カモフラージュとは (カモフラージュとは) [単語記事]

カモフラージュとは

擬態・偽装と迷彩の事を指す言葉である。カムフラージュともいう。
風景に溶け込み、視覚的に発見を困難としたり遅らせるもの。　本項で解説する。
相手に真意・心理や本性、目的や悪事などを悟られないように偽装すること。

この言葉はフランス語で、日本語に外来語として輸入されてきたものである。

この項ではあわせて迷彩についても説明する。

概要

カモフラージュは動植物に見られていたもので、人間が独自に開発したものではない。

例えば、模様を似せることで別の生き物に見せる（擬態）動物・昆虫は数多くおり、葉っぱの色や壁の色に似せて潜んでいる（保護色・迷彩）動物・昆虫も少なくない。外敵に気づかれにくくしたり獲物に気づかれず忍び寄るなど、こういったものから人間はカモフラージュを学んでいったといわれている。

カモフラージュの主な要素は以下の通り。

偽形・偽態など、外面形状を他のものとそっくりにする。
周辺の状況にあわせて表面を変える（迷彩）。
カバーなどで覆う。偽装網（バラキューダ）も含む。
植生に合わせた草や枝葉を取り付ける。
ドーラン、泥や炭・灰・砂などを塗る。
輪郭をぼかす。

などといった方法がある。

軍事におけるカモフラージュ…迷彩について

迷彩が一般的となっていったのは歩兵間の戦闘距離が銃器等の発達により遠距離になりつつあった19世紀中ごろからで、本格的に取り入れられたのは第１次世界大戦中の話である。戦闘服だけではなく車両、航空機、艦船に用いられることになる。最初は単色、次に複雑なパターン塗装となっていった。

迷彩の目的として視認性の低下を目指しているが、大型であるため視認性の低下が難しい艦船における迷彩はダズル迷彩（困惑迷彩）と呼ばれるあえて海洋のものではありえないパターン塗装を施し、位置や方向などを困惑させる迷彩パターンが使われることになった。ただし現代では有効性がはっきりしないことから使われなくなり、灰色が主体となっている。ただし状況によりけりで河川舟艇などの場合はこのかぎりではない。

航空機の場合も同様で迷彩パターン塗装が取り入れられている場合でも低視認性（Low vis ibility…ロービジ）塗装と呼ばれる灰色系塗装が施される場合が大半だが、一部地上を低く飛ぶ航空機の場合は上面は上空から森に隠れるように、地上からは空に隠れるように二面のパターンに分割して塗装される場合などもある。

陸上の場合においては視覚的欺瞞効果を求めるために、その運用地域の植物植生、あるいは状況に応じた迷彩パターンが必要になる。例えば都市部における迷彩パターンの場合は灰色や白を基調にした幾何学模様となる。
最近では周辺状況をデジタル分析し、ピクセルパターンで作り上げられた「デジタル迷彩」と呼ばれるものが普及している。

また狙撃兵などが使うギリースーツは、周辺の草木や小枝などを集めて身に着けることで迷彩効果と輪郭をぼかす効果を求めて使用されている。

日本（自衛隊）におけるカモフラージュ

日本における自衛隊の迷彩は昨今かなりのパターンが求められている。航空自衛隊はアメリカ空軍を見習ってロービジ塗装を行っているがＦ-2など機体は海洋迷彩パターンを施している。また陸上車両については従来からのOD（オリーブドラブ）色のみが多いが、最近はデジタル迷彩を（水性塗料による上塗りやマグネットシートで張り付けるなどの工夫で）行っている場合もある。
隊員の戦闘服においては、陸上自衛隊及び基地警備にあたる航空自衛隊隊員向けに各種の迷彩パターンが施された戦闘服が提供されている。また最近のPKOなど海外派遣任務の増加に伴い、砂漠用迷彩服の導入も行われている。
（イラク派遣時については他国派遣部隊との違いを明示的にするため、わざと従来のOD色の戦闘服を選択したといわれる）

目的・パターン

迷彩パターンの目的は人間の視覚、あるいはCCDカメラなどに代表されるような光学機器に対する欺瞞効果を求めたものである。さらに今後光学迷彩にまで進むとおもわれるが、それ以外の検出手段、つまり赤外線暗視カメラなどによる熱源探知対策として迷彩服の布地に特殊な染料をコーティングすることである程度の欺瞞効果が望めるという話がある（自衛隊にも採用されている）。ただし大型の車両などはそうもいかないため赤外線欺瞞効果としてサーブ・バラクーダ社のバラクーダ・カモフラージュ・ネットなどを使って覆うケースがある。