テンハッピーローズ(Ten Happy Rose)とは、2018年生まれの日本の競走馬である。栗毛の牝馬。
父エピファネイア、母フェータルローズ、母父タニノギムレットという血統。
父はシンボリクリスエスとシーザリオを両親に持つ良血。種牡馬としてはエフフォーリアやデアリングタクトを輩出している。産駒は全体的に早熟傾向にあるのが特徴。
母は34戦3勝の戦績。近親に活躍馬は多くないが4代母Fruitionから辿ると菊花賞馬ドゥレッツァが出てきたりする。なお馬名にローズがつくが、いわゆる「薔薇一族」と血縁関係はない。元を辿れば曾祖母*の馬名が「Oenothera(=月見草)」であり、祖母プリムローズイヴの馬名も同じく月見草を意味する「Evening Primrose」からとられたもの。母フェータルローズが祖母の名から一部をいただいた結果、花の種類がRoseに変わり、本馬もその流れを引き継いだものである。
母父は2002年のダービー馬。種牡馬としてはウオッカ以降GⅠ馬に恵まれず、母父としてもパフォーマプロミスが目立つ程度で頭打ちになっていた。
2018年2月26日、社台ファームで誕生。栗毛の大流星に左トモに黒い大きめのベンドア斑があるのが特徴。2019年のセレクトセールに上場されるも主取りになる。(下動画の86:02から)
翌年、2020年千葉サラブレッドセールに改めて出されるも新型コロナウイルス感染防止のためにセールが中止に。楽天サラブレッドオークション(オンラインオークション)に上場し、2040万円(税込2244万円)で落札されている。
オーナーは「テン」冠名を用いる天白泰司氏。天白オーナーは1993年から馬主をしているが、テンハッピーローズまで30年以上、一度も中央重賞を勝ったことがなかった。
テーオーケインズなどで知られる栗東・高柳大輔厩舎に入厩。デビューは早く2歳8月。ここは7番人気の低評価だったが、6番手から直線で馬群の間を鋭く伸び1馬身1/4差で快勝。しかし自己条件のサフラン賞で素質馬サトノレイナスに当たってしまい、末脚勝負に完敗して2着。GⅢアルテミスSに挑戦したら今度はソダシが待ち構えており、マークする絶好位にいたのにあっさり置いて行かれ3着。2歳は後の桜花賞ワンツー馬に手も足も出ず1勝に終わる。とはいえ、ソダシとの差は僅か0.4秒。これが後の大金星への伏線だったのかもしれない。
3歳はGⅢフェアリーSから始動。メンバー構成の軽いここは1番人気に支持されたが道中積極的に押し上げる競馬が裏目に出たか最後に後続馬に差されファインルージュの4着。トライアルのGⅡチューリップ賞は馬体を大きく減らしてしまいメイケイエールの10着に大敗。賞金を加算できず、春のクラシックをあきらめ休養に入る。
気を取り直して1勝クラスから再始動し、初戦2着を挟んで1400mに短縮した2戦目で勝利。ここからしばらく1400m戦を選んで出走するようになり、続く2勝クラス戦の新発田城特別も上がり最速の末脚で2馬身突き抜け難なく勝利し1戦で昇級。一休みした12月の3勝クラス初戦の六甲アイランドSは2着にまとめ、3歳シーズンはこれで終了となる。
明けて4歳、中京での2戦は大敗するが、東京に替わった晩春S2着を経てフリーウェイSで勝利。ようやくOPに昇格する。しかしOPでは壁に当たり、朱鷺S4着、信越S2着、オーロカップ6着と1400mのOP特別だけを使われながら3連敗。結果を出せずに4歳を終える(とはいえ全てが0.3秒以内の差で負けていたため惜しいところまで来ていたのだが)。
5歳になった2023年は2年ぶりの重賞出走となる京都牝馬Sに出走したが中団から流れ込み6着。久々のマイル戦となった阪神牝馬Sは上がり3位の末脚は使ったが前残り決着でどうにもならず7着という結果に終わる。
1400mに戻ったリステッド競走安土城Sも4着と敗れたが、ここで上がり3ハロン32秒3というとんでもない数字を叩き出す。続くパラダイスSも3着ながら上がり32秒7。そして2年連続出走の朱鷺Sで前2頭が残りそうなところに中団から猛然と襲いかかり、クビ差とらえてゴール。1年3ヶ月ぶりの勝利を挙げる。
やっと本格化かと思われたが蹄の状態が思わしくなく休養。このまま出走することなく5歳を終える。
6歳も現役を続行し、2年連続の京都牝馬Sに出走。5ヶ月の休み明けながら上がり3位33秒6の末脚は使ったが、後方3番手からでは差しきれず7着(0.3秒差)。阪神牝馬Sにも出走し、33秒2と脚はキレたが3位タイ。秋華賞2着のマスクトディーヴァら上位陣には瞬発力の差で突き放され6着(0.4秒差)に敗れる。
次はヴィクトリアマイルへ出走。GI初挑戦である。陣営は「状態は一番いい」とコメントしていたが、単勝208.6倍の14番人気(15頭立て)。戦績が1400m戦に偏っていたことや、阪神牝馬Sで上位だったマスクトディーヴァ、ウンブライル、モリアーナが揃って出走、その上前年のマイルCS覇者ナミュールまでいるとあっては人気がないのも致し方なかった。おまけに直前追い切りも頭が上がったまま掛かりまくりのひどいもので、調教派の穴党からもほとんど支持を得られなかった。ちなみに阪神牝馬Sで0.3秒差3着のモリアーナが単勝19.3倍であったため、僅か0.1秒差しかないのに10倍以上も人気薄だったことになる。後から振り返ってみると異様だが、競馬とはそういうものである。
鞍上は前年夏から主戦騎手となった津村明秀。5枠9番からそこそこのスタートを切ったが津村はスッと下げて後方4,5番手あたりを追走する。半マイル45秒4とまずまず速い流れとなり、ごちゃつく馬群を横目に大外を回って直線に向く。
