上念司「皆さんこんにちは,、「メディアの嘘を見抜け」のコーナーでございます。今日は8月31日に発表されました日本銀行の「日本の人口動態と中長期的な成長力
」という、非常にデタラメなレポートがありますので、これをネタに少し語ってみたいなぁとおもいます。
このレポートはどんなレポートかと言いますと、いわゆる「人口減少デフレ論」という奴で、「人口が減ったからデフレになった」という、ほとんど何の根拠も無い話を日銀が追認するような形となっています。元々人口減少デフレ論というのは、政策投資銀行に勤めているあるおじさんが、ほとんど経済学の基礎も知らずに書いたトンデモ本があるんですけども、そのトンデモ本の中で「どうも日本は人口が減ってるからデフレになってるらしい」というようなあまり根拠の無い話を書いたところ、結構売れてしまったですねこの本が。偶然売れてしまったために人々がこれを信じるようになってしまって、今かなりの害を日本に及ぼしているという内容でございます。日銀はこの人口デフレ論を一応サポートするために次のようなグラフを掲載しているんですね、これが根拠らしいんです。図の別表15というところにあるんですけども、こちらですね、「OECE開発援助委員会メンバーの生産年齢人口の変化率とインフレ率の関係」というのをプロットしたんですね、プロットするとこの点線のような右肩上がりのどうも関係があるらしくて、相関係数が0.61だというふうに言ってるんですね。一応相関係数は0.7以上あると強い相関があるといわれているんで、0.6本当にあれば、これはそこそこ弱い相関はあるんじゃないかって思うんですけど、この図だけまず見ていただくと、ちょっとおかしいことに気づきません?どうも日本だけずいぶん離れてますよね、他は固まってるんですけど。「あれ日本だけずいぶんはなれてませんか。この線無理やり引いてんじゃない?」という疑惑がわくんです。それでもうちょっと見てみると、下のほうにふってみてください。もう少しよく見てると、なんと注がこのように書いてあるんですよ。「このグラフの対象国はOECD開発援助委員会のメンバーから、欧州連合を除く23カ国をピックアップしました」と。どのような基準でピックアップしたか書いてないんですね。これおそらく相関係数が0.61になるように恣意的にピックアップしたのではないかという疑惑を呼んでいます。私これ実は衆議院の公聴会に呼ばれたときもこの点を指摘したんですね、「極めてデタラメなレポートで、このようなレポートを出してるという時点で日銀総裁クビにしてもいいんじゃないか」と申し上げました。
実際じゃあどうなのかということで、駒澤大学の経済学者の飯田泰明先生が実は調べたこちらがあります。これはIMFが定義する31カ国を全部そのままプロットしてみたんですね。そうするとご覧の通りほとんど相関はございません。しかもこのグラフも右肩上がりどころか若干右肩下がりになると。しかもこの線はほとんど何も説明していないということがこのRスクウェアと言う数字が異常に低いところで証明されております。実はほとんど関係ないんですね、はい。まぁ人口とデフレが関係あるように見せかけるためには、特定の国と特定の期間というのをピックアップしないとできないんです。特定の国と特定の期間をピックアップしないでランダムに与えられたデータ全てを分析すると、ほとんど相関がないということが、ほとんどと言うか全くですね、相関がないというのが分かっています。逆にインフレ率と通貨発行量をプロットするとどうなるかというと、非常に強い相関があると。0.8ぐらいの相関があると言われているんですけどね、これ明らかなんですねデータから。人口デフレ論というのはよほどテクニカルな、というより恣意的なデータのピックアップをしない限り証明するのはかなり難しいということです。
もっと単純に考えると、世界中で人口減ってる国っていっぱいあると思うんですけど、本当にデフレになってますか?っていうことで、廣宮孝信先生がブログの中でこのようなナイスな表を発表してくれております。こちらご覧いただくともう一目瞭然ですね、人口増加率がマイナスの国で、デフレになってる国はありません。たとえばじゃあグルジアなんてですね、ものすごいインフレ率で68%のインフレなんでどうやって説明するんですかと、人口は0.4%減っていますが、ものすごいインフレですよね、国債会計基準の定義で言うと、年率30%以上のインフレって言うのはこれハイパーになりますのである種のハイパー状態になっていると、日本だけが物価が微妙に減っているけれども人口減少率がマイナスということで、ほとんど、ほとんどというか人口増加というのは全然関係ないんじゃないかということがわかります。
じゃあ最後に私の評判のゆるゆるフリップをちょっとご覧入れます。たとえばね日本に不幸にして戦争が起こったとしましょう。戦前は一億の人口はいました。全部で1千兆円の試算がありました。この場合1人当たり1000万円のお金を持っていることになるんです。ところが不幸にして戦争が起こって日本の人口が半分に減ってしまったとしましょう、ものすごい人口減少ですよね。人口デフレ説が正しいならばこれデフレになんなきゃいけないんですが、これ実際には5000万人戦死して5000万人残ったとすると、亡くなった方の資産というのはまだ生きている方に相続されますので、1人当たりの資産がなんと2000万円に増えてしまうんですね。でも人口は半減して生産力は減っていますから、物不足になっちゃいますよね。人々はお金をたくさん持っているのに生産力が十分でない、つまり物不足と。物不足のときに発生するのは何かといえばこれインフレですよね普通は、デフレは起こんないですよ。このように非常に単純なモデルから考えても人口が減ったら普通はインフレが起こるわけですよ。それをさかさまに言い換えたのが人口減少デフレ説という、一つも本当のことが書いていないデタラメな説ということで切り捨てていいんじゃないかと思います。
ここで一つ気をつけなければいけないのが、割と地位学歴の高い人が人口減少デフレ説を最近ちょっと言っちゃってるんで、これ一度口に出しちゃったからには彼らは面子の上でこれを否定することができませんので、人口減少デフレ説を否定すると彼らは上から目線で馬鹿にしたりとかせせら笑っていることで、反論しないでそういう印象操作だけを行ってくると思うので、ここは裸の王様よろしく「人口が減ったら普通はインフレでしょう」と言い続けることが大事かなぁとおもいます。ぜひ皆さんの身の回りにいる人口減少デフレ説を信じているかわいそうな人には、これはこれこれこういう理由で、先ほどのグラフを出していただいてもいいんですけれども、全く関係が無いデタラメな説です、一つも本当のことが書いてないと言うことが一番いいんじゃないかなぁというふうに思います。それでは本日のコラムこれにて終了させていただきます。どうもありがとうございました。」
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