TEMU(てむ / てぃーむー)とは、中華人民共和国の電子商取引会社「PDD Holdings」が設立したオンラインショッピングサイトである。
概要
2022年9月1日にアメリカのマサチューセッツ州ボストンで事業を開始した。2023年7月11日には日本でもサービスを開始した。ファッション、日用品、家電、家具など幅広く取り扱っている。2023年9月の時点でのアプリ累計ダウンロード数は4.5億回を突破したとされている。
世界中から利用される理由は単純明快、超安いから。「Shop Like a Billionaire(億万長者気分でお買い物)」のコンセプトの通り、ワイヤレスヘッドフォンが400~700円など、目を疑うほどの低価格の商品が並ぶ。この低価格が実現できる理由には「実店舗がないから」「中間業者がいないから」などが挙げられる。
またプロモーション戦略に力を入れており、多額の広告費を投入している。
問題点
既にご存知の者もいるだろうが、TEMUには以下のように多くの問題点が存在する。
- 製品の品質・安全性への懸念
- 品質は良いとは言えないことが殆ど。梱包に関しても灰色のビニール袋1枚だけで、国際便にも関わらず梱包材は一切なかったりとかなり雑な様子。
- 更に「基準値を超える有害物質が含まれている」など、安全性への懸念も度々指摘されている。韓国ソウル市では2024年4月25日、TEMUとAliExpressで販売されている子ども向け製品22点に対し安全性調査を実施し、そのうち11品が基準値より300倍以上の有害・発がん性物質が検出されたと報告した。この他にも韓国は幾度か中国ECサイトの商品に対し安全性調査を実施し、有害物質の検出を報告している。
- 個人情報の漏洩リスク
- PDD HoldingsはTEMUの他に「拼多多(Pinduoduo)」という別のECサイトも運営しているが、2023年3月頃に同サービスのAndroidアプリにてユーザーの同意なく通話履歴や写真アルバムにアクセスしていたことが判明。後にGoogle Playはマルウェアの疑いでこのアプリを停止した。
- TEMUは現在マルウェアの報告はされていないが、上記の前科がある同社が運営しているため警戒されている。更にTEMU利用後にクレジットカードが不正利用されているとの報告も相次いでおり(日本でも話題になったことがある
)、現段階でも安全なアプリと断言できない。 - 倫理的懸念
- ウイグル弾圧に加担しているとの疑惑も出ている。アメリカ合衆国下院の中国共産党特別委員会の報告書(PDFリンク
)では、TEMU含め4社を名指しし「ウイグル人の強制労働製品を流入させている」と指摘した。 - その他
- 有名ブランドの名前やロゴを模した商品が並ぶなど、著作権の面でも不安が残る。出品者側も不当な罰金や支払いの差し止めなどに不満を募らせており、一時期デモを行っていた。
以上のことからTEMUの利用は推奨はできないし、使うにしても全てにおいて自己責任であることは念頭に置いておこう。
広告
上記のような問題がインターネットで拡散され、日本でもTEMUは「怪しい・危険なアプリ」として認知され始めている。それにも関わらず、現在でも様々な媒体で絶えずTEMUの広告が流れ続けていることが問題視されている。
2024年7月21日、フジテレビで放送された「27時間テレビ」では、芸人「おかずクラブ」のオカリナとゆいPによってTEMUの宣伝が行なわれ、「詐欺の片棒を担いでいる」と炎上した。同年8月26日、NHKで放送された「おはよう日本」にてTEMUとSHEINが取り上げられ
、やはりこちらも批判を呼んだ。
ネットでもTEMUは広告で暴れまくっている。中にはグロデスクなデザインの商品を表示させることもあり、SNS中心に阿鼻叫喚が止まない。
2024年10月26日、ガジェット系YouTuber「たこまる」氏によってTEMUの案件事情が暴露された(該当動画
)。彼は様々な代理店を通し何度もTEMUのPR依頼があったらしく、報酬は1回8分の動画で100万~200万円とのこと。またオリエンシート(案件の指示書)には「ネガティブな発言は一切しない」「中国の会社が運営していることは一切言わない」と記載されていたとされる。
関連動画
関連リンク
- テレビCMを打ちまくる「Temu」は危険なのか 激安を実現するビジネスモデルとは:世界を読み解くニュース・サロン(1/5 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン
- 中国のSHEINやTemuの製品から基準値超える有害物質 韓国ソウル市:時事ドットコム
- 中国AliExpress・ Temuで販売中のキッズ用品から「基準値348倍超」の発がん性物質を検出 ソウル市調査-Chosun online 朝鮮日報
- Google flags apps made by popular Chinese e-commerce giant as malware | TechCrunch
- 大手通販アプリにユーザーを監視するマルウェアが仕込まれていた疑いでGoogleがアプリの配信を停止 - GIGAZINE
- Temu is Malware — It Sells Your Info, Accuses Ark. AG - Security Boulevard
- Temuの販売業者ら、「不当な」罰金と販売代金差し止めに反旗 「本当に絶望」 - CNN.co.jp
- 「どうなってんの?」NHK『おはよう日本』が中国通販サイトを大絶賛…商品は格安でも有害物質「基準値238倍」の惨状(SmartFLASH) - Yahoo!ニュース
- 動画1本で報酬は100~200万円 人気YouTuber、中国発の激安通販サイト「Temu」の案件事情を明かす - YouTubeニュース | ユーチュラ
- あまりにも魅力的な「デカすぎるプールのTemu広告」を買ってみたら詐欺だった。でも…【100万円の古民家】 | ロケットニュース24
関連項目
- 通販
- 中華人民共和国
- AliExpress - 同じく中国発ECサイト。こちらもやはり問題が多い。
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