オーソーシャープ(Oh So Sharp)とは、1982年生まれのアイルランド産、イギリス調教の競走馬。
1985年の英国牝馬三冠競走を全て制覇し、初版作成時点で最後のイギリス牝馬三冠馬である。
名前は祖父シャーペンアップと母オーソーフェアからの連想。
父Kris、母Oh So Fair、母父Graustarkという血統。誇張でも虚構でもなく、欧州が誇る良血馬である。
父クリスは16戦完全連対の堅実な名マイラーで、全弟に2歳G1を2勝し種牡馬としても活躍したダイイシスがいる良血馬。母父グロースタークは凱旋門賞連覇のリボーと名繁殖牝馬フラワーボウルとの間に産まれ、故障により早期引退を余儀なくされたが種牡馬として大活躍を収めた良血馬。
特筆すべきは母親の血統だろうか。5代母に「フライングフィリー」ことムムタズマハルがおり、曾祖母はナスルーラの全妹。無論近親には活躍馬多数。
血統表には欧州や米国の名種牡馬が宝石箱の如くズラリと居並ぶ超良血馬である。*エタンの浮きっぷりがヤバい
ドバイのモハメド殿下が運営するダルハムホールスタッドにて生産されて殿下の所有馬となり、イギリスの名伯楽であるヘンリー・セシルの管理を受けた。幼少期から父クリス譲りの愛らしい顔立ちで知られていた。初版制作者が見た英語のサイト(外部リンク)
には「水も滴るいい女」と書いてあった。
1984年の8月にノッティンガム競馬場にてデビュー。ここを鞍上がほぼ持ったまま勝利を収め、続くリステッドとG3も全く危なげなく勝利する。2歳シーズンは早めに切り上げ、3戦全勝で終えた。
3歳になり、鞍上に新たにスティーブ・コーゼンを迎えると1000ギニーの前哨戦であるネルグウィンSを後続に1馬身半差つけて快勝し、本番である1000ギニーに向かう。1番人気で迎えた本戦ではトリプティクなど英愛の強豪が多数参集。レースでは今まで先行していた中、中団につける。先頭で叩き合いをしていた2頭に外から猛然と襲いかかり、ゴール手前で差しきり勝ちを収め、無敗のクラシックホースとなった。モハメド殿下にとっては初の英国クラシック勝利であった。
次走はオークス。勿論1番人気で、ここでは愛2000ギニーを勝ってきたトリプティクが襲来。レースでは2番手付近でレースを進め、先に抜け出していたトリプティクを残り400m付近で交わし一気に先頭に立つ。するとそのまま差をグングン広げ、最終的にはトリプティクを6馬身離す圧勝劇を収めた。セシル師とコーゼン騎手は数日前のダービーをスリップアンカーで制し、英国クラシックを席巻した。
次走には夏の欧州大一番「キングジョージ」への参戦を決定。3歳牝馬は約53kgの軽斤量なので勝ち目は十分あると見込んだのだろう。相手関係はレインボウクエストやロウソサエティ、ストロベリーロードついでにシリウスシンボリといった強豪牡馬が相手となった。ここでも1番人気に支持され、直線入口を3番手で迎え、そしてレインボウクエストを抜き去って先頭に立った束の間、ペトスキに差されクビ差の2着に敗戦。生涯初の敗北となった。
次走のベンソン&ヘッジズ金杯(現在の英インターナショナルS)でも変わらず1番人気。ここでは前年のセントレジャー優勝馬コマンチェランの逃げに翻弄される形で3/4馬身差の2着に敗れる。しかし3着のトリプティクには4馬身差をつけていた。
次走はセントレジャー。英国牝馬三冠は1000ギニー、オークス、セントレジャーである。因みに現代のセントレジャーでも牝馬の参加自体は結構多いそうな。6頭立てで行われたセントレジャーでは、これまで重賞を複数勝っていたランフランコが逃げ、本馬は追走する形で進めると直線で叩き合いとなり、競り落とした後に内から追い込んできたファルダンテを押さえ込み、2着ランフランコに4分の3馬身差を付けて勝利。この時、英国牝馬三冠を達成した。
セントレジャー終了後、セシル師がセントレジャーの時点で既に体調が下降線に入っていたことを明かし、引退が決定。通算成績9戦7勝2着2回というパーフェクト連対である。
3歳牝馬の軽斤量もあったが、古牡馬相手にも十二分に戦えており、抜群の安定感を誇った。それに若い頃のトリプティクを完封していることも、彼女の評価を上げた。馬生において3倍以上の人気が付いた事が無く、常に1番人気であった。
繁殖牝馬としても優秀で、シャイマが米国G2を、ローズフィンチが仏G1のサンタラリ賞を制しており、孫世代にはセントレジャーやジョッキークラブ大賞を制したシャントゥがいる。
2001年に蹄葉炎を発症し、10月に症状の悪化を理由として安楽死の措置が執られた。享年19歳。
キングジョージを現地観戦した日本人曰く、「シリウスシンボリが小さく見える程筋骨隆々の牝馬が居た」と言わしめる程大柄かつ発達した筋肉を有し、大跳びで優雅に飛ぶように走る姿が魅力的だったようだ。鞍上のコーゼン騎手は「自分が乗った中で最高の牝馬だ」と話している。
英国牝馬三冠を達成し、一線級の牡馬相手に一歩も引かなかった才色兼備の才媛、それがオーソーシャープという、英国最後の三冠馬である。
| Kris 1976 栗毛 |
Sharpen Up 1969 栗毛 |
*エタン | Native Dancer |
| Mixed Marriage | |||
| Rocchetta | Rockefella | ||
| Chambiges | |||
| Doubly Sure 1971 鹿毛 |
Reliance | Tantieme | |
| Relance | |||
| Soft Angels | Crepello | ||
| Sweet Angel | |||
| Oh So Fair 1967 鹿毛 FNo.9-c |
Graustark 1963 栗毛 |
Ribot | Tenerani |
| Romanella | |||
| Flower Bowl | Alibhai | ||
| Flower Bed | |||
| Chandelle 1959 鹿毛 |
Swaps | Khaled | |
| Iron Reward | |||
| Malindi | Nearco | ||
| Mumtaz Begum | |||
| 競走馬の4代血統表 | |||
クロス:Hyperion 5×5×5(9.38%)、Beau Pere 5×5(6.25%)
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最終更新:2025/12/06(土) 01:00
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