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ウィザードリィ

(FC)Wizardry1 - Title
6849

ウィザードリィ(原題:Wizardry)とは、1981年米国Sir-Tech社が発売したコンピューターRPGであり、そのシリーズ作品である。

3DダンジョンRPG古典傑作にして、RPG歴史に重要なを与えたタイトルのひとつである。

オリジナルApple II版。以降、日本PCや、ファミコンをはじめとする多くの家庭用ゲーム機に移植された。

称はWIZだが一般的すぎて他の作品との混同されかねないので使いどころに注意。
タイトルの「Wizardry」とは「魔法」そのものの意。接尾辞はlyではないので「魔法っぽい」ではない。

**概要**

コンピューターRPG、特に個人用としては最初期のものであり、世界観、ゲームシステムAD&D第1版のものに従っている。プレイヤーは最大6人の冒険者からなるパーティを操作し、視覚的に表現された3Dダンジョン探索していく。
冒険中のルールは(D&D的な意味での)古典ハック&スラッシュで、敵を倒してお金経験値を入手し、レベルを上げていくというものだが、宝物の入手に特徴がある。基本的にはダンジョン内に宝物は設置されておらず、戦闘ごとに出現する宝箱から手に入れる方式である。

な装備、アイテムはこの中身のランダム宝箱から入手する他ない。このシステムから『玄室』と呼ばれる敵の固定出現地点を巡回する独特のプレイスタイルが生まれた。

ゲームセーブ戦闘終了などのタイミングで自動で行われるのも特徴。キャラクターが死んだから前のセーブまで戻る、ということも戦闘中リセットすればできるが戦闘が終わってしまうと理になる。また本作は運が悪いと復活失敗してキャラクター消滅(ロスト)することもあるため、死のリスクは大きく、軽率行動を選択できないようになっている。

という基本的なゲームルールシリーズで共通しているとは限らないのであるが、とりあえず1作「ウィザードリィ」は上記のようなシステムとなっている。

*王道ファンタジー?*

世界観はけっこう適当。基本的にD&DのようなTRPG世界の中に、独自の変なパロディが混入している。映画「ホーリー・グレイル」からされた殺人ウサギボーパルバニー」、クイジナートのフードプロセッサーをパロディしたものの日本人にわかりにくかった「カシナートの」などが有名なところ。迷宮に場違いなニンジャサムライも大量に登場する。

敵の大ボスワードナ」と王様のトレボーは、原作者ふたりの本名を逆読みしただけという、適当かつ内輪ネタだ。の人物マーフィーもただの友人の施設もすべてTRPGで使っていたキャラクター名前だという。

ただそれで王道ファンタジーじゃないと言えるかというとそれは別問題である。マイルフィックやグレーターデーモンに笑える要素は全くないのだから。そんな恐ろしい存在にクイジナートので立ち向かう戦士は、果たして本当に笑える存在だったのだろうか。
だいたい重厚で暗い雰囲気のパッケージは元からである。
付け加えると、上記で有名なパロディと書いたが、一作についてはこれ以外のパロディはほとんど知られていない。

後述するように有名なファミコン版が重厚な雰囲気を強調していたことや、「カシナートの」などのジョーク要素が日本人には伝わりにくかった(ボーパルバニー日本でも十分通じたはずだが…)ことから、「日本にはウィザードリィの雰囲気が変質して伝わった」と言われることもある。
だが原版でも基本は王道ファンタジーから大きく外れてはおらず、本作にちょっと見られるパロディ要素について「ファミコン版でシリアス世界になった!原作を尊重していない!」と殊更に取り上げる必要がある程のものかは、かなり疑問である。
また90年代にはギャグ4コマ漫画が何冊も出たり、ムラマサミキサーというデマが流れたこともあり、日本人にしろそこまでシリアス一辺倒に解釈していたわけでもない。

版でもシリーズが進むほどパロディ要素はだんだん少なくなっていくが、シリアス一辺倒ではなくちょっとしたジョークギャグっぽいセリフはちょくちょく出てくる。世界観自体もSF成分が強まったタイトルも登場する。カシナートの普通「剣」として登場し続けた。

職業に「」や「忍者」がいるのは、後述する「Oubliette」にも既に登場していたとのことだが、本作は当時アメリカ開されていた映画小説されているようだ。
こういう和風要素はファイナルファンタジーなどの後発作品にも頻繁に登場するようになり、特にギャグともならず定番化していったのは周知のとおり。

