近代五種 (modern pentathlon)とは、主に近代オリンピックで行われるスポーツ種目(複合競技)の一つである。
概要
フェンシング・水泳・馬術・射撃・ランニングの五種目を一度にこなし、その成績を競い合う競技。「ナポレオンの軍にいたとある騎兵将校が、馬に乗って敵陣に乗り込み、敵を銃と剣で討ち倒し、川を泳いで渡り、丘を越えて走りぬけて自軍まで戦果を報告に戻った」という故事に基づき、近代オリンピックを創設したピエール・ド・クーベルタン男爵が考案した競技。
全く違う競技をオールラウンドでこなさなければならない過酷さを称え、「王族・貴族か軍人のスポーツ」と賞されており、優勝者には「キング・オブ・スポーツ」の称号が与えられる。
しかし、そんな全く異なる競技を5種類もまんべんなく練習するだけの施設など早々あるわけでもない。まず馬が用意できないし、銃規制の関係で銃もそう簡単に用意できるわけではない(この点はレーザーピストルになったことである程度解消された)。結果、競技人口は世界でも1万4000人程、トップレベルにもなると500名くらいであり、日本に至っては競技人口は30人もいないとされる。先述の「王族・貴族か軍人のスポーツ」もそんなハードルの高さを揶揄するため使われることも少なくなく、「キング・オブ・マイナースポーツ」と評されることすらある。
それでもオリンピックから除外されないのは、こと本番においては各種目と共通の会場等で運用できる以上廃止しても大したコスト削減にならないこと、フェンシングや馬術と同じく「国際的な普及度が低くとも、オリンピックとしての伝統のため例外的に実施する」という一種の保護規定の庇護下にあること、そして何よりも「クーベルタンが考案したから」という格があることが大きいとされている。
2021年の東京オリンピック(2020年)において、この近代五種に出場したドイツのアニカ・シュロイ選手が馬術の競技中に馬の扱いに苦慮して泣きながらムチで叩いたり、同選手のコーチであるキム・レイズナー監督が馬をおとなしくさせようとして小突くなどの行為をした。これが動物愛護団体を筆頭とした各方面から強いバッシングを受けることになる。
2021年11月、競技を統括する国際近代五種連合(UIPM)が、パリオリンピック(2024年)を最後にして馬術を同競技から除外することを決定したと報道された。つまり、2028年のロサンゼルスオリンピック(2028年)からは馬術が別の競技に置き換えられることになる。
これに関しては、元選手などの関係者の間で戸惑いが広がっており、UIPMが競技者の意向を無視して勝手に決めたとして反対する意見も出されている。日本での統括団体である日本近代五種協会も、「残念だとしか言いようがない。大きな変更なので今後の影響が懸念される」とコメントしている。また、代替の競技については自転車だとする報道もあるが、これはUIPMが否定している。その後、SASUKEの要素を取り込んだ「忍者競争」や、山・川・海などの自然環境を進みながらゴールを目指す「アドベンチャーレース」といった「障害物レース」を導入することが発表された。
ルール
2009年のルール改正以降、射撃とランニングは「レーザーラン」というコンバインド競技として運営されている。
関連項目
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