ニコ・ウィリアムズ(Nicholas Williams Arthuer、2002年7月12日 - )とは、スペイン出身のサッカー選手である。
スペイン・ラ・リーガのアスレティック・ビルバオ所属。サッカースペイン代表。
ポジションはFW。181cm67kg。利き足は右足。愛称は「ニコ」。
実兄は同じくアスレティック・ビルバオでプレーしているイニャキ・ウィリアムズ。
スペイン・ナバラ州パンプローナ出身。父はガーナ人、母はリベリア人の移民であるガーナ系スペイン人。圧倒的スピードと機敏性、さらには卓越したドリブルスキルが武器のウイングであり、2024年にはバロンドールにノミネートされている。
13歳の頃にアスレティック・ビルバオの下部組織に入団し、2021年4月に18歳でトップチームデビュー。以降は兄と共にチームの中心選手として活躍しており、2023-24シーズンにはクラブにとって40年ぶりのタイトル獲得となるコパ・デル・レイ優勝に貢献。
スペイン代表には2022年に20歳でデビューしており、2022 FIFAワールドカップのメンバーにも名を連ねている。EURO2024ではラミン・ヤマルとのウイングコンビとして崩しの切り札として躍動。決勝のイングランド戦で先制ゴールを決めてMOMに選ばれるなどスペインの優勝の立役者となったことで市場価値が爆発的に上昇し、あまたのビッグクラブが触手を伸ばす存在となっている。
8つ年上の兄であるイニャキ・ウィリアムズは同じチームでプレーしているものの、兄はルーツであるガーナ代表を選択している。
2000年7月12日、ナバラ州パンプローナで誕生。父親はガーナ人、母親はリベリア人であり、1989年に勃発したリベリア内戦の戦禍から逃れるために難民としてガーナに向かい、そこでイニャキの父親と出会い結婚。その後、両親はスペインへの移住を決断し、バスク州のビルバオにたどり着いたという背景がある。
8歳年上である兄・イニャキの影響で4~5歳の頃よりサッカーを始めていたが6歳になるまでは真剣にプレーしていなかったという。徐々にサッカーの才能が開花するようになり、最初はパンプローナでフットサルを通じてボールを蹴り始め、8歳となった2010年に兄が所属しているCDパンプローナに入団。2012年にはCAオサスナのアカデミーに入団。ここでサッカーの基本的な技術を身につけている。
2013年、イニャキがアスレティック・ビルバオのサードチームであるCDバスコニアに加入していたこともあり、アスレティック・ビルバオの下部組織へ移籍。そこからは恵まれた環境にて才能を伸ばしており、カデテA(U-16)では2ヶ月の負傷離脱も重なりながらも15得点をマーク。フベニル(Uー17/Uー18)に昇格後もクラブから高い評価を受け続け、2019-20シーズンよりバスコニアでプレーするようになり、4部にあたるテルセーラ・ディビシオンの試合にも出場する。
2020-21シーズンには、フベニルAのチームメイトであるニコ・セラーノと共に飛び級にてセカンドチームのビルバオ・アトレティックに昇格。セグンダ・ディビシオンB(スペイン3部)の開幕戦からフル出場とアシストを記録すると、第3節のクラブ・ポルトゥガレテ戦ではシニアカテゴリでの初ゴールを記録。出場した17試合で8得点7アシストを記録する。
この活躍が認められ、2020年12月末に初めてトップチームのメンバーに招集される。そして2021年4月28日、ラ・リーガ第33節ラージョ・バジェカーノ戦に途中出場し18歳9か月でのプリメイラ・ディビジオンデビューを飾る。すでにチームのエース格となっていた兄との共演も実現し、兄弟揃ってアスレティック・ビルバオの選手としてピッチに立った選手は、1986年のフリオ・サリナス、パチ・サリナス兄弟以来の出来事であった。
2021-22シーズンになるとトップチームでも出場時間を増やすようになり、2022年1月6日のコパ・デル・レイ3回戦アトレティコ・マンチャ・レアル戦でトップチームでの公式戦初ゴールを決める。さらにその1週間後のスーペル・コパ・デ・エスパーニャ準決勝のアトレティコ・マドリード戦では途中出場から逆転ゴールを決め、チームの決勝進出に貢献。1月20日のコパ・デル・レイベスト16、FCバルセロナ戦への出場で契約条項を満たしたため、トップチーム契約を結ぶ事となった。これ以降はスタメンで起用されることも増え、シーズンの公式戦40試合に出場している。
