ブルムベアとは。
アドルフ・ヒトラー「あー、強固な装甲に守られた、歩兵についていく強力な自走砲がほしいなー」
何のことかと言うと、6月から始まったスターリングラード攻防戦でドイツ軍歩兵が市街地に侵入してはフルボッコにされるという事態が続いていたからである。
いやあったのよ、歩兵を砲撃で支援する「歩兵砲」という兵器が。I号戦車やII号戦車の改造型や38(t)歩兵砲「グリレH」とか。しかしこれらはすべてオープントップ…つまり天井がなくて砲が野ざらしの車両だった。そのため榴弾の破片や狙撃で乗車した兵が簡単に殺されるザマ。
一方、III号戦車から改造された33B突撃歩兵砲は装甲で守られた戦闘室を持ち、スターリングラード戦でも良好な結果を残していた。但し戦闘室が狭いなど改良すべき点が指摘されていた。
10月、自走砲の改造や製造に定評のあるアルケット社より提案が出る。
アルケット社の提案はIV号戦車のシャーシに広い戦闘室を載せ、15センチ榴弾砲を積むというものであった。
ヒトラー「よろしい。来年5月までに60両作ってね。ツィタデレ作戦に使うから」
IV号戦車と一緒でリーフサスペンション式独立懸架、いわゆる板バネ。1940年代の時点ですら既に使い古された技術だったりするのだが、どこぞの象さんみたいな凝ったことしてないから単純かつ堅牢。整備もらくちんな信頼の足回り。ちなみに21世紀の現在でもリーフスプリングはダンプカーやトラックの足回りとしてはデフォだよ。
エンジンは信頼のマイバッハ社製。というかこれもIV号戦車と一緒。
15cm突撃榴弾砲『StuH43』、後に軽量化・長砲身化された『StuH43/1 L/12』を1門と機関銃1基搭載。
StuH43は12口径というから砲身の長さは大体180cm。実写の写真からえらく短い印象があるけど、実際は意外に長い。StuH43の元になったsIG33はドイツ軍の標準的な野砲で、いろいろな車両に積まれている。
主砲StuH43は40kgもの重さの榴弾を発射できた。おかげで装填手は2名も必要となった。破壊力は半径40mのクレーターを作る程度の能力だったとか。石やレンガでできた当時の建物ではたまったものではなかっただろう。
また成形炸薬(HEAT)弾も発射可能で、2000mの射程で148mmの装甲をぶち抜くことが可能とのこと。スターリン戦車すら破壊したことがあるらしい。ひぃ。
初期型は6角形、後期型は4角形の、横から見たら後ろは垂直、前は斜め向いた台形をしている。装甲は前面100mm。最初は80mmだったのをヒトラーが100mmにさせたという逸話が残っている。なお後期型は80mmになってしまった。
ブルムベアはそもそも33B突撃歩兵砲の欠点である狭い戦闘室を改善するために作られた車両であり、大型のⅣ号戦車をベースとした。乗員は5名、車長・操縦手・射手・装填手2名が快適(?)に戦闘できる広さを備えた。
ブルムベアは初期型と後期型でフォルムがかなり変わっており(6角形か4角形か、前面装甲の傾き具合)、判別は容易。
車体は『マグネットツィンメリットコーティング』というもので覆われた車両が存在する。なんかセメントみたいなものを塗った繰られたように見える車両がそれ。これはドイツが開発した「磁気吸着地雷」……戦車が上を通ると磁石で引っ付いて爆発するタイプの地雷のせいで、「これは他国も開発するに違いない」と勝手に思い込み施されたもの。
ちなみにこのギザギザの正体は硫化バリウム(磁器の顔料に使われる)とおがくずでできてるんだとか。 なお、対する連合国はバズーカとモロトフカクテル(いわゆる火炎瓶)で対抗。ぶっちゃけ、磁気吸着地雷なんて凝ったものは採用しなかった。このためドイツも終戦間際にはこのコーティングをやめてしまう。当たり前だ!
こうして作られたブルムベアはちょび髭のおっさんの思惑通りクルスク攻略戦(ツィタデレ作戦)に間に合い、あのフェルディナントが配備された珍車梁山泊656重戦車駆逐連隊に配備され、歩兵を守る頼もしい友人となった。
ブルムベアは総数306両作られ上の656連隊に配備された第216突撃戦車大隊など4つの大隊に配備。火消役として歩兵の撤退を支援するべく終戦の日まで戦い続けた。
現在アメリカのアバディーン戦車博物館(前期型)やドイツのムンスター博物館(後期型)でその雄姿を見ることができる。アバディーンの子はやっぱり野ざらし放置プレイだけどなっ!
ブルムベアの「歩兵に随伴して火力支援を行う自走砲」というコンセプトは現用においても「自走迫撃砲」というカテゴリで存在している。今日も自走迫撃砲は歩兵の頼もしい隣人として世界の軍隊で活躍している。だけど、
無駄にいい声と主人公を食いまくっているIII号戦車シリーズが見物。そんなとこまでブルーノアと被らせなくて良いのに…。
5:44より数秒だけ出演。
ブルムベアに乗って戦います。
タミヤのブルムベアはかなり古いキットのはずだけど今でも販売中。トランペッターのは1/72と小振り。
他にもたくさん関連商品があるよ。→関連商品一覧
掲示板
11 ななしのよっしん
2017/01/09(月) 21:22:50 ID: ocSMpWPcGX
12 ななしのよっしん
2019/06/11(火) 00:12:41 ID: 4LYiDHqwrx
>そもそも“Brummbär”という単語自体がBrummbart(=気難し屋)から作られた造語(独和大辞典より)なのでそんな名前のクマいるはずがない。
BrummbartじゃなくてGrumblerじゃね
13 ななしのよっしん
2019/08/19(月) 18:03:28 ID: ub4VUgBisG
>>12
確かにBrummbärが英語起源ならその線もあるか
ドイツ軍がBrummbärって呼称してた証拠ないしな
急上昇ワード改
最終更新:2024/11/30(土) 14:00
最終更新:2024/11/30(土) 13:00
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