ファロス(Pharos)とは、1920年生まれのイギリス生産・調教の競走馬・種牡馬である。
概要を読むのが面倒だったらネアルコの父ってことを把握すればおk。
概要
父Phalaris、母Scapa Flow、母父Chaucerという血統。
父ファラリスは主にスプリント戦で活躍しマイル戦でダービー・オークス優勝のフィフィネラを破ったこともあった快速馬。
母スカパフローは小柄で競走馬としての能力を危ぶまれたが、14戦3勝で12ハロンのステークスを勝利している。
母父チョーサーは35戦8勝と並の競走馬だったが種牡馬としては成功し、またブルードメアサイアーとして優秀な成績を残した。
上記3頭は全てファロスを生産所有した第17代ダービー伯爵の持ち馬である。
ファロスはファラリスの初年度産駒、スカパフローの2番仔として生まれた。名前は父ファラリス(古代シチリアの君主名)と母スカパフロー(海軍の拠点港の名)から連想しアレクサンドリアの大灯台が建造されていたファロス島から名付けられた。
ファロスは中型のバランスの取れた馬として育ち、健康で且つ機敏で気性もよく訓致に関わる人達に好かれていたという。
2歳時(1922年)
2歳時の4月にデビューすると3連勝を飾り、7月のチェスターフィールドSでは2着に敗れたがマージーS、ラムトンSと連勝し、8月には現在でも行われている2歳と古馬の混合のスプリント戦ナンソープSに出走したがここでは5頭立ての最下位に終わった。10月のホートンSで2着のあと6ハロンのハーストパークグレート2歳Sに優勝しシーズンを終えた。この時点で9戦6勝2着2回とタフで且つ安定した成績を残したが、勝利した全てが6ハロン以下のスプリント戦だったためクラシックの候補とは見なされていなかった。
3歳時(1923年)
3歳時は(今となっては何故かわからないが)2000ギニーに登録していなかったため4月の8ハロンで行われるポンテフラクトSに出走したが3着に敗れた。しかし調教師のラムトン師はファロスの成長に気づき、ダービー出走のために準備を始め、ファロスは10ハロンのヘイスティングスSとマーチSに出走し勝利した。
本番のダービーでは直線で一度は抜け出すも、驚異的な末脚を発揮したパパイラスに差され2着に敗れた。
その後はロイヤルS1着のあと13ハロンのプリンスオブウェールズSに臨んだが3着に敗れた。その後は4か月の休養を与えられ、10月のセレクトSで復帰したが2着、続くケンブリッジシャーHでは4着、リヴァプールオータムカップでは3着に敗れた。
4歳時(1924年)
この年の初戦はシティ&サバーバンHだったが着外に敗れた。続くグレートジュビリーHとラウス記念Sでも着外に敗れた。
ダービー伯爵の本拠地ノーズリーの近くのリヴァプールで行われたリヴァプールサマーカップでは6馬身の快勝をし復活を遂げた。続くノースシーSとデュークオブヨークHを連勝し、10月のチャンピオンSで前年の凱旋門賞やこの年のグレートジュビリーH優勝のパースとの対戦に望んだ。このレースではパースに1馬身1/2差で勝利し、4連勝で古馬最強の称号を手にした。
5歳時(1925年)
この年もディフェンディングチャンピオンとして現役を続けたが前年の後半のような勢いはなく、マーチS3着、リヴァプールサマーC3着、スプリント戦のナンソープS3着、デュークオブヨークH1着、チャンピオンS2着の5戦1勝でシーズンを終え、引退することとなった。
通算30戦14勝で2歳から5歳まで怪我がなく走りぬいたことも勲章の1つといえよう。
種牡馬として
ファロスは最初はニューマーケットで供用されたが、全弟のフェアウェイがファロスより優秀な競走成績を残し馬体も立派だったこともあって種牡馬入りすると、1929年にはフェアウェイや父ファラリスとの棲み分けのためにフランスに移された。
1931年には産駒キャメロニアンが2000ギニーとダービーの2冠を達成し、1939年にはファリスがパリ大賞典で勝利しフランスのチャンピオンとして称えられたが、ファロスの最も優秀な産駒はネアルコであった。
ネアルコについてはこの記事を読んでいる方には説明不要レベルかもしれないが、一応説明すると、イタリアのフェデリコ・テシオ氏によって生産・所有され14戦無敗、フランスのパリ大賞典にも優勝した名馬で、種牡馬としても大成功した。なおテシオ氏はネアルコの母となった牝馬に本当はフェアウェイを付けたかったがダービー伯爵に断られたため、仕方なく全兄のファロスを付けたらしい。
ファロスはイギリス・アイルランド・フランス・イタリアと4か国のダービー馬を出し、1937年に死亡した。
血統表
Phalaris 1913 黒鹿毛 |
Polymelus 1902 鹿毛 |
Cyllene | Bona Vista |
Arcadia | |||
Maid Marian | Hampton | ||
Quiver | |||
Bromus 1905 鹿毛 |
Sainfoin | Springfield | |
Sanda | |||
Cheery | St. Simon | ||
Sunrise | |||
Scapa Flow 1914 栗毛 FNo.13-e |
Chaucer 1900 黒鹿毛 |
St. Simon | Galopin |
St. Angela | |||
Canterbury Pilgrim | Tristan | ||
Pilgrimage | |||
Anchora 1905 栗毛 |
Love Wisely | Wisdom | |
Lovelorn | |||
Eryholme | Hazlehatch | ||
Ayrsmoss |
クロス:St. Simon 3×4(18.75%)、Springfield 4×5(9.38%)、Hermit 5×5(6.25%)
- 母スカパフローはファロスのほかにフェアウェイ(ファロスの全弟、エクリプスS、セントレジャーS、チャンピオンSなど)、フェアアイル(ファロスの全妹、1000ギニー)を出した。
- ファロスとフェアウェイは全兄弟でも評価はかなり違い、ファロスは中型で丈夫でバネがあり、胴が詰まったマイラー型だったのに対し、フェアウェイは雄大な馬体で力強い走りをする長距離型だといわれている。
- 2代母のアンコラは2歳から7歳までに51戦7勝とタフな走りをした馬で、血統的にはほとんど見るべき点はなかったが、ダービー伯爵が繁殖牝馬として1300ギニーという高額で購入している。
- 第17代ダービー伯爵は配合に関して3×4(18.75%)のインブリードを多く用いたとされているが、ファロスも例外ではなくセントサイモンの3×4のインブリードが用いられている。
関連動画
なんとYouTubeには1923年のダービーの記録が残っていた。
https://www.youtube.com/watch?v=s-qnFvgJMFY
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