朝日ソノラマとは、かつて存在した日本の出版社である。2007年に朝日新聞社に吸収合併された。
1959年に朝日新聞がフランスのソノプレス社と提携し、朝日ソノプレス社として創業。「ソノシート」という薄い廉価な録音盤をつけた〝音の出る雑誌〟「月刊朝日ソノラマ」を刊行し、1966年に社名も雑誌名と同じ朝日ソノラマに変更した。
雑誌の売り上げはイマイチだったが、60年代に『鉄腕アトム』からテレビアニメの放映が始まると、その児童向け絵本や漫画に主題歌入りのソノシートをつけるという販売手法が、当時まだレコードが高価だったため大当たり。ソノシートつきの絵本や漫画で当時の子供たちに親しまれた。そんな会社だったため、当時の業態は出版社というよりはレコード会社であり、アニメ・特撮の主題歌製作をしたり、普通の黒盤レコードを出したりもしていた。
しかしレコードの普及で徐々にソノシートの需要が減少したため、1973年には「月刊朝日ソノラマ」を休刊にして、入れ替わるように1975年にソノラマ文庫を創刊。1976年には月刊少年漫画誌「マンガ少年」を、1977年にはカメラ専門誌「季刊カメラレビュー」を創刊し、以降は出版事業がメインとなる。
70年代後半から80年代初頭にかけてのSFブームもあり、ジュヴナイルSFや伝奇もの、アニメノベライズを主力としたソノラマ文庫は現在のライトノベルの源流と言っていいレーベルとなり、高千穂遙『クラッシャージョウ』、夢枕獏『キマイラ・吼』、菊地秀行『魔界都市〈新宿〉』『吸血鬼ハンターD』、笹本祐一『妖精作戦』『ARIEL』などのヒット作を生み出した。また1980年に創刊した特撮専門誌「宇宙船」、1985年創刊のSF・ファンタジー小説誌「獅子王」などで、年少読者向けSF系出版社として親しまれた。ソノラマ文庫では「ソノラマ航空戦史シリーズ」「スパイ戦史シリーズ」などミリタリー系の書籍も多数出していたので、ミリタリーファンはそちらの印象が強いかもしれない。
漫画出版では手塚治虫『火の鳥』や竹宮惠子『地球へ…』が連載された前述の「マンガ少年」の他、ホラー漫画誌「ハロウィン」「ほんとにあった怖い話」、少女漫画誌「ネムキ」など。
しかし90年代に入って角川スニーカー文庫や富士見ファンタジア文庫など他社のライトノベルレーベルが興隆、年少読者のブームがSFからファンタジーに移行すると、SF・伝奇中心のソノラマ文庫は時代に置いていかれる格好になってしまう。一説には1989年頃にソノラマ文庫の目印だった緑色の背表紙を「印刷しにくいし色褪せしやすい」という理由で白に変えたところ、書店で目立たなくなって売り上げが落ちたとかなんとか。
その後はコミックスを主力として手堅い経営をしていた(自称)が、出版不況の流れに抗しきれず、2007年に廃業・解散。実質的には朝日新聞社への吸収合併で、主要出版物は朝日新聞出版に引き継がれた。朝日新聞出版の漫画雑誌はほぼ朝日ソノラマから引き継いだもののため、朝日新聞出版のコミック配信サイトは「ソノラマプラス」という名前が冠されている。また、廃業前に一度休刊していた雑誌「宇宙船」はホビージャパンが引き取って刊行を再開し、現在まで刊行を続けている。
特記のないもので2008年以降も刊行されているものは、朝日新聞出版が引き継いだもの。
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最終更新:2024/11/09(土) 07:00
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