞れなかったとしても、適当にマークしても普通3問か4問は正解できる。むしろ0点になる確率の方が低い。
消去法の限界
以下で挙げるような状況においては消去法は機能しない。紙上の問題以外で消去法を使う際には気を付けたい。
正解が存在しない選択肢
消去法が使われる際にはいくつか選択肢が出されていることが前提となっているが、同時にその中に正解が含まれていることもまた前提としていなければならない。
しかし、提示された選択肢のなかに正解が含まれていない場合がある。どの選択肢を選んでも誤りであり、その先にはロクな結末が待っていないような状況では、消去法は機能しない。『どれを選んでもはずれ』という状態で、どうあがいても絶望、現実は非情であるな選択肢の中で消去法を実行しようとしてもすべての選択肢が消えてしまうだけである。そのような場合には見えていない選択肢を探すと正解に辿り着ける場合がある。
実例
正解は鉄の斧。消去法を使うと選択肢はすべて消えてしまい答えられなくなる。
はずれが存在しない選択肢
選択肢の中に正解がなければ消去法は使えないが、逆にはずれがない場合も消去法は使えない。正解はメリット、はずれはデメリットと置き換えてもよい。
上とは逆に『どれを選んでもメリットはあるが、デメリットがない』という場合、やはり消去法は機能しない。得られるメリットの多寡を比べて消去法を実行してもよいが、各選択肢のメリットの方向性が異なり、比較することができないものだった場合、選択肢は減らないだろう。
実例
ギリシア神話の3人の女神が誰が一番美しいかを競い、人間の男に選ばせることにした。3人はそれぞれ自分を選ばせるために人間に与えるご褒美を提示する。
ヘラ「私を選べば、世界を支配する力を与えよう」
アテナ「私を選べば、あらゆる戦争に勝利できる力を与えよう」
アフロディテ「私を選べば、最も美しい女を与えよう」
どれを選んでも男には思わぬ幸運である。デメリットは(少なくとも見た目上は)存在しないのでメリットの比較による選択しかできなくなる。
個数、組み合わせ問題
消去法や適当に書いて当たることを防ぐ為に、「次のうち正しい選択肢を二つ選べ」「正しい選択肢の組み合わせを選べ」「正しい選択肢の個数を答えよ」といった問題形式が出題される場合がある。前者二つは間違った選択肢を消すことができて二つ残せば正解できるが、一つしか消せないと間違う可能性がある。後者は選択肢問題じゃなくても正解できるくらいでなくては正答は難しい。それでも適当に書いて当たる時もあれば、間違っている物を正解として、正解を間違っているとする等のちぐはぐの結果偶然当たることはあるが。一応少なくとも2つは間違っているからすべて正解と1つの選択肢は消せるという感じに選択肢を絞り込むことはできる。ちなみに下記の例の正解は3の2つ。
実例
Q4.次の中から間違っている選択肢を選び、その個数を答えよ
ア.三重県を含めた関西地方の都道府県のうち、都がおかれたことがないのは三重県、和歌山県、滋賀県だけである。
イ.石灰石はセメントなどの原料であり、日本がほぼ100%自給できる資源である。また塩酸に溶ける。
ウ.東欧のうち、ハンガリーは唯一ラテン系住民が住み、ハンガリー語もラテン系言語である。
エ.「若」という漢字は漢文ではほとんど「わかい」という意味では使われず、多くの場合「~のようだ」「もし」の意味である。
オ.ディメトロドンは古生代に生きた生物であり、厳密には恐竜とは異なる。
2.1つ
3.2つ
4.3つ
5.4つ
そもそも選択肢を消去する能力がない
論外かもしれないが間違った選択肢を消去することができないならば当然消去法は使えない。記号を選択するタイプのテストだからといって舐めてかかると酷い目にあうこともある。(確かに記述式のテストより0点を取る確率は低いが)
実例
以下の会話文を読んで適切な選択肢を選べ
Harold : Why do you like the girl? I think she isn't beautiful.
Rudolf : Probably you are right, but I like girls who can make efforts and I know that she practices figure skating hard to become a good player.
Question ; Why does Rudolf like the girl?
A, He likes girls who wear glasses.
B, She belongs to the US Navy and is very strong.
C, He likes diligent girls.
D, He likes her hairstyle.
E, He likes gals and she is a pretty gal.
ごくごく簡単な英語の問題であるが、もし全く英語を読むことができない人はこの問題を完全に適当にマークするしかない。ちなみに正解はC
関連項目
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