This is a pen. とは、英文のひとつ。
曖昧さ回避
- This is a PEN. - 日本のビジュアル系ロックバンド。YouTuberのヲタファがかつて在籍していた。
- This is a pen. - えんそくの楽曲。
- 『これはペンです』- 第145回芥川賞候補となった円城塔の小説。新潮文庫版の表紙には"This Is A Pen"と書かれている。
概要
「これはペンです」を意味する英語の文章に過ぎないが、日本では「英語教育において一番始めに学ぶ文」の代名詞として様々な文脈で使用される。
いわゆるSVC構文における「主語・be動詞・補語」の語順を学ぶ用例であり、主語Thisの後に存在を表すbeの三人称単数形isがつき、その後に補語として任意の名詞がつく。不定冠詞aは固有名詞ならば必要ないが、penは一般名詞のためつけなければならない。
以上のように、英語の最も単純な形を構成する文と考えられる。
実際の用例
各種の批判にあるように、実際に「This is a pen.」を使う機会は皆無に近い。
数少ない用例として、以下のものがある。
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https://twitter.com/tomo3141592653/status/764969066306101252
これを見れば分かるとおり、この文は見ただけではペンだとは分からないものに対して、または相手がペンというものを知らない場合にしか使えない用法なのである。
また、上記の会話でも、実際にはセキュリティチェックから「What's that?」とでも訊かれたことに対して答えたのだろうから、「It's a pen.」の方が適切かもしれない。
「This」は、日本語の「これ」と微妙にニュアンスが異なる場合があり、「これはそうだよ(他のはどうだか知らないけれど)」というニュアンスが含まれる場合もある。また、すでに話題に出ていることに関しては日本語で「これ」と言うべき場合でも「it」が使われる。
不定冠詞「a」は不特定多数のものから一つを取り出して指すものであるため、すでに話題に出ているペンであれば「the pen」となる。
したがって、「It's a pen.」「This is the pen I've been wanted.」「This is my pen.」のように、代名詞が異なったり、冠詞が違ったり、所有格がついたり、後ろに関係代名詞節がついたりする事例はあっても、単純な「This is a pen.」が使える事例はなかなかない。
「This is a pen.」は、ペンを知らない人に対しておもむろにペンを1本取り出し、「これはペンというものだよ! 字が書ける優れものだよ!」というようなプレゼンテーションをするようなシチュエーションでもないと使わないだろう。
教科書での用例
「This is a pen.」が教科書の用例として登場したのは、1949年から1961年にかけての三省堂の教科書とされている(参考)。しかし、62年から例文が「I have a book.」に代わっている。
すなわち、1社の教科書で12年しか使われなかった用例なのである。
また、その教科書で英語を勉強した世代は、2019年現在70歳近い。
したがって、実際に「This is a pen.」と書かれた教科書で学んだ人は、若い世代では皆無に近いと考えられる。
2019年現在、三省堂の中学英語教科書『NEW CROWN』では、はじめに学ぶのはアルファベットの書き取りであり、その後「Hello.」「Good morning.」などの基本的な挨拶文を学ぶ。
文法の単元として初めて学ぶ英文は「I am Tanaka Kumi.」である(参考)。「This(That) is ~」はその次の単元で学ぶ。
小学校英語教育が浸透した現在においても、中学1年生の始めの授業は「初めて英語を学ぶ」生徒を想定して構成されているため、「This is~」を学ぶ以前にやらなければいけないことがたくさんある。
代名詞として
英語が分からない
英語を教科書の最初の方以外すべて忘れた、英語をろくすっぽ勉強していませんでした、ということを表す。
この用例は、ドリフターズ(当時)の荒井注が発する「This is a pen!」のギャグが最も有名である。
国際会議の中「日本はどうなんですか!」と英語でまくし立てられる中、立ち上がり貫禄たっぷりに「This is a pen!」、学習院大卒を鼻にかけて英語でしゃべる仲本工事を尻目に白バイから「This is a pen!」など、何の脈絡もなく放り込まれる。
『どくとるマンボウ青春記』では、筆者のドイツ語能力に対して「It is a pen.を訳すときにitを引いてisを引いてaを引いてpenを引く」と形容している。
英語教育への批判として
「This is a pen」なんて、実際に使わない英語を教えるな! というような、英語教育に対する批判としてやり玉に挙げられる。
しかし、先述の通り、現在の英語教科書ではすでにこんな英文は使われていない。
したがって、これを引き合いに出すこと自体が、英語教育の実態をろくに知らないことを証明しているとも言える。
類似の文
「This is~」「That is~」「Is this~?」「I have~」など、英語初学者に定番の構文およびその日本語直訳が、パロディとして用いられる。「~」には、penやappleなど単純な英単語が入る。
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関連項目
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