概要
国鉄EF65電気機関車は国鉄がEF60をベースに1965(昭和40)年から製造した電気機関車である。
0番台、500番台、1000番台が存在し、その中でも500番台はP型(=旅客用)とF型(=貨物用)に分かれ、1000番台はPF型(=旅客・貨物両対応)と呼ばれる。
EF64よりも製造が遅いくせに中央山線や上越線に入れないヘタレ機関車とも呼ばれる。まあ、平坦線用に開発されたので仕方が無いが。
番台ごとの説明
0番台
0番台は1号機~135号機が貨物牽引用として製造された。過去には高崎機関区などに大量配備されたが、現在は廃車が進み10機(編集時)しか残っていない。131号機~135号機はEF67-100に魔改造され國鉄廣島に配属され、末期色に近い色となって今日も元気にセノハチ峠を豪快に走っている。
保存機は、京都鉄道博物館に1号機が静態保存されている。ブルートレイン用客車と一緒に置かれているので、事情を知らない観客は、過去にブルートレインを牽引したと勘違いするかもしれない。
また、5号機がJR貨物の中央研修センターにて研修用のシミュレーターとして活用されていたが、新世代のシミュレーターに代替わりしたため2014年に解体された。
500番台
P型
P形は客車牽引に特化した形で製造された。後のEF510にも500番台=客車牽引用という精神は受け継がれます。501~512、527~531と535~542がP形、その中でも535~542は0番台を改造したものである。
20系客車で構成された寝台特急列車を牽引するため、専用塗装(これを特急色と呼ぶ)を施し、カニ22のパンタグラフ降下スイッチ、電磁ブレーキや20系客車との電話に用いるジャンパ栓を装備する。この電話は無線が整備されていなかった当時は運転士と車掌が直接連絡することができる手段として重宝した。
全機東京機関区に配置され、当初は東京駅を発着する列車以外にも大阪駅を発着する寝台特急にも用いられていた。毎日東京〜下関を往復することから、指定された年月ではなく走行距離で検査周期を迎えている。
現在は奇跡的に501号機(通称Pトップ)と535号機(通称ゴサゴ)が残っている。しかし、ゴサゴはデジタル無線が搭載されていない為、構内用の動態保存とされ、たまにJR主催の基地一般公開のときに顔を見せるのみであった。その後、生まれ故郷の東芝府中事業所に譲渡され、その敷地内に留置されている。Pトップはその貴重さに目を惹かれ、臨時列車のときなどはたくさんのネタ鉄が集る。
F型
F形は高速貨物牽引用として誕生した。513~526、532~534がF形といわれる。重連総括制御を考慮し、ジャンパ線等の増設を行っている。後に寒冷地での運用がありヒサシ等が付いているのもその特徴である。現在は全廃となっている。
貨物列車牽引用となっているが、重連総括制御装置を搭載した以外は基本的にP型と同じなのでP型の代わりにブルトレを牽引したこともある。ところでEF65による重連運用はEF66がデビューするまでのつなぎであり、実際用いられたのはごく短い期間であった。
1000番台(PF型)
EF65といったらこれであろう。P型とF型の両方の機能を詰め合わせているため、PF型とも呼ばれる。重連総括制御を標準装備としたため正面に貫通扉を配置した。また、前期型(1~5次車)と後期型(6~8次車)合わせて138両が製造され、1次車以上の勢力を誇る。さらにJR化後の改造で様々な姿が生まれ、Hゴムが白かったり黒かったり、プレートが切り抜かれてたり赤かったり、スノープラウが付いてたり付いてなかったり・・・ちなみにJR化後はほとんどがJR貨物に配備された。
一部はJR東日本やJR西日本に配備されたが、ブルートレインの撤退に伴って仕事の数が減ってきている。東の場合、現在は工臨や乗務員訓練などにしか使われないまさにNEETであることから、一部撮り鉄から”田端の暇人”とも言われる。現在は後継機のEF210の登場により、徐々に数を減らしてきている。なお2012年以降、JR貨物はJR旅客会社との区別をするため2000番台を変更。
塗装の違い
EF65にはさまざまな塗装があるが、百聞は一見に如かず、こんな長ったらしい説明を聞くよりも見に行ったほうがいいと思うぞ。
- 一般色・・・特急色とも呼ばれる登場時の塗装、もっとも一般的であったが、更新化が進み現在となっては貴重な塗装となった。
- 貨物2色更新色・・・JR貨物が作った塗装である。白と青の2色がベースになっている。(一部に黄色が含まれているが、それは突っ込まないで欲しい
- 貨物3色更新色・・・これもJR貨物が作った塗装である。2色更新色のライトの部分に淡い水色が入っている。
- 貨物関西更新色・・・岡山に転属したPF型、特に前期製造されたものに塗装された、広島更新色とも呼ばれている。貫通扉が末期色なのは仕様である。現在は2機を残して廃車となっている。そのなかでも1機は新鶴見に配属されており、後期車でもある。
- 貨物大宮更新色・・・EF65-1089にのみ塗装された色である。その貴重さ故、知らない人も多い。配色は2色更新色とあまり変わらず、青色が水色になっただけである。
- 貨物試験色・・・この塗装を見た誰もがそのド派手さに目を疑ったという...EF65-1059(通称センゴック)に使われた塗装である。この塗装目当ての鉄道ファンも多かったというが2008年に廃車となった。
- レインボー色・・・ジョイフルトレイン、スーパーエクスプレスレインボーの牽引用にEF65-1019とEF65-1118(通称ゲッパ)がこの塗装となった。しかし、スーパーエクスプレスレインボー亡き今、1019は廃車となり、ゲッパは田端で楽しい老後生活を送っている。
製造期間も車体長も長かったKATOのEF65
と、このようにEF65は名機関車であったため模型化も早かった。1969(昭和44)年には関水金属(現:KATO)が特に人気の高かった500番台P型を製品化した。ところが、開発を急ぎすぎたからか台車や動力ユニットは当時生産中だったEF70と兼用とされ、車体長が長くなるという部品共有ならではの現象が起きてしまった。しかし、当時は今とは違ってその程度の事なら笑って許してもらえた時代であったため大きな問題もなく、その当時の車体長を維持したまま生産が続けられた。
そして平成に入り、動力リニューアルの際に車体長の修正が行われるかと思いきや、なぜか車体長は維持された。その証拠に、屋根上のモニター部品には旧製品の製品番号である「302」が刻印されている。
しかし2000年代に入り、TOMIXやマイクロエースが正しい大きさのEF65を相次いで売り出してきたため、さすがにこのままではマズイと判断したのか2009年になって全面リニューアルを行った製品を発売した。その車両は、奇しくも最初に製品化された500番台P型であった。これについて不思議な縁を感じたユーザーも多いはずである。
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