2022-23シーズンに就任したエルネスト・バルベルデ監督からはシーズン開幕から主力として起用され、2022年9月11日のラ・リーガ第6節エルチェCF戦で右サイドからのドリブルで強烈なシュートを決め、ラ・リーガ初ゴールを記録。この試合のMOMに選出される。偶然にも、これは7年前に兄がリーグ戦で初めてゴールを決めたのと同じ会場で同じ相手だった。1週間後の第7節ラージョ・バジェカーノ戦でも本拠地サン・マメスでの初ゴールとなる決勝ゴールを決める。スペイン代表にも選出されるなど、順風満帆なキャリアを歩んでいたが、2023年4月4日のコパ・デル・レイ準決勝のオサスナ戦では二度の決定機を逃したことでチームが敗退しており、心ないファンから自身のSNSに大量の誹謗中傷コメントが寄せられ、一時的にSNSのアカウントを非アクティブ化する事態となる。しかし、この逆境に負けることはなく、4日後のラ・リーガ第24節RCDエスパニョール戦では兄弟揃い踏みゴールとなる決勝ゴールを決めて勝利に貢献している。シーズン公式戦9ゴール4アシストとゴール関与数も増える。
2023-24シーズンからは前シーズンを最後に退団したクラブの象徴であるイケル・ムニアインから背番号10を継承し、名実共にチームの顔となる。バルベルデ監督からはこれまでの右ウイングから左ウイングを主戦場として任されるようになる。すると、バルベルデ監督の期待通りに左サイドから多くのチャンスを作り出し、逆サイドの兄と共にビルバオの両翼は大きな武器となっていた。利き足の逆となる左サイドに固定されたことでよりプレーの幅を増やし、ラ・リーガ第2節と第3節で2試合連続2アシストを記録するなど、ゴールに関与する機会も増える。コパ・デル・レイでは準々決勝のFCバルセロナ戦で1ゴール1アシストを記録し、準決勝2nd legのアトレティコ・マドリード戦でも1ゴール1アシストの活躍でいずれも強豪相手の勝利の立役者となり、チームを決勝へと導く。決勝のRCDマジョルカ戦でもオイアン・サンセトのゴールをアシストし、試合のMOMに選ばれるなどクラブに40年ぶりとなるタイトルをもたらす活躍を見せる。このシーズンは何度か筋肉系の負傷に悩まされながらもリーグ戦で11アシストを記録するなど、公式戦8ゴール16アシストと大きく飛躍。もはやリーガを代表するスター選手の一人となる。
2024-25シーズンはFCバルセロナへの移籍が一時は有力視されるなどステップアップが取り沙汰されたが、最終的に残留を決断する。EURO2024の疲労と筋肉系の故障あって開幕当初はコンディションが整わず、スタートが出遅れることとなったが、2024年9月15日の第5節ラス・パルマス戦で初ゴールを記録。その後は好調のチームの中で左サイドからの鋭い突破で崩しの切り札を担う。2025年3月13日、UEFAヨーロッパリーグラウンド16のASローマとのサン・マメスでの第2戦では2ゴールを決め、大逆転でのベスト8進出を演出。一方でシーズン後半は度重なる負傷や体調不良に苦しめられてコンスタントに活躍ができず、欠場も多いことから本来の実力を考えると物足りない印象のシーズンとなった。
オフシーズンには、再びバルサへの移籍が取り沙汰され、一時は個人合意に達したことが報道されたが、最終的にビルバオ残留を決断し、新たに2035年までの契約延長に合意している。
2020年に初めてU-18スペイン代表に選出され、4試合で2得点を記録。翌年には飛び級でU-21代表に選出されるなど、順調にステップアップを重ねる。
兄のイニャキと同様にガーナ代表を選択する可能性もあったが、ニコは生まれ育ったスペインを選択。2022年9月16日、ルイス・エンリケ監督から初めてフル代表に招集され、9月25日のUEFAネーションズリーグ スイス戦で途中出場し、20歳でのスペイン代表デビューを飾る。2か月後の2022 FIFAワールドカップ カタール大会の本大会メンバーにも選出。大会直前のテストマッチである11月17日のヨルダン戦で代表初ゴールを記録。本大会では4試合全てに出場し、グループリーグ第3戦の日本戦ではスタメンで起用されている。ワールドカップ後も代表の常連として定着している。
