MG(自動車)とは、イギリスの自動車メーカーである。現在は中国の上海汽車グループの傘下。
概要
もともとは英国の自動車メーカーモーリスの経営者ウィリアム・リチャード・モリス(後のナッフィールド卿)が1910年にモーリスのスポーツバージョンを制作する目的で工場を興したのが起源とされ、Morris Garageの頭文字をとってMGになったとされている。
Morris Garage発足からモーターサイクルの販売等を経て、1923年に初のスポーツカーRaworth 11.9hpを世に送り出し、自動車メーカーとしてのMGが始動した。
その後はミジェット等の名車を送り出し、ル・マン等のレースで活躍し、軌道に乗りだしたところでモーリスと統合。さらに、1938年にナッフィールド卿がライレーを買収したことで3社が合体し、ナッフィールド・オーガニゼーションという大企業になる。
WW2中は軍用車の生産に絞っていたが、戦後すぐに乗用車の生産を再開。そして当時のライバルであったオースチンがナッフィールドに吸収されたことでブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)となり、英国内で比類するものはいない程の巨大な自動車メーカーへとなった。
ところが1960年代後半、メイン顧客のアメリカで安全や環境に対する規制が厳しくなったり、日本車など他国の車が台頭しだし、業績はみるみる悪化。商用車やトラックを生産するレイランドと合併し、ブリティッシュ・レイランドとなる。詳細は該当記事に譲るが、品質は下がるわ労働者はストするわで会社は再起不能レベルに。
再建にあたり、MGは乗用車部門のオースチン・ローバーに組分けされ、本田技研工業と提携を始める。これにより、BL最大の問題であった劣悪な品質は大きく改善され、ローバー公社となった後、1988年にブリティッシュ・エアロスペースへ売却され、ローバーグループとして民営企業へ戻る。
しかし、再び軌道に乗りだしたのもつかの間、1994年に突如BMWがローバーグループを買収。そのゴタゴタでホンダとの提携は解消されてしまう。そんな中、BMW主導でローバー・75が開発されたが、エンジンはポンコツ極まる代物だった上、整備性が最悪だったこともあり業績は悲惨なことに。2000年にはローバーグループは解体され、イギリスの投資グループにわずか10ポンド(当時のレートで約1700円)で売却されてしまう。BMWは一体何がしたかったんだ。
買収後、社名はMGローバーに変わり、2003年にはインドのタタ・モーターズと技術・資本提携。タタの小型車インディカをローバー・シティローバーとして販売していたが、インディカ自体出来の良いものではなく、それ以外のラインナップは90年代のホンダと提携していた頃から全く進歩していなかったため、ここでも置いてけぼりを食らう羽目に。そうこうしている内に2005年にはMGローバーは経営破綻、ローバーとは離れ離れになる形で中国の南京汽車の傘下に、後に南京汽車は上海汽車の傘下になったため、合わせて同社の傘下となった。
主な車種
- MGA:2シーターのオープンカーで、英国スポーツカーの黄金時代を築いた1台。特に北米で大ウケし、生産台数の約半数は北米へ輸出されていたと言われる。また、ル・マン24時間やモンテカルロ等様々なジャンルのレースで活躍した。
- MGB:MGAの後継車。ボディ設計はモノコック構造と別物となっており、BMCの他車種の部品と共用することでコストも抑えられた。こちらもMGA同様様々なレースで活躍した。
- メトロ:ブリティッシュ・レイランド国有化後、フォード・フィエスタに対抗するミニの後継車として開発された。お披露目時にはマーガレット・サッチャー首相も出席する気合の入りよう。オースチン、バンデン・プラからもメトロが出ているが、オースチンが標準、バンデン・プラがラジカセや電動窓等のオプション装備マシマシ、MGが馬力アップ版といった風に差別化されている。なお、国内での売れ行きは好調だった反面、BL特有の品質の悪さが足を引っ張り、国外では不評だったとか。
- メトロ6R4:F1コンストラクターも開発に関わり、グループB仕様になったメトロ。ローバーV8をぶった切ってV6にする等ぶっ飛んだことをしているが、F1のノウハウ故かラリーカーなのに空力が凄まじく良かったという。レスポンス重視であえてNAにしたが、戦績の方はお察しください。なお、このV6エンジンは後にジャガー・XJ220のエンジンのベースとなった。
- RV8:ローバーグループ時代、マツダ・ロードスターが世界的人気を博したことに対抗し、MGBを近代化させる方向で開発。わずか2年間で2000台ほど生産され、75%が日本へ輸出された。ちなみに日本では約400万円だったが、英国では25000ポンドと結構お高い値段だったため中々売れなかったとか。
- XPower:MGローバー時代、イタリアのクヴェールを買収後に発表されたマシン。カーボンファイバー製ボディパネルにフォード・マスタングのV8をぶち込んだ2シーターだが、パーツ製造は英国、組立はイタリアという面倒な事をした結果、ポルシェ・911GT3並の高価格に。当然生産は全グレード合わせてわずか82台と全く作られなかった上に全く売れず、経営破綻の原因になったとも。純正エンジン搭載のSVと、チューンエンジン搭載のSV-Rの2種類があった。デザインはデ・トマソ マングスタの後継を目論んでいたからか中々洒落てはいる。
- MG3:上海汽車傘下になった後開発されたコンパクトカー。1.5Lながら105馬力と中々にパワフル。
- MG6:中国で発売された栄威・i6をベースとしたサルーン。1.5L直4ターボ等ガソリン仕様の他、PHEV版もある。なお、試乗レポートによれば、全体的なデザインは20年前の日本車の寄せ集めのようとも。
関連動画
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関連項目
- 自動車
- イギリス
- 英国面
- ブリティッシュ・レイランド
- ホンダ
- ローバー
- BMW
- 上海汽車
- ForzaHorizon5…旧作から出続けているメトロ6R4の他、XPowerSV-R、MG3、MG6が登場。
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