この項目では、2009年10月08日に襲来した台風に係る京急で起こった混乱をまとめる。
なお、その前日2009年10月07日に発生したJR線人身事故によるダイヤ乱れについてもあわせて記述する。
なおこの項目内において、日付は特記を除き2009年10月とする。
台風、襲来 - 2009年10月08日 -
プロローグ
非常に強い勢力で予てより警戒されていた台風18号は、予報どおり8日午前5時に愛知県に上陸。首都圏西側を掠める最悪のルートを取っていた。京急と並行するJRの東海道・横須賀・京浜東北線には、既に間引き運転の予告がされていたため、京急には振替による逝っとけダイヤなどの混乱が生じるのは予想されていたのだが・・・
始発運行開始
始発からしばらくは準備の良い利用客が多かったためか、京急線はほぼ普段どおりの運行、運休の予定も当然無しであった。一方お隣のJR線では通常の5割の間引き運転中。
しかし7時をまわるとJR線の運休が次々に発生し始める。強風により東海道・横須賀・京浜東北線の並行JR線すべてが多摩川を渡れず抑止。ここまでは想定の範囲内と言えるものであったが、京急とは品川で接続する東京の交通の要・山手線がまさかのストップ。最終的に首都圏のほとんどのJR路線が運転見合せという異常事態に発展する。
また、京急の相互乗り入れ先である都営浅草線への直通は、両者の調整の難しさからか、かなり本数を絞られることとなった(時間帯によっては完全に中止)。
溢れる乗客
これまでにも並行JR線が止まるたびに振替輸送を受託してきた京急では、殺到する振替客をうまく誘導し、私鉄として限りあるキャパシティーを目一杯活用、時にはKQクオリティとも呼ばれる職人芸を駆使し対応してきた。今回も8時をまわり振替客が溢れてくると、普段どおりホームや改札内への入場規制を敷き対応した。列車は遅れを出しながらも必死に満杯の客を乗せ都心・品川へと向かって行った。
しかしここで予想外の事態が発生する。乗り入れる京急以外の全ての在来線がストップしていた品川では、京急で到着した乗客と、唯一の足である京急で品川を脱出しようとする乗客で大混乱に。到着したもののホームが一杯で列車から降りられないといった事態にまで発展した。
同様の症状は他の主要駅や他者線接続駅にまで感染していき、乗客の氾濫はもはや京急のみの力ではどうすることもできなくなっていった。
→ 【ニコニコ動画】21.10.08 台風18号通過による京急への影響
安全の選択を
9時20分、遂に京急線全線に抑止の指令が出される。JRからの振替客で駅やホームが混雑し、運行を継続すれば危険な状態になるとの判断であった。
その後、一時的に下り列車のみ運転を再開する。強風による運転見合わせが相次いでいる天候状態でも、京急はまだ走ることはできたのだ。他にもあらぬところで止められた列車の乗客のために、数駅程度の走行があったようだ。
→ 【ニコニコ動画】京急 台風18号 朝の一コマ
この間台風18号は、首都圏を暴風域東側に巻き込みながら北上していた。台風といえば暴風雨であるが、雨に関しては9時ごろに止んでしまう。それどころか雲が流され晴れ模様になる始末で、日が照っているのに実は暴風という動画では一見シュールな天候となった。その後台風は進んで行き、首都圏は暴風域から抜け風も弱まってくる。
ちなみに9日のとある報道では、「(この日は)自社で定める警戒の風速には達していなかった」との京急のコメントを載せている。
運転再開
山手線の運転再開が京急線の抑止解除の目安とされていたせいか、上り全列車品川止まりという条件付きで11時前についに運転再開を果たした(ちなみに山手線はすぐ再びの運転見合わせ)。その後中止されていた浅草線への乗り入れも再開される。
他の線区もだんだんと運転再開し、駅の混雑も引きはじめていた。京急本来の逝っとけダイヤもようやく解禁、積み残され再開を待ちわびていた乗客を昼の都心へ送り届けるのであった。
大混乱の予兆 - 2009年10月07日 -
7日7時ごろ、JR横浜駅で人身事故が発生。お隣のJR線は全て運転見合わせとなり、京急が振替を受託した。
横浜では改札の入場規制が敷かれ、振替客の非常に長い列ができた。また列車に遅れが生じたため、運用変更が発生。普通車は一部運休。日中のA快特は品川で折り返したほか、一部列車は2000形8MTが代走しファンにとってはたなぼたであった。
特筆事項
- 振替返し
7日朝は、一時的に全ての並行JR線が運転見合わせをしており、京急が振替を受託していた。
しかし京急公式サイト運行情報に、私鉄のほかJR線への振替を実施中と掲載された。 - 全線運転見合わせ
京急はどんなトラブルが起きようと、絶対に止まらない私鉄として有名であった。
8日ではついにこの事態となってしまったが、果たして何年ぶりのことだったのだろうか。 - 混雑による運転見合わせ
今回の運転見合わせの理由は、「JRからの振替受託による混雑で危険な状態」であった。
いくら職人芸で幾多の困難を乗り越えてきた京急でも、キャパシティーの限界はあった。
関連動画
本文中のリンクも参照されたし
関連項目
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