2024年6月にドイツで開催されたEURO2024では左ウイングのレギュラーとして出場。逆サイドのラミン・ヤマルと共に若きスペインの両翼は崩しの切り札として大きく飛躍することになる。グループステージ第2戦のイタリア戦では試合のPOMに選出。ラウンド16のジョージア戦では国際大会での初ゴールを決め、さらに1アシストも記録。さらにこの試合ではパス成功率100%を記録するハイパフォーマンスを見せている。決勝のイングランド戦では後半2分にヤマルのアシストから右足でのシュートによる先制ゴールを決める。この試合でも何度も左サイドを突破しチャンスを作りだしており、決勝のPOMに選出。スペインの全勝による4度目の優勝に大きく貢献している。この活躍によって2024年のバロンドール30人にノミネイトされ、15位となっている。
| シーズン | 国 | クラブ | リーグ | 試合 | 得点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2019ー20 | バスコニア | テルセーラ | 3 | 0 | |
| 2020ー21 | ビルバオ・アスレティック | セグンダB | 24 | 9 | |
| アスレティック・ビルバオ | ラ・リーガ | 2 | 0 | ||
| 2021ー22 | アスレティック・ビルバオ | ラ・リーガ | 34 | 0 | |
| 2022ー23 | アスレティック・ビルバオ | ラ・リーガ | 36 | 6 | |
| 2023ー24 | アスレティック・ビルバオ | ラ・リーガ | 31 | 5 | |
| 2024ー25 | アスレティック・ビルバオ | ラ・リーガ | 29 | 5 | |
| 2025ー26 | アスレティック・ビルバオ | ラ・リーガ |
スピードと敏捷性を武器としたドリブル突破を得意とするウインガー。当初は右ウイングが主戦場だったが、左ウイングとして起用されてからその才能をさらに伸ばしており、現在はクラブでも代表でも左ウイングがメインポジションとなっている。試合中に多くのチャンスを創出し、個人能力で相手DFを圧倒する力を持っている。
最大の特徴は、その圧倒的なスピードと卓越したドリブル技術であり、スピードとボールコントロールに優れ、相手DFを抜き去ることができる。特に1対1の状況で強くアイソレーションを好み、効果的なドリブルで攻撃の起点を作る。どちらかと言えば直線的な突破を得意とするタイプで、ポゼッションよりもカウンター時に生きるタイプ。
ドリブラーにありがちなオン・ザ・ボールでしか生きないタイプではなく、長い距離のスプリントも苦にせず、素早く攻撃に意識を切り替え、自陣からのロングカウンターでも存在感を発揮する。特にそのスピードを活かした裏抜けの意識が強く、サイドラインから一直線にゴールへと走り込む。相手DFの先手を取るための術も常に考えており、瞬時にフリーになってボールを持ったら個人技に持ち込む。
サイドからのクロスやピッチ中央へのカットインを駆使して試合中に多くのチャンスを作り出すことができ、正確なクロスやラストパスからアシストを多く記録している。カットインからのミドルシュートも武器であり、左右両足で強力なシュートを放つこともできる。
守備の場面では高い位置でのプレッシングやボール奪取に優れており、相手の攻撃を早い段階で阻止する力がある。ビルバオの下部組織で育っただけあってプレスバックの際にはしっかり自陣まで戻っており、攻守の切り替えの判断にも優れている。
欠点はコンスタントにゴールを決められないことであり、相手GKとの1対1で力んで決定機を逃す場面が見られる。また、スプリント系の選手にありがちな筋肉系のトラブルに見舞われることが多いのが泣き所で、たびたびチームや代表から離脱している。
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最終更新:2025/12/06(土) 16:00
最終更新:2025/12/06(土) 16:00
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