残り400mの標識を過ぎて津村が追い出すと凄まじい末脚が炸裂。後方でもがく2番人気ナミュール、進路取りに手間取る1番人気マスクトディーヴァや低評価を下した馬券民を嘲笑うかのように馬群を撫で斬りにし一気に先頭に立つ。得意な1400mを超えてからのラスト1ハロンも脚色は衰えず、最後まで力尽きることなく後続の追撃を1馬身1/4振り切って大金星のゴールを駆け抜けた。
重賞初勝利どころか6歳にしてGⅠ初出走で初勝利。単勝配当はGⅠ史上4位となる20,860円。2着が4番人気の同じ6歳のフィアスプライド、3着に1番人気マスクトディーヴァが滑り込んだのにも関わらず3連単916,640円がついてしまう大波乱が巻き起こった。WIN5に至っては、この日の京都10R錦ステークスで12番人気のボーデンが穴を開けていたこともあり、的中わずか1票で史上4位の4億4605万7430円がついた。
鞍上の津村明秀は現役21年目にして悲願の初GⅠ勝利。かつてカレンブーケドール、カフジテイクで叶わなかった夢を遂に実現させた。ウイニングランではとことこと外ラチ沿いに近づきファンサービスでもするかのように満員の観客席を眺めながら歩くテンハッピーローズの背で自身も繰り返しガッツポーズ、人馬共にファンの大歓声に応えた。
インタビューでは涙をこらえながら「本当に長くてもう勝てないかもしれないという思いはありましたけど、諦めちゃいけないと毎年思って、GⅠにたどり着けるように小さいところから頑張ってきました」とコメント。「妻と息子はサッカーの試合見に行ってると思うんで」と笑いを取ることも忘れず、「帰ったらみんなを抱きしめたいです」と感慨に浸った。
父エピファネイアは産駒GⅠ9勝目だが、古馬になってからの産駒GⅠ勝利は初。また馬主の天白泰司氏は馬主生活32年目にして初重賞勝利が嬉しいGⅠ初勝利となった。
そしてテンハッピーローズを含む2021年クラシック世代は、このヴィクトリアマイルを2022年の1着ソダシ・2着ファインルージュ、2023年の1着ソングライン・2着ソダシ、2024年の1着の同馬・2着のフィアスプライドと3年連続ワンツーフィニッシュで制覇。改めて世代の厚さと実力を見せつける結果となった。
このあとは安田記念に向かわず休養を取り、秋はブリーダーズカップへの遠征に向かう。後にセントウルステークスからのブリーダーズカップ・マイルという、米国特有の速い流れに対応するためのローテも発表された。テーオーパスワードでケンタッキーダービー5着と実績を残している高柳厩舎だが、秋も積極的な海外参戦を行っていくこととなった。そのセントウルステークスは7着に沈んだが、本番のブリーダーズカップ・マイルは先行策をとり、一時は先頭に立つなど見せ場を作る4着となった(なお一緒に戦ったジオグリフは5着)。
サウジアラビアで行われた1351ターフスプリントに遠征。テンから速く馬場が硬かったこともあり、最後方からの競馬で前が止まらない展開となり、アスコリピチェーノ1着、ウインマーベル2着となる中で7着に終わった。
このレース後、今なら種付けシーズンに間に合うということで社台ファームで繁殖牝馬となることが発表された。その際の調教師コメント曰く「アメリカでは『クレイジーホース』なんて言われた馬」だそう。
エピファネイア 2010 鹿毛 |
*シンボリクリスエス 1999 黒鹿毛 |
Kris S. | Roberto |
Sharp Queen | |||
Tee Kay | Gold Meridian | ||
Tri Argo | |||
シーザリオ 2002 青毛 |
スペシャルウィーク | *サンデーサイレンス | |
キャンペンガール | |||
*キロフプリミエール | Sadler's Wells | ||
Querida | |||
フェータルローズ 2009 栗毛 FNo.2-f |
タニノギムレット 1999 鹿毛 |
*ブライアンズタイム | Roberto |
Kelley's Day | |||
タニノクリスタル | *クリスタルパレス | ||
*タニノシーバード | |||
プリムローズイヴ 2000 鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo | |
Wishing Well | |||
*オエノセラ | Night Shift | ||
Fruition |
クロス:*サンデーサイレンス 4×3(18.75%)、Roberto 4×4(12.50%)、Hail to Reason 5×5×5(9.38%)、Northern Dancer 5×5(6.25%)
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掲示板
127 ななしのよっしん
2025/03/06(木) 23:05:07 ID: g2ouVRs7Ak
うーん残念引退か、まあ7歳じゃ致し方なし
VMの末脚、BCの激走と実力は間違いなくある、未来が楽しみだ
いいおかあさんになって元気な子供をみせておくれ
128 ななしのよっしん
2025/03/07(金) 00:28:46 ID: r5agAdPdRH
>https://
>高柳大調教師「(略)おっとりしたおとなしい馬を産んでくれれば」と第二の馬生にエールを送った。
母父タニノギムレットだし普段からちょいテンション高い系だったのかな…ってなった
129 ななしのよっしん
2025/03/28(金) 21:52:21 ID: xGR6PnEDZZ
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最終更新:2025/03/29(土) 15:00
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