シュテファン・ノイマンとは、「銀河英雄伝説」の登場人物である。
「舞台 銀河英雄伝説 外伝 オーベルシュタイン篇」のオリジナルキャラクター。演者は岸祐二。
帝国軍の秘密諜報組織「ハウンド」のフューラーとして極秘諜報を指揮したが、第七次イゼルローン要塞攻防戦の際、イゼルローン要塞駐留艦隊旗艦に乗艦しており戦死した。
あぁ、吾ら軍のものは……まぁごく一部の、その存在を承知しているものだけだが、
蔑んで「オーベルシュタインの犬」と呼んでいる。
ゴールデンバウム朝銀河帝国軍は公式には諜報機関を持たない。だが、その代替となる諜報組織を個人的に所有する一族が存在する。正式名を持たず便宜上「ハウンド」と呼ばれるこの組織も、そういった秘密諜報組織の一つであり、代々下級貴族オーベルシュタイン家の当主が世襲で引き継いでいる。
ルドルフ大帝の御世以来諜報組織として四世紀半にも及ぶ歴史を持つだけあってその調査能力は高く、監視映像記録の調査から簡単な暗殺までこなす。また非公式な存在とはいえ国家の下にある組織であるためか、偽の身分で軍内部に潜入することもできる。
もとより帝国内では貴族社会のしがらみが強く、場合によっては公式に憲兵隊を動かすことが難しい案件も存在する。ゴールデンバウム朝末期における「ハウンド」はそういった政治的に危険な「汚れ仕事」に使い立てされる組織であり、その存在を知るごく一部の帝国軍人からは「オーベルシュタインの犬」と蔑まれる存在である。
幼い時、平民の出であった母を交通事故で失い、オーベルシュタイン家に引き取られて養育されることとなる。
実は母はかつて「ハウンド」の機関員であり、シュテファンは「ハウンド」の長オトマール・フォン・オーベルシュタインとの間に成した子だった。オーベルシュタイン家の嫡男として生まれたオトマールの子パウルが生まれつき「劣悪遺伝子」である盲目であったことから、代わりの次代フューラー候補としてオーベルシュタイン家に引き取られたのである。母親はこの時、交通事故を装って殺害されている。
オーベルシュタイン家で育つことになったシュテファンは弟パウルに「兄さん」と慕われ、義眼で身体も弱い嫡男パウルを支えるために強くあることが「生きている意味」であると教えられて育った。代々「ハウンド」を率いる武門の家として、その当主は強くあらねばならなかったのである。
オーベルシュタイン家の「表」と「裏」。
これまで代々の当主がひとりで担ってきたことを、これからはおまえたちふたりで分担するのだ。
その後、義母が病死すると「ハウンド」のフューラーを継ぐ準備のため士官学校に入学、帝国軍人となる。中佐まで昇進して退役し、オーベルシュタイン家の「裏」を統括する人間として「ハウンド」の実質的なフューラーとなった。
宇宙暦795年、シュテファンはオーベルシュタイン家の「表」であるパウルを経由して「ラインハルト・フォン・ミューゼルの身辺調査」を命じられ、これに着手。「猟犬の鼻」によってラインハルトの野望を察知し、調査の結果その目的が単に位人臣を極めることではなく「ゴールデンバウム王朝の打倒」にあることを確信する。
だが、それを上層部に伝えるかどうかをめぐりパウルと対立。自身の生まれもった障害ゆえにラインハルトを英雄視するパウルも、シュテファンの説得に最終的には折れたかに見えたが、その報告書はパウルの手で差し替えられ、結局上層部に伝わることは無かった。
世の中には、大の虫を生かすために小の虫を殺す、そういうことも必要なのだよ。
―シュテファン・ノイマン
ラインハルトの調査自体はそこで終了となったが、パウルがイゼルローン要塞駐留艦隊司令部に転属すると、シュテファンも要塞内にいるという内通者の調査のため身分を偽って駐留艦隊の旗艦へと配属される。そして同盟軍がイゼルローンに迫り駐留艦隊が出撃、艦隊の行動を巡って司令官ゼークトと対立し艦橋を追い払われたパウルは、彼を追ったシュテファンに本心を吐露する。
パウルはなおラインハルトの近辺を嗅ぎ回る「ハウンド」を粛清しようとしていた。弟は兄が思っていたよりはるかに「オーベルシュタイン家の当主」に相応しく育っていたのだ。だが「猟犬には猟犬の誇りがある」と語ったシュテファンはパウルの脱出の誘いを断り、腰の銃に手をかける。だが彼は撃たなかった。「目となり足となりささえ」た弟を撃つことなど出来なかった。そして彼は弟に最後の言葉を残し、自らの頭を撃ち抜いた。
おまえはその、冷徹な仮面を脱ぐな!それが、兄としての最後のはなむけだ……!
