メガギラスとは、特撮映画『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』に登場する怪獣である。なお、この項目では便宜上メガヌロン・メガニューラに関しても取り扱う。
概要
2000年12月26日に公開された映画『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』にて初登場。
ディメンション・タイドの実験により、古代から雌のメガニューラが現代に迷い込んで産卵。唯一分裂せずに成長する卵から産まれた個体が最終的にメガギラスへ変貌する。劇中では究極の戦闘体と呼称され、「超翔竜」という別名もある。モンハンっぽい二つ名だが実はメガギラスの方が先。恐るべき存在だがこれでも自然界に生きる昆虫らしく、中国奥地で化石が発見されている辺り1匹だけではない事が窺える。食性については語られていないが後年の作品『怪獣惑星』で人を襲って食べている描写があるため肉食と思われる。あと昆虫とは思えない凶悪な面構え。
スペックは全長50メートル、翼長80メートル、体重1万2000トン、飛行速度マッハ4。ゴジラ怪獣の中では比較的小柄な上、元々昆虫のため怪獣らしい特殊能力の類は殆ど有していない(実際ゴジラとの戦いでは殴る・噛みつく・切り裂く等の原始的な攻撃を多用)。唯一怪獣らしい技と言える必殺技は体全体から発射する巨大な火球。威力はかなりのもので、喰らったゴジラはたまらずダウンしている。劇中の描写的にゴジラから奪ったエネルギーを使って発射したと思われていたが、どうやら自力で出せる必殺技らしい。
上下左右に自由に動ける俊敏さ、両腕のハサミ、そして尻尾の針を武器にして戦う。両翼を細かく振動させる事で超高周波が発生し、この超高周波によってグリフォンが不時着、ディメンション・タイドも故障するなどあらゆる機械に支障を引き起こす。製作陣はメガギラスとメガニューラに、人類側の作戦を引っ掻き回す役割を与えていたようで、彼らのやる事なす事全てが人類側に悪影響を与えている。意外と知能も発達しているようで建造物を使った攻撃を見せたり、ゴジラを罠にかけた時にニヤリと笑った事も。
メガギラスが誕生する理由は、群れのテリトリーを拡げるため。メガヌロン及びメガニューラの群れはメガギラスを生み出すべく、命ごと自らのエネルギーを差し出して成体へと成長させ、群れの全滅と引き換えにメガギラスが誕生。あとはその強大な戦闘能力を以って外敵や天敵を蹴散らしていくのである。劇中ではゴジラを障害と認識して排除にかかった。なおスチル画像では水没した渋谷でゴジラと対決していた。ちなみに群れは全滅するが産卵担当のメガニューラのみ例外。
モチーフになったのは古代の地球で存在していたとされる昆虫メガネウラ。全長70cmの世界最大のトンボで石炭紀の末期に出現。当時は酸素濃度が高かった事もあり他の昆虫ともども巨大化、一時は空を支配するほどの隆盛を誇ったが、環境の変化で酸素濃度が低下して絶滅に至る。他のデザイン案では昆虫らしさが前面に押されており、トンボのような複眼や触覚を持っていた。
劇中の活躍
現代に産み付けられたメガニューラの卵は分裂を繰り返し、やがて大量のメガヌロンが誕生。彼らは渋谷で人間を捕食したり、地下水脈を掘削して渋谷を水没させるなど大きな被害を与えていくが、渋谷の水底で分裂せずに一つだけ残る卵があった。その卵から孵った個体は巨大メガヌロン、後のメガギラスである。
物語中盤までは水底で横たわっているだけの巨大メガヌロンであったが、メガニューラの群れがゴジラから奪ってきたエネルギーを注入され、一気に成長。その日の晩、水中から飛翔して超翔竜メガギラスが出現。周囲の自衛隊員など気にも留めず、悠々と飛行しながら翼端でビルを切断・崩落させ、超高周波でSHIBUYA109やビル群を粉砕するなど破壊活動を繰り返した。
