ディープインパクト禁止薬物検出事件 単語


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ディープインパクト禁止薬物検出事件とは、2006年フランスロンシャン競馬場で行われた第85回凱旋門賞において、出走ディープインパクトから禁止物が検出されて失格となった事件である。

概要

当時のディープインパクト2005年傷の7連勝で三冠を達成してシンボリルドルフ以来となる史上2頭の無敗の三冠馬になった。その後は有馬記念で初のという屈辱を味わうも、古となった2006年阪神大賞典天皇賞(春)宝塚記念と3連勝。通算成績10勝、連対率100%GⅠ5勝という破格の成績で日本競馬史上最強というも挙がっていた。

二次競馬ブームが終わって馬券売り上げが落ちていった日本中央競馬会にとっては看板ということもあり、ディープインパクトのPR活動には非常に力を入れていた。元から東京優駿当日に像を展示したりとかなり掛かっていたが、凱旋門賞前にはJRAとは関係のないレースにも拘らず『凱旋門に衝撃が走る』『世界のディープを見逃すな』というキャッチコピーを使ったディープインパクトコマーシャルメッセージを頻繁に流すという推しっぷりを見せていた。まあ、後々のことを考える悪い意味でピッタリなキャッチコピーだったが……。

こうしてフランスに乗り込んだディープインパクトとその営だったが、9月13日から咳き込むようになり、これを受けて21日から25日に掛けて風邪薬であるイプラトロピウムによる吸入治療を行った。だが、これが後にディープインパクトの競走成績に大きな傷を残すことになった……。

そして迎えた凱旋門賞は今までの追い込みとは違い先行で競馬するも後続に敗れて3着。初めて連を外した。

禁止薬物検出

2006年10月19日フランス競馬統括機関であるフランスギャロがある発表を行った。それは……

ディープインパクトの体内から禁止物が検出

……この発表に日本中がを疑った。当然だ、日本史最強ともいわれるアイドルホースドーピングをしていたと言われたようなものだ。この発表を受けて日本中央競馬会高橋政行理事長は「栄誉ある凱旋門賞に汚点を残す結果となり、残念でなりません」との明を発表した。

ディープインパクト調教師である池江泰郎師はイプラトロピウムによる吸入治療を行った際に2度ディープインパクトが暴れたために、外れたマスクから剤が飛散して房内の敷料や干しなどに付着。それを凱旋門賞前日ないし当日に摂取したために、レース後まで残留したという内容の弁明書をフランスギャロに提出した。

ディープインパクトファンは潔であってほしいと祈ったであろう。だが、現実無常フランスギャロは11月16日ディープインパクト凱旋門賞3着を効として失格という厳しい裁定が下された。池江師には1万5000ユーロ日本円換算約230万円)の制裁金が科された。また、日本中央競馬会11月29日には同行していた日本人医師に対して、JRA診療施設の貸し付けを12月4日から翌2007年6月3日までの6か間禁止する処分を下した。

イプラトロピウム

ディープインパクトから検出されたイプラトロピウムは人の呼吸器疾患に使われる物であり、の呼吸器疾患に対しても使われる。競走馬への使用は認められていたが、フランスではイプラトロピウムが体内に残留した状態での出走を禁止されていた。この他にイギリスオーストラリアアメリカ合衆国などでも禁止物に定されていた。
日本中央競馬会では禁止物に定されていなかったが、JRA事部の伊藤幹副長は「イプラトロピウムは競走力にを及ぼす明らかな禁止物である」という見解を述べ、「これまで日本では使われていなかったが、今後使われる危険性が非常に高い」とドーピング用途での使用を懸念し、2008年には禁止物に定される見込みと発言。実際はそれよりもディープインパクト引退した後の2007年3月1日に禁止物に定された。

その後

日本競馬界のの期待を背負って凱旋門賞に挑み、一般大衆からも注を集めていたディープインパクトの事件ということで大々的に報じられた。この騒動のなのか2006年度の第51回有馬記念ファン投票1位でこそあったが、前年と較すると票数を大きく落としていた。また、入場人員や売上金も減少していた。

東京競馬記者クラブ内からは、禁止物の使用で失格になったに「記者クラブ賞にふさわしくないのでは」という意見が出され、2006年度の東京競馬記者クラブ賞は天皇賞(秋)マイルチャンピオンシップを制したダイワメジャーが受賞した。

2006年JRA賞においては最優秀4歳以上および年度代表馬に選出されたが、最優秀4歳以上ではダイワメジャーに1票、年度代表馬にはダイワメジャーと該当しに1票ずつ入ったことから満票とはならなかった。この内、ダイワメジャー投票していたのは報知新聞記者である俊介氏であり、2007年1月12日付の報知新聞にてこれを表し、凱旋門賞失格となったことでフェアプレーを守ることができなかった。そのため、ディープインパクトを最初からJRA賞補として考えていなかった」ディープインパクトに入れなかった理由を述べた。

この問題は日本中央競馬界が相究明に最後まで毅然とした態度を取らなかったことについて批判の対となった、また、池江調教師に対しても、物を投与しなければならない状態だったにも関わらず、それについて何も言及せずに黙って凱旋門賞に出走。更に物検出が発表されてからも口を閉ざし続けたことが問題視され、説明責任を果たそうとしない点や説明しようとする態度や対応がなかったことも批判の対となった。

競馬ファンの間でも様々な憶測が流れ、ディープインパクトの強さはドーピングによるものだった」するファンもいれば、フランス凱旋門賞に勝たせたくないためにディープインパクトを盛った」陰謀論を展開するファンも現れた。

最後に

このようにディープインパクトの経歴に大きな汚点を残すこととなり、日本競馬界に様々な遺恨を残すことになった本事件。しかし、ある意味幸運だった点を挙げるとすれば凱旋門賞の結果が3位入線であったことである。失格になったとはいえ元々負けていたのだから、結果としてはまだマシな方であった。

だが、これがもしも凱旋門賞1位入線だったとしたら……? 凱旋門賞優勝日本競馬の悲願であり、ディープインパクト以前にも多数の日本が挑んでは敗れてを繰り消していた。優勝すれば日本ホースマン競馬ファン論の事、一般大衆を含めて日本中が歓喜に包まれていただろう。でも、その勝利が禁止物検出によっての泡と消えたとしたらどうだろう? 3位入線からの失格ですら上記の有様である。もしも1位入線だったとしたら……考えることすら恐ろしい。

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