―シュテファン・ノイマン
「ハウンド」の指揮者として鍛えられただけあって、彼と「ハウンド」の諜報能力は極めて高い。
ラインハルトの野望を調査する際には、市街の監視カメラ(ルドルフ大帝像の目にあると言われている監視カメラと思われる)の膨大な記録を全て調査し、6年前の映像からラインハルトがキルヒアイスに話しかけているシーンを見つけ出し、その唇の動きから内容が「ルドルフに可能だったことが、おれに不可能だと思うか?」という大逆罪にも類する不逞な野望であったことを看破してのけている。
性格は温和で、パウルの良き兄であった。普段から冷徹な仮面を被るパウルもシュテファンとであれば笑い合うようなこともあり、その会話からも互いに頼りにしている様子が伺える。とはいえ「ハウンド」の長として十分に冷徹な一面も持ち、オーベルシュタイン家の「知りすぎた」メイドをかつて父オトマールが母にしたように交通事故を装って消すといったことも「大の虫を生かす」ためと平然と行う。
事実上母親を父親に殺されたようなものではあるが、そのことについては決して恨んではいない。オーベルシュタイン家に養育されていなければそのまま貧乏な平民の子として育って徴兵され、20歳にも満たず戦死していただろうと推測し、自身を引き取り、士官学校へ行かせ、「ハウンド」の実質的なフューラーという地位まで与えてくれたオトマールにむしろ恩があると話している。
掲示板
4 ななしのよっしん
2017/08/21(月) 22:09:34 ID: kpEJvHVd4V
新版OVAでは、この人とハウンド機関とオーベルシュタインの逸話を組み込んでほしいなあ。
そのままでなくても、ほのめかす程度とかゴシップじみた噂話の形でも良いから。
5 sage
2018/05/06(日) 11:48:50 ID: FQotDzQ4Bs
ノイエテーゼ第三話、オーベルシュタイン初登場は勿論だが
ルドルフ像の眼に仕込まれた監視カメラと
その前で「ルドルフに可能だったことが~」の台詞を言う
ラインハルトの描写があった
何故オーベルシュタインがラインハルトを見込んで狙って近づいたのか、には
ある程度しっかりした理由が欲しいところだし
あれが舞台版オベ外伝知っている人にはわかる連携点だったら嬉しい
6 ななしのよっしん
2018/07/14(土) 17:37:02 ID: kpEJvHVd4V
>>5
ラインハルトを見込んで近づいたにしても、「ゴールデンバウム朝への憎悪」が口説き文句になる、ってのは、それこそカメラアイの画像から「ルドルフにできたことを〜」を読唇術で読み取ったとかがないとわからないはずなんだよね。
となると、やはりDNTでのあれは、舞台版との無言の連携点だろうなあ。
これが単なるファンサービスか、劇場版シーズンの星乱編で「ハウンド」が登場して暗躍するか。見ものだな。
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最終更新:2025/12/16(火) 19:00
最終更新:2025/12/16(火) 19:00
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