ゲームメカニクスとは、コンピュータゲームの根幹部分に関わる諸々の仕組みである。
本記事の内容は2013年(原語版は2012年)出版の書籍、『ゲームメカニクス おもしろくするためのゲームデザイン』(アーネスト・アダムス、ヨリス・ドーマンズ著。本記事下部「関連商品」節参照)に概ね準拠している。ゲーム開発は進歩のスピードが著しい分野であるため、本記事にはやや古くなった記述が含まれる可能性もあることには注意されたい。
mechanicsとは「機構、構造」や「決まった手順、基本技術」といった意味があり、またmechanicでは「機械工、整備士」という意味になる。ゲームメカニクスとはゲーム、取り分け電子ゲームを成り立たせる中核となる仕組みの事で、ゲーム内の物理法則や各種リソースの流れ、ステージ、章などの進行プロセス、シミュレーションゲームにおける戦術や戦略、対戦型ゲームやネットワークゲーム、ソーシャルゲームにおけるプレイヤー間のやり取りなどがこれに相当する。
非電源系のゲームは予め定めたルールに従ってプレイを進めていくことで試合が成立する。一方電子ゲームではプレイヤーに特定のルールを遵守させる事は行わずとも、そのゲームシステムが仕様として定めた仕組みに従った動作の下で各種の操作を行わせれば良い。
『スーパーマリオ』シリーズのようなアクションゲームをプレイしている時、プレイヤーが要求されるのは正規品かそれに準じたコントローラを用いて入力を行うことだけで、それとは別に定めたルールに従って行動する必要は無い。
例えば将棋を実物の盤を用いてプレイしている時、競技者は二歩を行ってはならずまた相手が行っていないか相互にチェックしなくてはならない。一方ソフトウェアの将棋では二歩は仕様上打てない仕組みになっている。
同様にアクションゲームの最も基本的なシステムの一つである、「ステージ外に落下すれば失格」というのもプレイヤーが守らねばならないルールとしてあるのではなくソフトウェアでそう判定すれば自動的に適用される。
このようにルールとメカニクスの違いとはそれが破られる事態を想定した上で、それが破られぬよう予め競技者間で取り決めを行い明示的に定めたものであるのに対して、仕様上破る事が不可能となっているのがメカニクスであると言える。プレイヤーはマリオが落下しても失格にならないという状況を(少なくとも不正的手段に寄らずしては)作り出す事が出来ない。
コンピュータゲームを進行型(Progressive)か創発型(Emergent)かの2つに分ける分類の仕方が提唱されている。
進行形ゲームとはデザイナーが事前に用意した一連の道筋を準える形で展開するゲームで、一般にウォークスルー(順路)を持つものとされる。対して創発型ゲームは特定のウォークスルーを持たず、プレイヤーの行動に合わせて、またランダムで様々なイベントが発生し、プレイ毎に異なる展開が待ち受けているという類のものである。
国内のゲーム業界では「自由度」と呼び慣わされているものの度合が進行型か創発型かを分ける一つの基準であると言える。
進行型ゲームの典型がステージ制のアクションゲームやシューティングゲームで、1面からスタートしクリアすれば2面へ移行するといった具合に進むべき道程が完全に定められており、パズルゲームの多くもこの制度を採用している。
創発型ゲームの代表格はシミュレーションやストラテジーで、先述の自由度が高いRPGやアクションも創発型の性質を帯びている。
ゲームにも現実世界での経済に相当するシステムが存在し、それを指してゲーム内経済(in-game economy)や内部経済(internal economy)等と呼ばれている。
最も端的な例はマネーで、ゲーム中ではコインやゴールドといった名称が当てられる。
またマネーとは別にメダルやチケットといった、一定数集める事でアイテムや装備と交換可能なポイントが用意されているゲームも多くある。(『ドラゴンクエスト』シリーズの「ちいさなメダル」などがその例)
またゲームでは経験値やスキル、各種ステータスやプレイ時間といったパラメータを内部経済に含める事が可能で、これらも時として交換や換金の対象となる。単純にマネーを稼いで品物を購入するというプロセス以外にも、経験値を上げる、弾薬を拾い集める、HPを回復するといった動作もゲーム内経済に係る行為に含まれる。
