NC700S,NC700Xとは、本田技研工業株式会社が開発・製造しているオートバイ(大型自動二輪車)である。
Sがネイキッドタイプ、Xがクロスオーバーツアラータイプである。
概要
NC700シリーズが誕生した経緯は、ホンダが大型オートバイの市場調査を行ったところ、
「最高速は140km/h以下」「最大回転数は6000rpm以下」という結果が出た。そこで、ホンダは
街乗りやツーリングでの使いやすさを重視し、燃費の良い安価な大型オートバイの開発に至った。
それがNC700シリーズ誕生のきっかけである。
ホンダはそれを「ニューミッドコンセプトシリーズ」と称した。その第1弾がNC700シリーズである。
2011年10月、欧州で先行発表され、同年12月の東京モーターショーで日本でも市販化予定があることを発表。
日本では2012年2月24日にXのMTモデルが発売、同年6月14日にタイプLD(シート高を低くしたモデル)、DCTモデルが発売となった。
2012年4月24日にSのMTモデルが発売、同年6月14日にDCTモデルが発売となった。
エンジンは排気量669ccの水冷SOHC4バルブ並列2気筒。低中速のトルクを重視しており、最大回転数・出力特性を一般乗用車のような味付けにしている。最大回転数は6500rpmと低い。そのことから、燃費はかなり良く、41.5km/L(NC700S,60km/h定地走行テスト値)を記録。実燃費でも街乗りで30km/L、ツーリングで35km/L程度を叩きだすエコバイクである。
トランスミッションは一般的なマニュアルトランスミッション(6速)と、デュアルクラッチトランスミッション(6速DCT)の2種類から選べる。DCTモデルでは、ATモード(オートマチック)・MTモード(マニュアル操作)の切替が可能で、ATモードでは低燃費走行に適した「Dモード」とスポーツ走行に適した「Sモード」の2種類を選択可能。
ABSはMTモデルはメーカーオプション設定、DCTモデルは標準装備となる。
車体は燃料タンク(容量14L)をシート下に移動したことにより、通常のオートバイなら燃料タンクが位置するところにフルフェイスヘルメット1個が収まるメットインスペースを持つ。(1999年生産終了のNS-1以来、同社では13年ぶりのメットイン付きMTバイクである)
なお、日本の免許制度上、DCT車でも大型二輪免許のオートマチック限定免許では運転不可能となるのでご注意を(許容最大排気量が650cc以下のため)。
2013年3月にはNC700Sをベースにした教習車「NC750L」が発売された。2008年8月に生産終了となったCB750教習車の後継機である。道路交通法の規定により、教習車として使用出来るマシンは700cc以上のため、排気量を669cc→745ccにアップさせたほか、トランスミッションの5速化、エンジン性能は高回転域を削り低中速側に大きくシフト、フレームの専用設計化、シート高の低床化、教習車に無くてはならないランプ類やエンジンガード等を装備している。
そして2014年1月14日、これの排気量アップバージョンである「NC750S」「NC750X」の発売が発表され、同年1月24日に発売となった。NC750Lと同一ボア・ストロークではあるが、一般販売に伴い本来のパフォーマンスに戻される格好となった。エンジンバランサーが従来の1軸から2軸に変更され、振動も軽減。トランスミッションはハイギアード化されたおかげで燃費が42.5km/L(Sの場合。60km/h定地走行テスト値。)を記録したほか、瞬間燃費計・平均燃費計も搭載。DCTモデルではプログラミングの改良、MTモデルではギアポジションインジケーターが搭載され、幻の7速に入れることもなくなった。
派生車種
- NC700D/NC750D インテグラ(スクーター) これのコンポーネントを流用した大型ビッグスクーター。トランスミッションはDCTのみ。
- CTX700/CTX700N これのコンポーネントを流用した大型クルーザーモデル。無印のみハーフカウル付き。
スペック
※S,Xの下段カッコ内は750版。700・750共通の場合は省略する。
S | X | L | |
形式名 | EBL-RC61 (EBL-RC70) |
EBL-RC63 (EBL-RC72) |
EBL-RC67 |
全長 | 2195mm | 通常:2210mm LD:2195mm |
2190mm |
全幅 | 760mm (780mm) |
830mm (840mm) |
780mm |
全高 | 1130mm | 通常:1285mm LD:1255mm |
1120mm |
ホイールベース | 1525mm | 通常:1540mm LD:1525mm |
1520mm |
地上最低高 | 140mm | 通常:165mm LD:140mm |
130mm |
シート高 | 790mm | 通常:830mm LD:800mm |
770mm |
車両重量 | 通常:211kg ABS:215kg DCT:225kg (通常:214kg) (ABS:216kg) (DCT:226kg) |
通常,通常LD:214kg ABS,ABS LD:218kg DCT,DCT LD:228kg (通常,通常LD:217kg) (ABS,ABS LD:219kg) (DCT,DCT LD:229kg) |
215kg (バンパー、ランプ等 フル装備で227kg) |
最小回転半径 | 3m | ||
エンジン型式名 | RC61E (RC70E) |
RC67E | |
総排気量 | 669cc (745cc) |
745cc | |
冷却方式 | 水冷 | ||
気筒数 | 並列2気筒 | ||
吸排気弁構造 | SOHC4バルブ | ||
内径×行程 | 73mm×80mm (77mm×80mm) |
77mm×80mm | |
圧縮比 | 10.7 | ||
最高出力 | 50PS/6250rpm (54PS/6250rpm) |
37PS/5250rpm | |
最大トルク | 6.2kgf/4750rpm (6.9kgf/4750rpm) |
5.5kgf/4000rpm | |
燃料供給装置 | 電子制御燃料噴射装置(PGM-FI) | ||
燃料タンク容量 | 14L | ||
燃費 (60km/h定地走行テスト値) |
41.5km/L (42.5km/L) |
41km/L (42km/L) |
37km/L |
燃費 (WMTCモード値 クラス3-2) |
公式未発表 (29km/L) |
公式未発表 (29km/L) |
公式未発表 |
エンジン始動方式 | セルフスターターのみ | ||
点火装置 | フルトランジスタ式・バッテリー点火 | ||
クラッチ形式 | 湿式多板・コイルスプリング式 | ||
トランスミッション | 常時噛合式6速MT 6速DCT |
常時噛合式5速MT | |
タイヤ | 前:120/70ZR17 後:160/60ZR17 |
||
ブレーキ | 前後とも油圧式シングルディスク | ||
ABS | MTモデル:メーカーオプション設定 DCTモデル:標準装備 |
なし | |
サスペンション | 前:正立テレスコピック式 後:スイングアーム式(プロリンク) |
||
乗車定員 | 2名 | ||
フレーム形式 | ダイヤモンド式 | ||
登場した車体カラー | グラファイトブラック マグナレッド パールサンビームホワイト (マットパールグレアホワイト) (グラファイトブラック) |
パールサンビームホワイト マグナレッド ダークネスブラックメタリック デジタルシルバーメタリック カムフラージュグリーン ※150台限定 (ソードシルバーメタリック) (マットパールグレアホワイト) (パールスペンサーブルー) |
パールサンビームホワイト |
価格 | 通常:59万8500円 ABS:64万7850円 DCT:70万1400円 (通常:64万9950円) (ABS:69万9300円) (DCT:76万3350円) |
通常,通常LD:64万9950円 ABS,ABS LD:69万9300円 DCT,DCT LD:75万2850円 (通常,通常LD:71万4000円) (ABS,ABS LD:75万750円) (DCT,DCT LD:81万4800円) |
84万9450円 |
関連動画
関連項目
- 0
- 0pt