翌日、お台場に上陸したゴジラをテリトリーの障害と認め、手前のグリフォンを無視して襲いかかる。戦闘前にメガギラスは超高周波を発生させ、グリフォンのマシンやディメンション・タイドを故障させて人類側の作戦を妨害している。ゴジラに対しては終始高速移動で翻弄、放たれた熱線を軽々と回避し、両腕のハサミを使って猛攻を浴びせる。またゴジラが熱線を吐こうとすると尻尾の針を突き刺してエネルギーを吸い取り不発に終わらせる、倒れ込んだゴジラの顔面に瓦礫を落下させるなど昆虫ながら知能を感じさせる動作も見せている。他にもゴジラの巨体を抱えて飛行出来る辺り怪力も有しているようだ。
ゴジラの鋭利な背びれで左のハサミを切断されてしまうもメガギラスの戦意は一向に衰えず、再び腹部へ針を突き刺して熱線を封じながら残ったハサミで殴りつけ、尻尾による殴打や必殺の火球でゴジラから何度もダウンを奪うも決定打には至らず、それどころかゴジラは着々と学習してメガギラスの攻撃を巧みに防ぐようになってきた。そこでメガギラスは頭部に針を突き刺してトドメを刺そうとした。だがその針をゴジラの歯で受け止められ、噛み砕かれてしまう。今までの戦意が嘘だったかのようにメガギラスは戦意を喪失、上空へと逃げようとするも、熱線を解禁されたゴジラの怒りの熱線二連射を浴びて墜落、そのまま地上で爆死した。
『GODZILLA 怪獣惑星』にも登場。シベリア鉄道に乗った難民を襲い捕食している。またこの世界ではラドンも存在しているようで、いつの日か対決しそうである。描写からシベリアが本来の生息地ではないかと思われる。
バトルスピリッツでは
メガニューラが群れの中から1匹を選び、巨大化をさせた究極体。
(フレーバーテキストより)
コラボブースター【東宝怪獣大決戦】にて描き下ろし絵とともにバトルスピリッツ参戦(絵師はショースケ氏)。原作での設定を反映し、キーワード能力は「神速」に設定されている。種族は怪虫。
メガヌロン・メガニューラ
メガヌロンは『空の大怪獣ラドン』に登場。メガニューラのヤゴ(幼虫)にあたり、1mほどの体躯を持つ。「ヒョヒョヒョヒョヒョ」という特徴的な鳴き声が視聴者に恐怖を与えてくる。
核実験の地殻変動により眠りから目覚め、阿蘇山付近の炭鉱で繁殖しながら人間を捕食したり、麓に住む炭鉱夫の町屋を襲撃するなど残虐の限りを尽くした。言わばメガヌロンは連続殺人の犯人だったが妙に動きが早い事から特定までに時間を要している。やがて炭鉱へ乗り込んできた警官隊と交戦、拳銃や機関銃を無効化にする防御力を見せたが、落盤により一部が倒される。生き残った個体もラドンに捕食されたため成虫化していない。
『ラドン』公開から45年後の『×メガギラス』にて再登場。デザインも一新された。ディメンション・タイドの実験中に時空の穴が発生し、偶然繋がった石炭紀の世界から1匹の雌メガニューラが現代に迷い込む。これが全ての始まりだった。メガニューラが産み付けた卵を早坂少年が見つけて持ち出し、引っ越し先の渋谷まで運ばれるが、処分に困った早坂少年はあろう事か卵を下水道に捨ててしまった。やがて卵は自己分裂を起こして増殖し、そこから大量のメガヌロンが誕生、地中の水脈を掘削して渋谷を水没させる(ちなみに元凶となったメガニューラはちゃっかり石炭紀に帰っている)。
人間を主食としており、地上に姿を現したメガヌロンは様々な場所で人間を襲った。劇中では一組のカップルが犠牲となっている。羽化の時が近づいた際ビル群の壁面へ群れが引っ付いた事で自衛隊に発見され、爆破作戦が進められていたが、開始直前になって一斉に脱皮して飛翔。驚いた隊員に軽機関銃を撃たれて何匹かは絶命したが焼け石に水だった。
メガニューラはメガヌロンが脱皮・羽化したもの。主食は動物のようだ。
主に群れで行動。メガニューラの殆どは巨大メガヌロンへのエネルギー注入を担っているため、良質なエネルギー源となる動物を見つけると襲い掛かり、尻尾の先にある針を刺して吸い取る。トンボながら水中を泳ぐ事も可能なようだ。1000匹に1匹の割合で産卵を担当する個体が生まれ、先述のバトルスピリッツのテキストによると、巨大メガヌロンを選ぶ権利は産卵担当のメガニューラにあるようだ。
