タリバンとは、アフガニスタンを拠点に活動するイスラム過激派組織・勢力である。ターリバーン、タリバーンとも。
概要
もともとは「学生たち」という意味のパシュトー語の言葉である。1990年代のアフガン内戦の中でイスラム神学校の学生を中心に組織され、パキスタンの支援を得て、古都カンダハールを起点に他の多くの軍閥勢力を滅ぼした。
1996年にはアフガニスタンの首都カブールを制圧し、大統領を公開処刑したのち、「アフガニスタン・イスラム首長国」を名乗り統治を始めた(タリバン政権)。しかし、この政権を国家として承認したのはパキスタン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦のみ[1]である。
その統治の内容はイスラムを極端に解釈した過激なものだった。反対派の公開処刑が行われ、女性の就学・就労が認められず、テレビ・ラジオ・映画だけでなく、歌・踊りなども禁止された。このような著しく人権を侵害した政治に加え、アルカイダのウサマ・ビンラディンが拠点をアフガニスタンに構えるようになると、ビンラディンの引き渡し要求を拒否するなど、欧米諸国との対立路線がさらに強まった。
1998~2001年には貴重な歴史遺産であるバーミヤンの石仏を「偶像崇拝の対象となる」として破壊し、他のイスラム教国を含めた国際社会から非難された。タリバン政権を承認していたサウジアラビアもビンラディンの保護に反発し、外交関係を断った。
同年の9.11テロの後も、ビンラディンの引き渡し要求を拒否し続けていたため、アメリカは反タリバン勢力の「北部同盟」を支援してアフガニスタンを攻撃し、首都カブールからタリバンを追い出した。その後、新政権が発足し民主化が進行するとともに、タリバンの勢力はアフガニスタンやパキスタンのごく一部の地域を拠点とするのみとなった。
しかし、その後の2000年代後半~2010年代に、少しずつタリバンがアフガニスタン国内で再び勢力を伸ばしていた。2021年にアフガニスタンから米軍・NATO軍などが撤退を始めるとさらにタリバンの進出が加速し、8月には再び首都カブールを制圧し、アフガニスタンの政権を実質的に掌握した。8月時点では情勢は混沌としており、今後の様子は見通せない。
アルカイダとの関係が現在でも指摘されているが、ISIL(イスラム国)とは対立関係にあるとされる。
関連動画
関連リンク
- 公安調査庁「タリバン」(国際テロリズム要覧)
- Zabihullah (..ذبـــــیح الله م ) (@Zabehulah_M33) / Twitter (公式スポークスマンのTwitterアカウント)
関連項目
脚注
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