*シリーズ*

Sir-Tech社から発売されたメインシリーズ#1~#8の8作品。移植された機種によって内容が異なる場合も多々ある。

#1-Proving Grounds of the Mad Overlord
省略名:PGM(もしくはPG)、邦題:狂王の試練場

#2-Knight of Diamonds
省略名:KOD、邦題:ダイヤモンドの騎士

#3-Legacy of Llylgamyn
省略名:LOL、邦題:リルガミンの遺産

#4-The Return of Werdna
省略名:ROW、邦題:ワードナの逆襲

#5-Heart of the Maelstrom
省略名:HMS、邦題:災渦の中心

#6-Bane of the Cosmic Forge
省略名:BCF、邦題:禁断の魔筆)

#7-Crusaders of the Dark Savant
省略名:CDS、邦題:ガーディアの宝珠)

#8-サブタイトルなし

FC版とそこからの再移植版にあたるSFC版、GBC版は#3のリルガミンの遺産が「II」、#2のダイヤモンドの騎士が「III」になっている。
これは「ダイヤモンドの騎士」が前作で育ち切ったキャラクターを使うことが前提のシナリオであり、単独でまともにプレイできるものではなく、移植が後回しにされたため。ファミコン版「III」は原作から内容を大幅に変更し単独でも遊べるようになっている。
ファミコン版系列ではないPCエンジン版とPS版サターン版などはオリジナルに準拠し、キャラクター転生が前提の#2(II)になっている。

ゲームシステムが共通しているのは#1~#3。
#4は#1の敵役ワードナを役に据え、シリーズの画面構成はそのままに冒険者ではなくモンスター側を操作するという内容で、メタ視点ジョーク軸に据えた独特のものとなっている。
#5では後のシリーズを構成するDavid W. Bradleyが参加し、#1に近いシステムながら呪文の刷新や交渉可NPCマップの大きさが階層ごと変化するなど、より複雑な内容となっている。

D.W. Bradley全に導権を握った#6ではゲームシステム全に変更され、特徴的な呪文の名称も変更、ストーリー舞台も変更され、#5以前とのつながりは職業のほかアイテム名に残る程度。
を拠点にするゲーム設計は止され、地下迷宮に留まらない広大マップを、最初に作成したパーティで最後まで冒険することになる。キャラクター育成には高度なスキル制を採用し、戦闘には幅広い戦術がめられる。ストーリー迷宮の仕掛けもさらに複雑になった。
しかしながら基本の職業と6人パーティ制が同じであるため、これだけ変わっても雰囲気自体はそこそこ受け継がれている。RPGとしての評価も決して低いものではない、むしろ高い。
ただしゲーム設計の変更で「玄室で敵を倒してランダムアイテム出させる」的遊び方はあまりできなくなっている(全くないわけではない)。

#7ではグラフィックの質が大幅に向上した他、時間の経過とそれにともなうNPCとの競争という新な試みが導入された。また、前作のセーブデータを引き継ぐことでオープニングと開始地点が変化する点も、あまり見られないシステムである。
冒険の舞台広大な地上世界で、移動中には自行動するNPCとの遭遇もあり、前述の競争も含めて彼らとの関係が進行上重要なポイントとなる。
ストーリー完結しないまま次作に続くが、社内問題でD.W. BradleyがSir-Techを辞めてしまったため、#8の開発混乱し、延期を重ねた。

#8ではグリッド方式ではないシーレス3Dを導入。一方で戦闘部分はターン制を守っており、敵との位置関係も関わる高度なものとなっている。ストーリーにおいても#6から続く物語完結編で、開発混乱していたとは思えないほど綺麗にまとまっている。

このほか、Sir-Tech社からは「ウィザードリィ ネメシスNemesis :The Wizardry Adventure)」というものが発売されているが、特にシリーズとしての共通点はない。

*RPGのはじまり?*

ウィザードリィはコンピューターRPGの始祖」的なタイトルと考えられていた時期がある。それはこの記事の過去の履歴でもそうだし、実際そのように明記してある雑誌等も存在した。しかし、当時の事情に照らし合わせると、それは正確な表現とは言えない。

