無階級社会とは、次のものを指す。
本項目では2.について記述する。
概要
定義
無階級社会の特徴その1 社会の成員同士の交流の活発化
無階級社会においては社会の成員が2つ以上の階級に分かれず、「所属する階級が異なる人同士の交流が極めて少なくなる」といった事態が起こらず、社会の成員同士の交流が活発化する。
無階級社会では「人の社会的評価は『誰と交際しているか、誰と会話しているか、誰に相手してもらっているか』で決まる」という考えや「劣った人を友人にすると『劣った人の仲間』という社会的評価を受けてしまう」という考えが失われ、「友人を選び抜く必要など無く、誰とでも分け隔て無く付き合い、誰とも友好的に振る舞えば良い」という考えが広まる。
無階級社会の特徴その2 表現の自由が尊重され、情報の流通が多い社会になる
無階級社会において、成員Aが成員Bに対して「成員Bは自分と同じ世界に住んでいる人だ」と思い込むようになり、話しかける気力を持つことができる。
このため無階級社会において、成員Aが成員Bに対して積極的情報提供権(表現の自由)を好きなように行使できる。無階級社会においては積極的情報提供権(表現の自由)が確実に尊重され、情報の流通が活発化する。
無階級社会において何か問題が発生したら、そのことに関する情報が即座に流通し、問題点が瞬時に発覚し、問題点が修正され、社会が発展し、社会が良い状態に進歩していく。
ビジネス雑誌に出てくるような表現を用いると、「無階級社会は個人の意見を出しやすい社会であり、風通しが良い社会である」となる。
類似語と反対語
無階級社会の類似語は平等社会である。無階級社会と平等社会は密接な関係があると考えられる。
無階級社会の反対語は階級社会である。階級社会に類似した言葉は格差社会であり、階級社会と格差社会は密接な関係があると考えられる。
無階級社会を出現させる政策
無階級社会を出現させるためには平等社会を出現させれば良い。
平等社会を出現させるには、所得税・相続税・贈与税を累進課税にして、さらに累進性を強化すれば良い。詳しくは平等社会の記事を参照のこと。
無階級社会と相性のよい政治体制
民主主義・国民主権
ある国で無階級社会が成立した場合、民衆は国会議員や地方議員に対して「あの人は私と住む世界が同じで、気軽に声をかけられる」と思うようになる。そのため国会議員や地方議員は民衆からの情報を上手く吸収でき、民意を吸収でき、民主主義を実行できる。
さらに無階級社会において国会議員や地方議員は、日本国憲法のような国民主権を志向するようになる。国民主権というのは、「国民が国家の主権を握っているのだから、政治を行うときは民意をしっかり吸収しましょう」というものである。
普通選挙・議員歳費の維持
無階級社会が成立した国では、民意を吸収して政治に反映させることを重視するようになる。
このため無階級社会が成立した国では、全ての有権者の選挙権や被選挙権を尊重する普通選挙を支持する人が増える。普通選挙とは、納税額や学歴や職歴や保有資産額に関わらず全ての有権者に1人1票の投票を保障する制度のことである。
また、無階級社会が成立した国では、「議員歳費を適切な額にして維持すべきだ」と主張する人が増える。議員歳費を適切な額にして維持すると、貧困の状態から出馬する人が出現することが可能になり、保有資産額に関わらず被選挙権が保障される状態になる。
「行政や立法や司法に影響を与える目的で行う表現」の尊重・請願権の尊重
無階級社会では、社会の成員が2つ以上の階級に分かれず、社会の成員同士の情報交換が盛んになる。
このため無階級社会が成立した国では、表現の自由が大いに尊重され、人々が好きなように「行政や立法や司法に影響を与える目的で行う表現」をするようになる。
デモ行進やビラ配りといった「行政や立法や司法に影響を与える目的で行う表現」が保障され、警察によって制止されない国になる。
SNSに書き込みをして「行政や立法や司法に影響を与える目的で行う表現」をしても、政府機関に検閲されず、そうした書き込みが残り続ける国になる。
また、無階級社会が成立した国では、請願権が大いに尊重される。人々が政府に対して請願をした場合、政府が丁寧にその請願を受け取るようになる。
「行政や立法や司法に影響を与える目的で行う表現」や請願のことをインフォーマルな政治参加という。詳しくは参政権の記事を参照のこと。つまり無階級社会は、インフォーマルな政治参加を大いに肯定する社会である。
労働三権の尊重・「自由及び権利には責任及び義務が伴う」の思想の撤廃
無階級社会では、社会の成員が2つ以上の階級に分かれず、成員同士の上下関係が薄れ、成員Aが成員Bに対して何かを要求することが許容される。
このため無階級社会が成立した国では、団結権・団体交渉権・団体行動権(争議権)という労働三権を肯定する風潮が強まり、労働組合や労働運動を肯定する風潮が強まる。労働運動というものは、労働者が団結して経営者・株主に賃上げなどを要求する行為だからである。
無階級社会が成立した国では、「自由及び権利には責任及び義務が伴う」と連呼する者が減る。「自由及び権利には責任及び義務が伴う」という思想は、「自分には資産がないので責任及び義務を押しつけられたら困ってしまう」と考えている者を萎縮させる思想であり、「自分には資産がないので責任及び義務を押しつけられたら困ってしまう」と考えている者から自由及び権利を剥奪する思想であって、無階級社会にはまったくふさわしくない思想である。
非・夜警国家
先述のように、無階級社会が成立した国では労働三権を肯定しようとする政治的風潮が色濃くなる。
そのため、無階級社会が成立した国は「非・夜警国家」に変貌していく。非・夜警国家とは、政府の雇用の中で、自衛隊・海上保安庁・刑務所・警察・消防といった治安部門の雇用の割合が小さく、治安部門以外の雇用の割合が大きい国である。非・夜警国家のことを大きな政府と言うこともできる。
自衛隊・海上保安庁・刑務所・警察・消防といった治安部門は法律によって労働三権が完全に否定されており、無階級社会が成立した国に適合しにくい政府雇用である。
治安部門以外の政府雇用というと国鉄や郵便局などが代表例だが、これらの職場では労働三権のなかの団体行動権(争議権)だけが法律で禁じられていて、団結権・団体交渉権が法律で認められている。そして、これらの職場の労働組合は「親方日の丸、政府は決して倒産しない」の意識があるので遠慮せずに労働運動をする傾向があり、世の中の労働運動の先頭に立つことが常である。民間企業の労働組合は「労働運動をしすぎると会社が倒産する」という危機感と隣り合わせであり、労働運動に対して遠慮するところがあるので、世の中の労働運動の先頭に立つことができないのであるが、「治安部門以外の政府雇用の職場の労働組合」は遠慮も危機感も一切持たずに存分に労働運動をすることができる。つまり、治安部門以外の政府雇用というものは、無階級社会が成立した国でもっとも尊重される職場である。
関連項目
- 0
- 0pt