『ウィザードリィ外伝』は、ファミコン版ウィザードリィから派生した一連のシリーズ作品のタイトルである。
この記事は、シリーズ全体をなんとなく説明するものである。
『ウィザードリィ』は日本のファミコンにも移植され、90年代初頭までには独自の人気を獲得していたが、このファミコン版はII、IIIとシリーズを重ねるうちにゲーム内容も原作から大きくアレンジがされていた。
91年、日本独自にゲームボーイで発売された『ウィザードリィ外伝I 女王の受難』はそのファミコン版の直系にあたる作品で、同じアスキーとゲームスタジオが手掛けている。原作の存在しない全くの日本語オリジナル作品であり、英語への移植も行われていない。
内容はストーリーがオリジナルなだけで、いつものウィザードリィと言ってしまえば簡単だが、翌年92年にSFCに移植される『ウィザードリィV』のゲームシステムが先行で採用されている。呪文の刷新、シークレットドアの仕様変更、ロングレンジ武器の実装と、ファミコン時代に存在しなかった要素の導入で、探索と戦闘の双方の深みが増している。
ゲームバランスについても#5に似て、初期シリーズより強めの敵が全体的に登場し、特に最強ランクの敵は裏エリア的に隔離されたフロアに出現する仕様を再現している。
またファミコン版III独自要素だった種族特性値を引き続き採用し、種族の個性を強調。さらにオートマップ機能の追加(デュマピックがオートマップの魔法になった)、戦闘シーンのアニメーション演出などなど、PC版の#5とも違うゲーム機ならではの要素も見られ、本作は外伝というタイトルながらファミコン版の発展型と言うべき内容でもあった。
外伝シリーズは#5以降の要素を積極的に取り込んでいるが、新要素を取り込まずにファミコン版から発展させなかった部分もかなりある。
#5のような不定形・不均一のダンジョン構造ではない。ひとつのフロアは初期シリーズ同様の四角いマップである。予想外の方向に地図が伸びていくことは起きにくく、1フロアのマップ完成に専念できるようになっている。
#5では迷宮内にNPCがおり、通せんぼしてきたり戦闘になったりアイテムの取引ができたりと複数の役割があり、複雑な交渉を要することもあったが、外伝Iにはこのような概念のものはいなかった。イベントフラグは単に所持アイテムの有無などで判定され、比較的単純なままである。
#5ではNPCから強いアイテムが買えたり、最強武器を決まった敵だけが落とす設計を取っていたが、外伝Iはそうはしておらず、最強レベルの武器も全てランダムである。強敵は強いアイテムを落としやすいが、特定の敵に限定ということはない。
実は原語版で村正が本当に最強武器なのは2作目「ダイヤモンドの騎士」までなのだが、外伝シリーズでは一貫してずっと、ハチャメチャに強い。
あとファミコン版IIIに引き続いてエクスカリバーもよく出る。
なんでかオーディンソードは全然出てこない。
さらにアイテムについてはコンプリートの概念が追加されている。商店に売ったアイテムがそのまま店頭に並ぶ仕様は初代からの仕様だが、外伝シリーズでは売られていない品の情報もプレイヤーに開示されている。全てのアイテムを揃えると「転生の書」という特別なアイテムが手に入り、続編で使えるパスワードを表示できるようになる。
趣味の要素であったアイテム集めが、この外伝シリーズではあくまで任意ではあるが、明確な目的として設定されているのである。
上記はハード性能による制限や、携帯機を意識した仕様も多いと思われる。たとえばSFCの外伝IVでは簡易だがNPCもいる。
しかし上記要素の中にはPS以降の「ウィザードリィ」群、さらにはその後継的な国産ダンジョンRPGでも引き続き採用されている要素もかなりあり、ハードの制約というよりこのようなゲーム構造そのものの魅力が重視されていたことも見て取れる。
このゲーム設計を磨き上げて完成させたのがウィザードリィ外伝シリーズであり、現在のダンジョンRPGの源流として、原作ウィザードリィ以上に重要な作品群であるとも言える。
この「ウィザードリィ外伝」シリーズ4作のほか、PSのウィザードリィ〜DIMGUIL〜は機種を越えてパスワードの互換性があり、事実上の外伝Vとして扱われている。
注目したいのは外伝IIIである。『外伝III』はゲーム設計をそのままに、ウィザードリィ6で追加された種族・職業を(全部ではないが)追加するという大胆なことをやった作品で、屋外とダンジョンが入り混じる広大なマップも、ウィザードリィ6のイメージを強く受け継いだものである。
独特の亜人種、従来と異質な職業により、新しいイメージを取り込みながら、古いゲームシステムの良さを維持するという日本版ウィザードリィの方向性がはっきりした作品だった。
その後もっと複雑なゲームが作れそうなハードになっても、ゲームシステムがそのまま維持されていった。良くも悪くもである。
この傾向は、90年代後半以降に登場する他社製の国産『ウィザードリィ』にも影を残していると思われる。
特に現役の複数のダンジョンRPGの先祖に当たるPSの『ウィザードリィエンパイア 古の王女』は種族、ゲームシステム、一部の呪文名・効果にまで、オリジナルのウィザードリィよりむしろ外伝III、IV以降の影響が見られる。
このPC用の2作品については、タイトルが偶然同じというわけではなく、ゲームボーイ以来の外伝シリーズ主要スタッフが主体で制作したシリーズである。ただし版権は旧シリーズと異なるようで呪文名は普通の英語になっている。
ゲームボーイ3作品については復刻版が存在するがパッケージに「復刻版」と書かれているだけでゲーム内容に違いはない。バグもそのまま。
掲示板
14 ななしのよっしん
2023/06/07(水) 16:13:55 ID: VnNicozeEq
「外伝の作者は村正を圧倒的一強にしたかったに違いない(だがWizの事を理解していなかったため失敗)」
という主張は的外れだと感じる
侍最強の村正とロード最強のエクスカリバー(オーディンソード)を並立させ、
ロード最強防具の聖なる鎧を出し、侍にも強い鎧の赤糸威や黒糸威を新たに設定する
これは「1から5までにあった強いアイテムをそのまま出す」という路線に加えて
「侍もロードも強い武器と防具がある」と両者を平等に扱ったものに思える
15 ななしのよっしん
2023/06/12(月) 22:45:53 ID: MG3hHdNU0b
>>13
赤糸威が追加された外伝2についていえば種族武器なんかもあるし、侍以外を引き上げようとした意図は感じられると思う
しかし結果的に君主が侍より強敵の多くに対して遥かに有利で、並立を狙ってたとしても失敗してるし
データ設定の練り込み、おそらくはシステムの理解度も不十分という見解は変わらない
>>12は外伝3の話
外伝3は村正に限らずデータが雑すぎて
(#1と#5の数値システム差(外伝2では配慮されていた)に合致してない弱すぎる中レベル武器とか)
熟慮して並列とかとても考え難い
このデータから熟慮と浅慮のどっちを読めるかといえば確実に後者なわけで
(外伝4やディンギルはまた違う。外伝1は武器がバグってるので議論は別の機会)
16 ななしのよっしん
2024/04/16(火) 19:18:25 ID: J8gZgw9ix4
初代起動時のぬるっとしたロゴ変形好き
急上昇ワード改
最終更新:2024/12/26(木) 21:00
最終更新:2024/12/26(木) 21:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。