新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生 単語

デスアンドリバース

3.9千文字の記事

 

新世紀
エヴァンゲリオン

劇場版

 

EVANGELION :DEATH
AND
EVANGELION:REBIRTH

 

 

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生とは、アニメ新世紀エヴァンゲリオンシリーズ劇場映画第1作である。

英語タイトル表記はNeon Genesis Evangelion: Death and Rebirth

1997年3月15日開。総監督庵野秀明

1997年に上映された2本の劇場版エヴァの、実質的な前編にあたる第1作。

TVシリーズの第話~第弐拾四話を総集編とした『DEATH』編と、
TV版第弐拾五話をリメイクした新・第25話の前半部分『REBIRTH』編の2部構成。

本作単品は「未完成版」であり、完結劇場版次回作新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君にに持ち越しとなる。

制作背景

新世紀エヴァンゲリオン』は、そのテレビ版全26話のラスト2話において、視聴者を置き去りにするかのような、良い言い方をすれば前衛的な、悪い言い方をすれば広げた風呂敷をたたまないまま放置するかのような終わり方をした。これには視聴者たちから困惑や批判が上がる一方、深夜帯の再放送によってその深そうに見える内容に魅せられた新規ファンの流入により、作品自体の人気は過熱していった。

最終話から1か後(1996年4月)、制作会社ガイナックスは「当初の脚本に沿った形でラスト2話を制作し、映像ソフトとして発売する」ことと、「全新作の劇場版製作開」を発表した。その後、この2企画は複合して形を変え、11月には「1997年テレビシリーズ総集編リメイク版第25話・第26話をセットにした完結編を上映」「同年には全新作の劇場版を上映」することが発表された。

それぞれ「エヴァ」「エヴァ」と呼ばれるようになったこの2作品は、「」が本作『シト新生』、「」が『Air/まごころを、君に』として知られる作品になる。


改めて製作が決定した『シト新生』は、TVシリーズの第話~第弐拾四話を総集編とした『DEATH』部分と、第弐拾五話と最終話を新たに造り直した『REBIRTH』部分で構成されるはずであった。
しかしテレビ版から続くガイナックス制作体制破綻により、『REBIRTH』の制作開までに間に合わないことが確実となり、劇場開1か前の1997年2月14日監督らが会見を実施。構成変更の謝罪と、『シト新生』の前売鑑賞券はエヴァでの使用に切り替えてもよいという発表が行われた。

結局、実際の『シト新生』は
TVシリーズの第話~第弐拾四話を総集編とした『DEATHと、
新25話の前半(あくまで新25話の前半。最終話部分はし)部『REBIRTH
の組み合わせとなってしまった。

その後、までに時間をかけて『REBIRTH』として開されるはずだった残りの部分が制作され、第25話『Air』と第26話『まごころを、君に』と名前を変えて開される。当初発表されていた「全新作の劇場版」は歴史の闇に消え去ることとなった。2014年監督が語ったところによると「『進撃の巨人』とそっくりな感じの作品になるだった」とのこと。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版』の開始後は、本作と『Air/まごころを、君に』、および『REVIVAL OF EVANGELION』(後述)などはまとめて旧劇場版』(略して『旧劇』)とも呼ばれるようになった。

『DEATH』編

長野県・第2新東京市NERV本部のある第3新東京市ではない)にある中学校の体育館に、碇シンジ惣流・アスカ・ラングレー綾波レイ渚カヲル……を思わせる少年少女たちが順に集い、弦楽四重奏曲の練習を行っていく傍ら、TVシリーズの出来事が断片化して挿入される。

監督は摩。脚本は昭夫と庵野秀明。当初は監督予定だったが「既に総監督(=野)がいるのに監督はイヤ」「が作ると『エヴァ映画』と別物の『エヴァについての映画』になる」ということで辞退している。

野は「『わかりやすくてつまらないもの』を作るよりも、『わからなくてもいいから、刺的なもの』を作ってほしい」というリクエストを出し、「錯綜した感じ」「ただのダイジェストだと、からも憎まれない代わりにからもされない」という意向で物語を構成した。

結果として完成した内容は役っぽい子供たちが独りずつ調弦を始めていく」風景「その子供を中心に編集した、時系列がメチャクチャな断片映像が挿入される」という、総集編の皮を被った映像作品テイストに仕上がっており、全に一見さんお断り。間違っても「とりあえず新規ファンに見せて雰囲気を掴んでもらう作品」と考えてはいけない。

一方でTV版の16ミリフィルムは35ミリに引き伸ばされ、一部は新規カットに書き直された(書き直し分も最初から16ミリで作って35ミリに引き伸ばしている)ことで、劇場開作品としてのクオリティに引き上げられている。特に第六話の名シーン笑えばいいと思うよ」の綾波レイは「摩の最高作画」とまで言われる、伝説カットとして語られている。


後に衛星放送WOWOWでの放映に際し、本作のために書き下ろされた新規シーンをほとんどカット(して映像ソフト版の第弐拾~弐拾四話に転用)する修正が加えられ、タイトルDEATH(TRUE)』に変更された。
更に、翌1998年3月開された、本来の構想通りに第話~第弐拾四話総集編DEATH』→25話『Air』→26話『まごころを、君に』をまとめた新編集劇場版REVIVAL OF EVANGELION 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2Air/まごころを、君にでは、さらに修正が追加されてDEATH(TRUE)2になった。

『REBIRTH』編

監督鶴巻和哉。脚本は庵野秀明巻は正式完成版『Air』の監督も続投している。

ぶっちゃけAir/まごころを、君に』版とほぼ同じなので、大まかな構成はそちらの記事を参照のこと。ただし、正式完成版『Air』ではセリフがほぼ全編再録されたり、劇半の挿入タイミングが見直されたり、一部作画が訂正されたりと、微妙な違いがある(NERV本部に撃する戦自戦車が行進間射撃していたのが静止射撃になったり、号機の墓場を通るシーン音楽カットされたり)。DEATH』編で加持リョウジの死が強調された後に、あまりにわかりやすい山寺宏一モブが混ざる違和感とか、一切の火器を発せず「弐号機に蹴り殺されるために接近した」重VTOLとか、ちょっと笑えるミステイクもまとめて修正されている。

具体的な終了タイミングは、ジオフロント上を旋回する敵を見つけたアスカEVAシリーズ……完成していたの?」とつぶやくシーン。この後、主題歌魂のルフランが流れ、スタッフロールが始まる。その演出の見事さは、既に十分凄惨な展開を観せられたファン裏に焼き付き、現在に至るまで名エンディングと評されている。この時点で観客は続くアスカとミサトの惨劇を予想しようもかったのである。


なお、2003年リニューアルDVDには未収録となった。『Air/まごころを、君に』とほとんど被っているためだが、このため映像ソフトで『REBIRTH』編を観る=『魂のルフラン』を映像と合わせて聴くにはVHSLD・旧DVD版を入手するしかなかった。

2015年8月26日発売のBlu-ray / DVD BOXではしっかり再収録されている。

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