ファインルージュ(Fine Rouge)とは、2018年生まれの日本の競走馬。鹿毛の牝馬。
桜花賞3着、秋華賞2着、ヴィクトリアマイル2着などあと一歩のレースを続け、これからというところで突然引退してしまった2021年クラシック世代の未完の大器。
主な勝ち鞍
2021年:フェアリーステークス(GⅢ)、紫苑ステークス(GⅢ)
父キズナ、母パシオンルージュ、母父*ボストンハーバーという血統。父は高低差200mの坂でおなじみ2013年の日本ダービー馬で、彼女は2年目の産駒である。母は27戦3勝。母父はアメリカからの輸入種牡馬で、1996年のブリーダーズカップ・ジュヴェナイルの勝ち馬。2016年に種牡馬を引退して2021年3月に死亡しており、直接の産駒および母父としての産駒にはまだ日本のGⅠ馬はいない。
2018年3月11日にノーザンファームで誕生、同年のセレクトセールで六井元一(浦安の不動産会社社長)に3300万円で落札された。氏の馬主として初の所有馬である。
デビュー時点で480kgを超え、4歳時には500kgを超えるなど、牝馬としては大柄であった。
馬名の由来は「元気+母名の一部」。ファインモーション(2002年秋華賞・エリザベス女王杯勝ち馬、馬主:伏木田達男)やファイングレイン(2008年高松宮記念勝ち馬、馬主:社台レースホース)、ファインニードル(2018年高松宮記念・スプリンターズS勝ち馬、馬主:ゴドルフィン)とは特に関係ない。
美浦・木村哲也厩舎に入厩し、2020年8月23日の新潟の新馬戦(芝1200m)で北村宏司を鞍上にデビュー。道中4~5番手から追走したが直線での加速が遅れクビ差届かず2着に敗れる。気を取り直して10月24日の未勝利戦(東京・芝1400m)はクリストフ・ルメールに乗り替わり、好位追走から残り200mでぐっと加速、内から一気にちぎって2馬身差をつけて快勝。
3歳はフェアリーステークス(GⅢ)から始動。鞍上は引き続きルメール。やや出遅れ後方からかなり外を回らされる格好になったが、距離延長+距離ロスもなんのその、直線一気で他馬を突き放す末脚を見せ、追い込んできたホウオウイクセルらを歯牙にもかけず2馬身半差の楽勝。重賞初勝利を挙げた。
続いて桜花賞(GⅠ)へ。ルメールがサトノレイナスに騎乗するため鞍上は福永祐一に乗り替わった。GⅠ馬が全然出ないフェアリーS組ということもあってか8番人気に留まったものの、内枠の利を生かしてソダシの真後ろという絶好の位置をキープ、最後までソダシに食らいついての3着に健闘。福永は「期待通り。勝った馬とは完成度の差かな。こっちは伸びしろがあるし、今後が楽しみ」と語った。
次走はオークス(GⅠ)。鞍上は引き続き福永で、前走の好走もあって4番人気に評価を上げる。距離延長もあって中団後方で脚を溜める作戦に出たが、直線で進路を探して右往左往してしまい、前が壁になったまま伸び脚を欠いて11着に惨敗。なんとも不完全燃焼なレースとなってしまった。
秋に向けて休養をとる中、所属厩舎の木村哲也調教師がパワハラで調教停止処分を受けてしまったため、一時的に岩戸孝樹厩舎へ転厩。
そんな人間側のゴタゴタはさておき、秋初戦は秋華賞トライアルの紫苑ステークス(GⅢ)。鞍上は引き続き福永。道中は中団で待機すると、4コーナーで外に持ち出し直線で他馬を置き去りにする末脚が炸裂。1と3/4馬身差という着差以上の力強い完勝で重賞2勝目、一気に秋華賞の有力候補に躍り出た。
牝馬三冠の最終戦・秋華賞(GⅠ)では前走の勝ちっぷりが評価されてか、ソダシに次ぐ2番人気に推される。鞍上はフェアリーS以来のルメール。道中は中団やや後方で待機、4コーナーで外に持ち出して直線勝負というこれまでの勝ちパターンに持ち込んだが、前目の好位から同じく直線の末脚勝負に持ち込んだアカイトリノムスメを追い込みきれず、半馬身差届かず惜しくも2着に敗れた。
ちなみに鞍上のルメールは桜花賞のサトノレイナス、オークスのアカイトリノムスメに続いて牝馬三冠を全て別の馬で2着、前年の阪神JF(サトノレイナス)を含めるとこの世代の世代限定牝馬GⅠ全て2着という謎の珍記録をマークすることになった。
10月末に木村師の調教停止処分が解け木村厩舎に復帰。年内は放牧で休養となり、3歳シーズンは5戦2勝、2着1回3着1回という成績で終えた。