『×メガギラス』で登場したメガニューラは、渋谷の壁面で一斉脱皮したメガヌロンが変じたもので、水中で眠る巨大メガヌロンを成長させるためのエネルギーを求めて飛翔する。太平洋の無人島、奇岩島におびき寄せられていたゴジラを発見すると数千匹が一挙に襲い、エネルギーを貪る。ゴジラはまさにエネルギーの塊でメガニューラには絶好の餌に見えるという。当然ゴジラが黙っているはずがなく熱線や尻尾で激しく抵抗。突然のメガニューラ襲来は人類側の作戦をも狂わせ、群れの数が多くてディメンション・タイドの狙いを定める事が出来ずにいた。しかしゴジラの反撃で相当数がやられて照準を付けられるようになり、ディメンション・タイドを発射、かなりの数が巻き添えの形で消滅させられた。かろうじて生き残ったメガニューラはゴジラのいる島から飛び去り、渋谷で帰りを待つ巨大メガヌロンにエネルギーを注入するが、注入を終えると絶命。生き残った個体も全滅した。
現代に現れた群れの中に産卵を行う個体はいなかった。群れが1000匹に満たなかったのか、それとも人知れず自衛隊に駆除されてしまったのか……。あるいは生き延びて産卵しているかもしれない。
ちなみに、前述の実在した古生物メガネウラは日本ではゴキブリトンボとも言う。またメガニューラはメガネウラの綴りをラテン語読みしたものである。
余談
- 「空の大怪獣ラドン」ではラドンはメガヌロンの天敵だったため残さず食べられてしまった。しかしメガヌロンの最終戦闘形態であるメガギラスなら逆襲できるのでは?という事でラドンvsメガギラスを望む声が多い。
- メガギラスは小型ゆえにスーツアクターが入る事が出来ず、操演(天井に吊るした糸等で動かす技法)で撮影が行われた。また、スーツは上半身と下半身が分かれるようになっていて、ゴジラの顔を叩くシーンでは上半身のみ使用。スーツアクターが上半身だけ入って動かしたとか。またメガギラスの鳩尾(?)あたりにスーツアクターが顔を出せる穴が用意されていた。
- メガギラスの戦闘シーンは殆どCGで描かれている。そのせいかシーンごとに大きさが変動しており、ゴジラより全長が小さいときもあれば、明らかにゴジラより大きくなっていたりと無茶苦茶である。
- ゴジラ怪獣では珍しいスピード特化の怪獣。群体タイプを持つのも珍しい。スピードに特化しているが、ゴジラを持ち上げて飛行するだけのパワー、ゴジラにボディプレスされてもピンピンしている所を見るに、スピード一辺倒ではない事が窺える。
- キャラクターショー用に作られたメガギラスの着ぐるみがある。人が入れるように、二足歩行となっておりその姿は怪獣というより怪人。超翔竜メガギラス、四段進化!
ちなみにそのキャラクターショーではMOGERA、スペースゴジラ、メカゴジラ(二代目)、ガイガンと共演している。 - ゴジラのエネルギーを注入された事で、古代より確実に強くなったメガギラス。しかし注入できたメガニューラの数が少なかった事から本来はもっと強くなるはずだったのでは、と考える人もいる。
- 本来メガネウラは酸素濃度の高い環境でしか生きられない(巨体を維持できないため)。絶滅の原因も酸素濃度の低下によるものだった。故に濃度の薄い現代では到底生存できないのだが、メガヌロンもメガニューラもメガギラスも平然としている。怪獣だからだろうか?
- メガギラスのゲームへの出演は比較的少ないが、ゲームキューブ及びプレステ2専用ソフト「ゴジラ怪獣大乱闘」には参戦。常時飛行可能な怪獣で、つかみ技を肝とする。針を突き刺す事で、相手からエネルギーや体力を吸い取れる他、光線技をコピーする。超必殺技ではメガニューラの群れを召喚。原作では叶わなかった共闘が見られる。防御力は低めに設定され、原作で熱線2発によって葬られたからか特に熱線系を弱点とする。
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関連項目
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