刑務所とは、裁判によって法令に違反したと判断され自由刑の刑事罰を科された人が収容されるところである。
概要
法務省の定める刑事施設には刑務所・少年刑務所・拘置所の3種類があり、刑務所には刑事裁判で懲役刑や禁固刑の判決を受けた人が収容され、少年刑務所には基本的に少年(20歳に満たないもの)が収容されるが、26歳未満の成人も受け入れており、実際には成人の収容者が大多数を占めている。
また、拘置所は裁判中で刑が確定していない人が入るが、逃走や証拠の隠滅を防ぐ目的もある。
ちなみに留置場は警察に身柄が確保された人が入るところで、酔っ払いが放り込まれることもある。
刑事事件とは法律の適用によって刑罰を受けることになる事件で、裁判で被告人が有罪判決を受けると刑務所行きになるのである。
同じ刑務所暮らしでも何かしら働かなければいけない懲役と、拘置されるだけで刑務作業の義務がない禁固の2種類がある。
懲役刑にはわずかではあるが作業報奨金が支払われる。
どっちも嫌なら罪を犯さなければよいのだが、懲りずに何度も刑務所に入る人がいて、出所しても仕事もなく生きていけないという理由でまた事件を起こして自分から刑務所に逆戻りする人もいる。
怖いもの見たさもあってか昔から刑務所が舞台になった映画や小説は和洋問わず多数あり、高倉健主演の「網走番外地」シリーズや、クリント・イーストウッド主演の「アルカトラズからの脱出」などの映画がヒットした。また何度も脱獄を繰り返した囚人の実話を小説化した吉村昭の「破獄」や、安部譲二が自らの服役体験を元に著した小説「塀の中の懲りない面々」、同じく花輪和一が自らの服役体験を元に著した漫画「刑務所の中」などがある。
塀の中の人たちにも様々な事情があると思われるが、服役中は反省し出所後は真面目に暮らすことを願ってやまない。
刑務所内の生活や風習
刑務所内での生活は起床時間や就寝時間、持ち物まで細かく規定されている。読書やテレビなどの娯楽も存在するが、持ち込める本や視聴時間も決められている。入浴の時間も限られており、カミソリや医薬品も刑務所が管理するなど生理・衛生・医療も外の世界とは異なる独特なものである。
刑務所外との接点として芸能活動を鑑賞できる「慰問」という行事がある。一般の歌手などが来ることもあるが、慰問をメインに活動している者もいる。
公的な施設だが宗教活動の機会が設定されていて、仏教やキリスト教の宗教家が刑務所を訪問して受刑者と接することもある。
また、刑務所入所の経験談としてよく取り上げられるが、刑務所では身体検査の一種である検身が行われている。日本の刑務所での検身の方法は、男子刑務所は「カンカン踊り」という動作による検査が、昔は裸体で実施されていたものの現在ではパンツ一丁で実施されている。女子刑務所の場合は全裸で四つん這い姿勢になり静止して、耳や膣や肛門の内部に隠匿物がないかを検査する手法であり[1]、さらに膣および肛門へのガラス棒挿入や目視により膣の中を足元に置かれた鏡で覗く検査も行われている。諸外国では検身自体は行われるものの内容は異なる。例として英国法が採用されている香港では女子刑務所で行われる「通櫃」という体腔検査で肛門と膣に指を挿入する際、処女膜を損壊しないよう対処して検査する対策がとられている。
収容者の中には当然ながら医療上そ処置を必要としているものもいるため刑務所内でも医療施設がある。特に重度の場合は医療刑務所に収監されることとなる。軽度の場合にはそれぞれの刑務所の医療設備で処置が行われ、日常的な持病等の薬の処方などは所内で完結される。外では街中のクリニック等で行われるような小規模な治療も一般的な刑務所内で完結して行うことができる。ただし、医学上の処置は行われても外の医療機関で配慮されるような患者のプライバシーや尊厳への対応は問題視されることがあり、2016年に女子刑務所で痔の治療の際に女子受刑者の肛門へいきなり指を挿入し痛がらせたという事例が報告されている[2]。
監獄法から刑事収容施設法に根拠法令が変わってから、刑務所内生活に変化があったともいわれる。
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関連項目
脚注
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