戦勝神ユリスカロア

「戦勝神ユリスカロア」とは、テーブルトークRPG「ソード・ワールド2.0」に登場する古代神（エンシェント・ゴッド）であり、名の通り戦いの勝利を司る女神である。

格言

「グダグダと考えすぎては勝機を逃す。早く動け。意表を突け。裏をかけ。そしてときには正面突破」

「知識と努力は荷物にならぬ。詰め込めるだけ詰めておけ」

「すべての神が万能だと思うなよ」

概要

三万年以上前、魔剣キルヒアイゼンにより神格を得た……と本人は言っているが、実際には賢神キルヒアの目を盗んで第三の剣カルディアに触れ神格を得た女神。キルヒアの娘でもある。
神々の戦いが始まったころは中立を保っていた第三の剣勢力ではあるが、彼女が独断で神格を得、そのまま戦神ダルクレムに奇襲を仕掛けたことにより「事実上の第一の剣勢力」という既成事実が発生してしまい、キルヒアも第一の剣勢力に与するようになったと云われている。

なお、この一件が攻勢に出ていたダルクレムの勢いを見事に殺ぎ落とし、死の神ザールギアスに第二の剣を盗まれたことも相まって始祖神ライフォス率いる第一の剣勢力が勢力を盛り返す結果となった。

戦略や策略で戦いを勝利に導く、知的で指揮官タイプの女神……なのだが、当の本人は騎士神ザイアや炎武帝グレンダールをおちょくって遊んだり、ダルクレムを罠にはめまくったり（以上自己申告）、前述のように独断で神格を得て奇襲を仕掛けたりと中々におてんば娘であった模様。

姿は右手に斧槍、左手には盾を持った理知的な女性で、聖印は四枚羽の風車をモチーフとしている。しかし、彼女が神格を得たという魔剣キルヒアイゼンは片手半剣（1H両/2Hの剣）である。

教えを簡単に、端的に言ってしまえば「勝てばいい！それが全てだ！！」といったところで、神紀文明時代でも「こすい」だの「大人げない」だのと言われることも多々あったと云われている。その反面、勝利のためには努力や知識の吸収、工夫や調査などの事前準備なども大切であると説いており、あくまで知略での大局的な勝利が至上という点で、力による目の前の勝利を主眼に置く戦神ダルクレムとは一線を画す。一方で勝つ為には手段を選ばない部分もあるため、卑怯な振る舞いを嫌うザイア信者とは対立する事も多かった。

近年では完全に信仰が廃れてしまい、自身の発祥の地ですら信者が一人（非プリースト）しかいないという危機的な状況に見舞われており、その力は小神（マイナー・ゴッド）にも満たないほどにまで落ちている。本来ならば非常に長い時間と莫大な魔力が必要な古代神のコール・ゴッドにも恐らく小神並のレスポンスで応じていた（ただし、魂は捧げられる）。なお、これでも平和が故に戦女神としての立場を失い、本当に消滅しかけた<大破局>直前の頃よりはまだマシな状況であるとのこと。

特殊神聖魔法

いくら衰えたとはいえ神には変わりないため、彼女にまつわる特殊神聖魔法は当然存在する。
当初の予定ではサプリメント「ウィザーズトゥーム」に収録される予定であったが、諸般の事情により見送られたため、堕女神ユリスシリーズ以外には記載されていなかった。
ちなみに、相方ザウエル・イェーガーが持つ魔剣は収録されており、そこでユリスカロアの名前もチラッと登場している。

なお、第三の剣勢力にスポットライトを当てた「カルディアグレイス」には無事収録されている。
また、ノベルで掲載されたものとカルディアグレイスに掲載されたものでは微妙かつ多大な差異がある。こちらではカルディアグレイス版における効果を記す。