ウィザードリィの発売された1981年は、アドバンスト・ダンジョンズ&ドラゴンズルールブック完成からおよそ2年、D&D人気の最盛期であり、RPGは全社会なるほどヒットしていた。
その中でD&Dを受けたコンピューターゲームが出現するのは必然の成り行きだったといえる。

まだD&D初版が発売されて間もない1975年には、各地の大学コンピューター上でダンジョン舞台としたゲームが出現している。例えばイリノ大学において、コンピューター教育システム「PLATO」内で開された『pedit5』は、そうしたゲーム群の中で現存する最古のものである。
Wizardryの作者ウッドヘッドグリーンバーグの二人は、どちらも学生時代にPLATOシステムに通じており、そこからコンピューター上のD&Dという考えに触発され、当時まだ新しい庭用コンピューターApple II」で自ら開発を始めたという。
そのため、Wizardryのアイデアのいくつか(玄室での固定戦闘呪文名前感など)はPLATOゲームのひとつである『Oubliette』という作品に直接由来している。
中でも、Wizardryの特徴でもある全滅したキャラクターたちの遺体の回収、および複数のパーティーを同時にダンジョンへ送り込める仕様は、オンラインRPGであった『Oubliette』の世界再現しようとしたものと思われるが、その実装方法は同時代のCRPGの中でも異を放っている。

Apple IIにも先行するRPGはすでにあったものの、Wizardryは商業的に先行作品を上回っただけでなく、内容面でも新たな領域を開拓した。特に、それまでのCRPGが『Rogue』のようなソロプレイか、オンラインでのパーティープレイのいずれかしかない中で、一人で複数人パーティーを操作するシステムは注すべき功績である。

また、今となっては信じがたいが、1981年当時においてはWizardryのストーリーは手の込んだものだった。(当時のCRPGでは固有のメッセージを持つキャラクターが複数登場するだけでもしいことだった)

Wizardryを含め初期CRPGテーブルトークRPG再現しようと作られたことはよく知られている。同時に、RPG再現は難しいため戦闘に特化したと説明されることもあるが、前述のように、Wizardryは当時としてはストーリーにもを入れていて、またD&D再現という点でも本質的な部分を取り出している。
というのも、初期D&Dプレイの中心はダンジョンクロールであり、モンスター狩り、宝探し、即死の恐怖という、まさにWizardryで再現されているようなゲームだったためである。

簡略化されたり実装が不十分な要素も多いものの、友好的なモンスターHP回復にかかる時間、復活時のリスクなど、普通ならあまり取り入れられないようなルール再現されており、それらは結果的にWizardryを際立たせる要素となっている。

日本ではAD&D翻訳されず、先に普及したドラゴンクエスト元ネタとしてWizardryが宣伝された結果、最初のRPGという事実とは異なる評判が広がってしまった。その誤解にも関わらず、Wizardryを遊んだ人間は本当の最初のRPGD&Dにも(間接的にではあるが)触れていたのである。

*ファミコンソフト「ウィザードリィ」*

ファミコン版の出来は非常に良い。1987年12月22日ドラクエIIから1年近く後、ファイナルファンタジーの4日後に発売したファミコンソフト「ウィザードリィ」は2メガROM+バックアップで、に書かれた「13歳以上の方に特にオススメします AGES 13 TO ADULTというまさかの対年齢を示す文言を加え、重厚な雰囲気を前面に押し出した。

発売はアスキーで、開発遠藤雅伸率いるゲームスタジオが手掛けた。移植レベルは非常に高く、また独自のアレンジもされている。BGM羽田健太郎モンスターデザイン末弥純が担当し、音楽グラフィック、そしてプログラム技術も当時のファミコンソフトとしては非常に高いものだった。原作ロバート・ウッドヘッドも絶賛している。

したいのはファミコン版がファミコンRPGとしても古い部類であり、名作とみなされていることだ。新しい解釈がされたモンスター(フラックなど)や、翻訳による独特のひらがなメッセージ人気があり、現在オリジナルではなくこのファミコン版をオマージュしたと思われるものが世間に多々見られる。

こうしてゲーム機での展開に成功したウィザードリィは次々とアレンジされながら移植され、やがて原版の存在しない日本特有のシリーズを産むに至る。

なおファミコン版1作には味方のアーマークラス(防御の値)が正常に機しない致命的なバグがあることが21世紀になって発見されているのだが、それを知っても傑作だと思うので頑ってやってほしい。2作以降は正常に機しているのでご心配なく。

