セウォル号とは (セウォルゴウとは) [単語記事]

セウォル号（ハングル： 세월호　漢字：世越號）は、2014年 4月16日に沈没した韓国の大型旅客船。3倍以上の過積載や荷崩れ、急旋回によって韓国南西部で横転沈没した際には^[1]、修学旅行生を含む476人が乗船しており、完全沈没まで50時間以上もあったにもかかわらず、避難誘導や救助活動の問題から、293人もの犠牲者を出した。

過積載による大事故は1970年の南営号や1993年の西海フェリー号の沈没事故と同様であり、1994年の聖水大橋崩落事故や1995年の三豊百貨店倒壊事故を引き合いに「過去の大事故から何も学んでいない」「安全不感症」「韓国の安全軽視は持病」「途上国で起こる事故が21世紀の韓国で」等と揶揄される^[2]。

建造～改造

1994年、林兼造船の長崎造船所にて竣工、大島運輸㈱（現・マルエーフェリー㈱）に売却され「フェリーなみのうえ」として鹿児島～那覇航路に就航。2012年の引退（後続船は表記違いの「フェリー波之上」）の後、韓国の㈱淸海鎭海運（チョンヘヂンヘウン）に売却されて「世界を超越する」という意気込みを以て「世越號」（セウォルホ）と命名される。その後過積載を目的とする数々の魔改造によって船の復原性が大幅に低下。しかし韓国船級協会の規定をクリアしていたために協会の検査もすり抜け、2013年に「韓国最大のクルーズ船」との謳い文句と共に仁川～済州航路に就航。そして運命の2014年 4月16日を迎える^[3]。

避難誘導・救助活動

海洋警察への事故の第一報は船員からではなく、乗船していた高校生の携帯から^[4]
船長はじめほとんどの船員が真っ先に逃げた
当初、乗客には船室で救援を待つようアナウンスされた
事故から3日間潜水救助せず^[5]
船体への空気注入作業において、一酸化炭素混じりの工業用汚染空気が用いられた^[6]
韓国海軍は水深90mでも救助作業可能な最新鋭の救難艦・トンヨン（통영　統営）を現場に投入できなかった。というのも音波探知機（ソナー）を初めとする装備の数々が40年余り旧式のピョンテク（평택　平澤）級救護艦レベルの代物でしかなく、進水まで済んでいるのに海軍が受領を拒絶しているからである。かくして2010年の哨戒艦チョナン（天安）沈没事件での反省により1600億ウォンもの国費が投じられた成果が活かされることはなく、事故現場に駆け付け救護を行ったのは皮肉にもトンヨンの引き合いに出されたピョンテク級の一番艦ピョンテクと、更に皮肉なことに事故を起こした海運会社と同名の潜水艦救護艦チョンヘヂンらを初めとする、旧式の救護艦たちであった^[7]

国際支援

事故発生の16日即日、日本政府は海上保安庁より韓国の海洋警察庁に救助活動の支援を打診した。しかし夕方まで待っても返答を得られず^[8]、結局韓国側から辞退の返答があった^[9]。同日、米国も哀悼と支援を申し出た。

翌17日には安倍首相自らお悔やみとお見舞いの意を表し^[10]、中国も哀悼と支援を申し出、メキシコ、中南米諸国、国連（潘基文事務総長）も哀悼の意を表明した。同日聯合ニュースはこれらを報じたが日本には触れず^[11]、読者のコメント欄には、各国が支援を申し出ているのに日本だけ何も言ってこないとする不満が連ねられた^[12]。

翌18日にはこの状況が不明者家族に漏れ、韓国海洋警察幹部が「日本の捜索支援の申し出を断ったと聞いたが本当か」と質問され、家族が待機する体育館は騒然となった。幹部は初耳であると応対し、確認して回答すると答えていた^[13]。同日夜、安倍首相は「子どもたちを早く助ける意味でも支援を受けてくれたらうれしいのに」とこぼした^[14]。翌19日、日本政府の支援申し出には領海侵入と集団的自衛権に関する政治的下心が垣間見え、韓国政府は迷惑していると報じられた^[15]。

罹災者の生存がほぼ絶望的となった22日になって、韓国政府は米中に支援を要請し、日本には当該船舶（なみのうえ）設計・建造関係者の現地への出張を求めたと報じられた^[16]（日本政府は関係者の引渡しを避け、外交ルートを通じて設計図を送った^[17]）。なお同日、100名以上の韓国与野党議員からなる「正しい歴史教育のための議員会」が、日本はセウォル号沈没事件に無関心な恥知らずの極みであるとする声明を発表している^[18]。

家族等

市街地や交通機関に異常はないが、避難所や仮設住宅が設置される
家族への支援物資が集まるが、盗難が横行^[19]
船内から救援を求めるメールがあったと家族から訴えがあったが、すべて偽りだった^[20]
無賃乗船者の都合、乗船者数の発表がコロコロ変わる^[21]
死亡者名簿の前で記念撮影しようとした政府高官が更迭^[22]
遺族が生存者を責め、口論に^[23]
遺族に責められる生存者の病院に爆破予告^[24]
遺族代表が実は遺族ではなく選挙目当ての政治家だった^[25]

対策

救助活動只中の4月18日、そもそも日帝残滓の修学旅行が悪いとして署名運動が展開され^[26]、21日には修学旅行が全面的に禁止された^[27]。

船体引揚

事故から1年以上経った2015年 8月になっても、いまだ船体は引き上げられていない。ハフィントン・ポストはその理由を考察する記事において、行方不明者がゼロにならない限り船体引揚を認めない不明者家族の談を紹介している^[28]。真珠湾のアリゾナ記念館を参考に慰霊施設を造ろうという中央日報の記事によれば、引き上げには早くても1年かかる見込みだという^[29]。引上げ企業選定にあたっては、日本の技術力不足や海図流出の懸念から日本企業は排除し^[30] 、中韓の企業連合で2016年 7月の引き上げを目指す^[31] 。