内容は戦闘を優位に運ぶタイプのものがほとんど。☆付きは補助動作で行使可能。

Lv	名称	概要
2	☆シャープ・タクティクス	魔物知識判定及び先制判定を行う直前に行使でき、両方の判定に+1の修正を掛ける。なお、効果は3分間持続する。 カルディアグレイスにて実装された新技能、ウォーリーダーをそのまま神にしたようなユリスカロアらしい特殊神聖魔法である。無論、相性は抜群。効果が持続するため、戦闘中に敵が乱入してきた場合や、インターバルのない連戦にも修正を受けることができる。
4	ピアシング	1ラウンドの間、対象は弱点を看破されたものとして扱う。戦闘特技《弱点看破》ではなく、魔物知識判定の方の弱点抜きであるため、抵抗不能とは言え効果時間も相まって使える状況は限られる。 弱点を抜きにくいボス戦では一定の活躍を見込めるが、気軽に払えるコストではないので《弱点看破》持ちなど、的確に弱点を効果的に突ける仲間がいる時に限った方が無難かもしれない。
7	ウォー・スピリット	半径6m以内にいる最大20人が対象。対象は任意選択可能。 3分の間、命中力・回避力・生命抵抗力・精神抵抗力を+1する。 後衛プリーストなら第1ラウンドでの使用がベターだが、《ファストアクション》なしでは【フィールド・プロテクション】系との二択になるので状況に応じて使い分けたい。《マルチアクション》持ちの神官戦士なら前線で戦いながら仲間にばら撒ける。
10	☆リトリート	術者から半径20m以内にいる全員が対象。乱戦からの離脱を宣言時、従来の回避力-4のペナルティを打ち消した上で回避力・生命抵抗力・精神抵抗力を+2する。 本来は非常にリスクの高い乱戦離脱からの敵後衛への斬り込みを容易にする。特に乱戦の回避が事実上不可能な『標準戦闘ルール』では猛威を揮うことになるだろう。
13	ライトニング・マーチ	術者から半径20m以内にいる全員が対象。移動力+20m（全力移動+60m）に加え、効果時間内（1日）であれば食事や睡眠を摂らなくてもペナルティが発生しない。また、この魔法の加護を受けた軍勢は3倍のスピードで進軍できるものと扱う。 術者から離れてはいけないわけではない（言及がない）ので、進軍よりは敵陣への多方面からの電撃戦を仕掛ける場合の方が用途としては相応しいか。なお、効果は途中で戦闘に突入しても当然維持されるので、『熟練戦闘ルール』では潤沢な移動力によって前衛が後衛の後ろから乱戦を仕掛けることができたりと大変なことになる。

ノベル→カルディアグレイスの変更点

【リトリート】および【ライトニング・マーチ】の対象が『半径20mの空間』から『半径20m／すべて』に変化している。

【リトリート】に関しては大差はない（効果時間がどの道1ラウンドしかない）のだが、【ライトニング・マーチ】には大きな変化が生じている。『術者を中心とした半径20mの空間』とした場合、効果範囲は1日中、術者の周りだけに発生していることになり、術者が中心となって移動しないと実質効果はない。
しかし、『術者を中心とした半径20mにいるすべて』とした場合は、【フィールド・プロテクション】などと同じように、バフが各キャラクターに掛かっている状態になる。つまり、術者は掛けっぱなしで拠点に残っていても全く問題がない。

また、【リトリート】には《魔法拡大／時間》が不可とも追記された。【ライトニング・マーチ】にはその記述がないので、三日三晩不眠不休で（馬なんかよりも速く）走り続けることが可能と云うカオスが展開されることになる。反動で死にそうである。あるかどうかはGM裁量だが。

ユリスカロア・モンスターデータ

神としての力の多くを失っている状態の彼女のデータが、TRPG ONLINEに掲載されている。一応のカテゴリーは『神族』となっているが、バルバロステイルズに於ける『神族』の定義（神の成り損ない）とは若干異なり、あくまで『古代神』である彼女がそのレベルにまで力を落としているというだけである。

なお、データは「堕女神ユリスの奇跡（シリーズ1巻）」にて邪竜ラズアロスと戦った時の物で、本人も魔剣ユリスレイターになけなしの力を奪われ、「全盛期の半分の力も出せそうにない」と言っていたタイミングなので、満身創痍で戦闘などできる状態ではないユリスカロアのデータであることは留意していただきたい。

なお、ここに掲載されている理由はまたしても諸般の事情で掲載予定だった本に載せられなかったからである。

→モンスターデータ掲載場所（ページ末尾）

なお、能力の程はLv15以下のキャラクター・モンスターの攻撃は全て回避・抵抗は成功するというもので、実質力を使い果たす（6ラウンド）まで耐えるというデータになっている。しかし、フォルトナコードの発売に伴い、公式に（条件付きながら）レベル上限が上がったことでプレイヤーキャラでも普通に戦えるという事態になってしまっている（以前からハウスルールで限界突破することもあるため、今更ではあるのだが）。ちなみにモンスターに関しては蛮族や幻獣はもとより野生動物ですらLv16以上は多く存在する。

関連商品

関連項目

• ソード・ワールド2.0
• 堕女神ユリスの奇跡
• ソード・ワールド2.0の神様一覧

ラクシアの神々（参考資料：ウィザーズトゥームp.138「神々の相関図・改訂版」+カルディアグレイスp.83-84）
神格	第一の剣勢力（人族サイド）	第二の剣勢力（蛮族サイド）
古代神	始祖神ライフォス　太陽神ティダン　炎武帝グレンダール 賢神キルヒア　妖精神アステリア　戦勝神ユリスカロア	戦神ダルクレム　死の神ザールギアス
大神	騎士神ザイア　月神シーン 酒幸神サカロス　慈雨神フェトル　秘隠神クス	腐敗の女神ブラグザバス　不死神メティシエ 眠りの神カオルルウプテ　霧闇神フラクシス
	風来神ル＝ロウド　狂神ラーリス
小神	水の神ルーフェリア　融合神リルズ　纏いの神ニールダ 器械神レパラール　剣神ヒューレ　韋駄天ラトクレス 刃神マキシム　鉄槌神エセルフィン　竜帝神シムルグ 学護神エッケザッカ	毒薬の神テメリオ　宥和神アーメス