*日本独自展開*

海外ではメインシリーズ以外大きく波及することはなかったようなのだが、日本ではウィザードリィはコア人気を持ち続けた。やはり始祖的作品として特別視もあったと思われる。

ウィザードリィをファミコン移植した旧アスキーは、ゲームボーイで「ウィザードリィ外伝シリーズも展開した。一作ウィザードリィ外伝I」では、まだスーパーファミコン移植されていなかった#5と同様の呪文ゲームシステムを先行採用している。
外伝III」ではこのシステムベースとしたまま、#6の種族と職業を一部追加することで旧シリーズシステムを維持したまま独自路線を展開し、#6が移植された後もおおむねこの「旧シリーズシステム」路線で亜流シリーズは続くことになる。それはアスキー以外の他社も含めてである。

全部がそうではないのだが、基本的な部分は#1もしくは#5、むしろ外伝IIIIVベースとみなせる日本製「ウィザードリィ」が90年台後半から増え始める。その内容も玉石混合というか、率直に言って非常にクオリティの低いものもあり、「ウィザードリィ」ブランド自体の地位も怪しくなっていった。そんな中でも名作とみなされるものは存在したのだが、多すぎてどれを選べばいいか難しい状況になったのは否めない。

そんな中Sir-Tech社は2006年にウィザードリィの著作権商標権を手放し、日本の会社に移管された。そして2009年より「ウィザードリィ ルネサンス」が始まる。これは内で発売される「ウィザードリィ」というタイトルの作品に共通の世界観を設定し、会社のを越えて広げていこうという試みで、ダンジョンRPGだけでなくローグライクスマートフォン向けソーシャルゲームコミックも展開した。
だったのだが、ルネサンス自体にも低評価タイトルが複数並ぶ状態となり、ルネサンス公式サイト2016年いつの間にか閉鎖世界観の中核となるウィザードリィオンライン2016年末に終了した。
また「ルネサンスに属さないウィザードリィ」も2006年を最後に新作は出なくなっており、以降は移植のみ行われている。

産「ウィザードリィ」の直系(スタッフ、会社などが)でありながらタイトルを外したダンジョンRPGとしては「エルミナージュ」「デモンゲイズ」などがある。

*とだえた移植*

2009年携帯アプリ版(2006年アプリのまとめなおしと思われる)を最後にオリジナル版の移植は途絶えている。ファミコン版のバーチャルコンソールなどへの展開も全く行われていない。

確実なのは版権問題があるということである。

近年発売されている日本版ウィザードリィは、内の会社が2006年に取得した「Wizrdry6以降の版権」で作られており、#1~#5の内容の使用は制限されている、らしい。
具体的には「KATINO」「HALITO」といった独特な呪文名と、#6発売以降に(?)変更された「"W"の字をが貫通していないタイトルロゴ」の使用は認められていない(?)ことが明かされている。
※実際は6以降の時代に「が貫通していないロゴ」も使われている。自粛ではないかという話もあるらしい

実際のところ、この版権で作られた産ウィザードリィは90年代末には登場しており(しかもゲームシステム#5以前をベースにしている)、何で呪文名が違うんだと事情を知らない人にかれたりしている。
なお「カティノ」とカタカナで書くのはセーフなんだとWizardry Onlineスタッフ公式に答えているが…

不明な点も多く、そもそも#1~#5の版権をが持っているのかもはっきりしていないと言われる。だが原作アンドリューグリーンバーグとSir-tech社で係争があったことは確からしい。一応#6以降の版権は確かにあるようで、Steamでは配信されているが、残念ながらこちらの移植が行われる気配はない。
あと、アプリ版が最後に配信された2009年の時点ではもう版権問題が起きている気がするのだが、事情がよくわからないアプリ版がまだ配信されているかどうかは未調なので、情報をお持ちの方がいれば編集してほしい。

おおっと!かんれんと゛うか゛!

ニコニコ動画では、ウィザードリィのプレイ動画が数多く見られる。



アイマス×FC版Wiz3(KOD)

ノベライズ等

かんれんコミュニティ

シュート!!

*しょうたいふめいの おえカキコ*

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