明けて4歳となる2022年は2月の東京新聞杯(GⅢ)から始動。鞍上はルメール。古馬とは初対決、前走から+16kg(510kg)ながら1番人気に支持される。レースは中団前目から進めたが3コーナーで下がってしまい、直線に入ってもなかなか進路が開かず馬群の中。残り200で進路を確保すると一気に馬群をこじ開け抜け出したが、大外から追い込んできたイルーシヴパンサーには突き放され2着に敗れた。
続いて本番のヴィクトリアマイル(GⅠ)。ソダシ、デアリングタクト、レイパパレ、レシステンシア、ソングラインなどが揃い、現役牝馬最強決定戦の様相を示した豪華メンバーの中、前走から-10kg(500kg)としっかり絞ってきて、2番人気ソングラインと同オッズの3番人気に支持される。鞍上はルメール。
道中は中団前目の好位置で進めたが、直線で前にいたクリノプレミアムが外に出ようとしたため接触、躓いてしまう不利を受ける。しかしそこから素早く立て直すと中を突いて加速、抜け出したソダシには追いつけなかったものの、2番手集団を外からまとめてかわして2着に突っ込んだ。ルメールは「あの不利がなかったら…。2着まで来たのが信じられないくらい。改めてすごい馬です」とコメント。
この力走もあり、中2週で安田記念(GⅠ)へ。ルメールがシュネルマイスターに回ったため、鞍上は武豊が初騎乗。前走の好内容もあり3番人気に支持される。
レースは前目の好位から進め、直線に入ると先行するダノンザキッドとカフェファラオの間に割り込むようにして進出を開始。カフェファラオが失速するのを尻目にダノンザキッドと馬体を併せての追い比べに突入したが、ゴール手前で外からソングライン、シュネルマイスター、サリオス、セリフォスにかわされた。それでもダノンザキッドは最後ハナ差かわして5着で掲示板確保。
多士済々の2021年クラシック世代牝馬勢の中でも、GⅠを勝利した面々に劣らない実力を見せながら、本番ではあと一歩勝ちきれないレースが続いたファインルージュ。同じキズナ産駒の同期牝馬ソングラインが安田記念を勝ったこともあり、彼女も秋こそはそれに続くことが期待されていた、のだが……。
8月5日、競走馬登録抹消。突然の現役引退となってしまった。引退の理由は今のところ明らかになっていないが、繁殖シーズンは既に終わっており、故障以外にこの時期に4歳の有力牝馬を引退させる合理的な理由はないため、秋へ向けた放牧中に何らかのアクシデントがあったものと思われる。
サトノレイナス、ヨカヨカ、アカイトリノムスメ……と予想外のアクシデントによる早期引退が続く2021年クラシック世代の牝馬たちだが、ファインルージュもまたその中に名を連ねることになってしまった。これでこの世代の桜花賞2~4着馬が現役を退いたことになり、残念という他ない。
引退後は故郷のノーザンファームで繁殖入り。初年度の2023年はレイデオロをつけられている。道半ばで夢絶たれた母の分まで、子供たちが活躍してくれることを祈りたいところである。
キズナ 2010 青鹿毛 |
ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | |||
*ウインドインハーヘア | Alzao | ||
Burghclere | |||
*キャットクイル 1990 鹿毛 |
Storm Cat | Storm Bird | |
Lady Victiria | |||
Pacific Princess | Damascus | ||
Fiji | |||
パシオンルージュ 2008 鹿毛 FNo.4-r |
*ボストンハーバー 1994 鹿毛 |
Capote | Seattle Slew |
Too Bald | |||
Harbor Springs | Vice Regent | ||
Tinnitus | |||
セクシーココナッツ 2001 栗毛 |
ダンスインザダーク | *サンデーサイレンス | |
*ダンシングキイ | |||
*ココパシオン | *グルームダンサー | ||
*ゲートドクール |
クロス:*サンデーサイレンス 3×4(18.75%)、Northern Dancer 5×5(6.25%)
▶もっと見る
掲示板
急上昇ワード改
最終更新:2025/05/22(木) 09:00
最終更新:2025/05/22(木) 09:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。