ゲーム内経済を構成する要素としてはリソース(resource)とエンティティ(entity)があり、またリソースを遣り繰りする4つの機能としてソースsource・ドレインdrain・コンバータconverter・トレーダーtraderが挙げられる。
資源を意味する言葉だが、ゲームでは数値で計測できる全ての概念、つまりパラメータ化された対象を指す。資金・エネルギー・アイテムなどの他、時間・ターン数・距離・座標もリソースの一種に数えられる。
またリソースには有形と無形の別がある。
有形のリソースはオブジェクトとしてある形状を持ち、ゲーム内において一定の空間を占める。『マリオ』シリーズの甲羅やファイアーボールなどが有形リソースに当たる。
一方無形のリソースはゲーム内の物理空間において特定の形状や大きさを持たず、物体として空間に配置される事がない。冒頭で挙げたリソースは全て無形リソースに当たり、他にも経験値・HP/MPなどが無形リソースに分類される。
有形リソースと無形リソースはシステムによっては相互に変容する。例えば一般的なFPS・TPSでは補給弾薬はオブジェクトとしてゲーム内の座標空間にある大きさ・形を持って配置されているが、一旦拾得すると弾数という数値のみで表される無形リソースに変わる。RTSにおける資源も同様で、森林や鉱石といった採集前の状態では有形リソースであったものが採取後は数量のみで表される無形リソースに変化する。
あるリソースの固有の量が保存された先の対象を指す。例えば制限時間が設けられているゲームではプレイ中残りタイムが変化していくが、この刻一刻と変化する量を格納するのがエンティティである。砂時計の器、或いは玉入れの籠の様なもので、中に入っている砂や玉がリソースに相当すると言える。
エンティティは単一の値のみを保持する単純エンティティと複数の値を保持する複合エンティティの二種類に分けられる。
新規にリソースを生み出しエンティティに収めるメカニクス。ライフが自動回復する装置や、敵の「無限湧き」といった仕掛けがソースに該当する。
エンティティにあるリソースを取り除き、ゲーム内から消去する作用。ソースとは反対の効果を持つメカニクスで、ローグライクにおける移動に伴い満腹度が減少するシステムや、経営シミュレーションにおける維持費のような概念がこれに当たる。
ある種類のリソースを別種のリソースに変換する作用を持つメカニクス。先述のRTSにおける資源の採集プロセスや、アイテムの「合成」システムなどがコンバータに相当する。
交換ルールに従って、あるエンティティから別のエンティティにリソースを移動もしくは還元するメカニクス。ゲーム内に設置されたショップで売買を行ったり、ゲーム内のカジノで獲得したメダル・コインを賞品と交換する仕組みがこれに含まれる。
掲示板
32 ななしのよっしん
2016/09/06(火) 09:21:03 ID: qRlK2W5oWk
33 ななしのよっしん
2016/09/06(火) 11:47:29 ID: sAPt0OSrvA
動画と大百科だと手間が全然違うんだがそんなこともわからないのか…
34 ななしのよっしん
2016/09/07(水) 23:16:01 ID: f64kHFYBYj
>>27
ニコニコ大百科トップページに新着記事が表示されるから初版がスカスカなら即行で発見されて立て逃げ認定されることもある
だから因縁付けられたくなかったらユーザ記事で原稿作っといてコピペで新規作成すれば大した手間をかけずにトラブル回避できるんじゃないかと
自分のスタイルを貫くというならこれ以上言うことは無いけどその分クレームは付き続けるよ
HTMLエディタの挙動がおかしいならマイページからの設定でエディタを使わない設定にすれば解決することもある
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/05(金) 18:00
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