乙武洋匡とは、「動く不謹慎」の異名を取るスポーツライター、エッセイスト、教師である。
来歴
「先天性四肢切断」という、生まれつき両手両足が存在しない重度の障害を持って生まれ、普段は電動式の車椅子に乗って生活している。よく勘違いされるが、腕や脚が全くないわけではない(ごくごく短い、本人曰く「手羽先みたいな」腕と脚がちゃんとあり、自分で歩いたりタイピングしたりすることもできる)。
早稲田大学在籍中にまちづくりサークルでの活動がテレビに取り上げられたのをきっかけに、1998年にその半生を描いた自伝「五体不満足」を出版。日本出版史上歴代3位という空前の大ベストセラーを記録し、一躍有名になった。
大学卒業後はスポーツライターとして取材活動を行なうとともに、新宿区の非常勤職員を務めたり、教員免許を取得して小学校の教師を務めたりと、様々な分野で精力的に活動している。
2001年に結婚。現在は父親でもある。
その思想
「障害は自分の特長の一つ」「不便ではあるが、不幸ではない」という考えを持っており、必要以上に障害者に気を遣ったり、障害をマイナスと捉えたりせず、健常者と障害者が全く同じように接することができる「心のバリアフリー」を説く。
その名を一気に有名にした「五体不満足」からして、「ダルマ状態の兄ちゃんが車椅子の上でニコニコと満面の笑みを浮かべている」という、障害者ネタにありがちな「可哀想だけど必死に頑張る社会的弱者」のイメージからはかけ離れた表紙であった。
しかし、読者にその真意が伝わることは少なく、世間からは障害者の可哀想なお兄さんという視線を受け続けた。
五体不満足という本はそもそも前述のような意図で執筆されたものであり、多くの読者の悲観的な受け取り方を目の当たりにして、本人は少々辛い思いをしたと本音を吐露したことも。
あげくスポーツライター時代も同業者の一部からは、「障害者だからたいしたものが書けなくてもちやほやされる」 という冷たい目で見られたり、そういう酷な態度を取られたこともある………。 世間というのは一見優しいように見えて残酷である。
「障害は特長(特徴ではなく特長)」という考え方から、自身のブログやツイッターでは、周囲が真っ青になるレベルのブラックな障害ネタジョークを次々と飛ばす。
容姿と知名度から、2chでは後述する「Z武」をはじめ、不謹慎極まりないネタや中傷が創設当初から多く書き込まれていたが、それらの中傷も「慢心しそうになる自分に対する薬」と許容し、ネタの類に対しては「DAIGOさんとコラボする奴がお気に入り」と自ら積極的に介入する始末。(気になる人は「乙武洋匡 DAIGO」でぐぐってみよう! 多分笑っていいのか本気で悩むぞ!)
絶望してもおかしくない重度の障害を抱えながら、それを100%ポジティブにとらえて笑い飛ばす姿勢と生き方は、多くの人々から「真の強者」「乙武さんにだけは勝てる気がしない」と尊敬を集めている。
Z武
ヽ(´ー`)ノ
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◎ ̄ ̄◎ ころころ~
2ちゃんねるの黎明期から存在した、乙武さんをモチーフにしたAAキャラ。
あくまでも「乙武さんとは関係ないオリジナルキャラ」という体であり、読み方は「ズィーブ」である。
「なのさ~」という語尾が特徴。
大抵の場合は電車に引かれたり、やたら嫌らしいセリフを吐いたりと、まだまだアングラ感があった当時の2chらしい碌でもない扱いを受けるキャラだった。
現在は本人公認となってしまった上に、本物の方が遥かに不謹慎であるためか、あまり見かけないAAである。
銀座イタリアンレストラン事件
2013年5月、銀座のイタリアンレストラン「TRATTORIA GANZO」にて、入店拒否される事案があった。乙武氏は予約した時、レストラン側に車いすユーザーであることを事前に連絡しなかった。ところが、レストランのある2階にはエレベーターが止らないため「(車いすであることは)事前に言っておくのが常識」と言われ、入店拒否されてしまった。これに関して乙武氏はTwitterで投稿をし、イタリアンレストランが炎上してしまった。
2017年6月、乙武氏は木島英登さんに関する記事で、銀行イタリアンレストラン事件について謝罪した。
(togetterまとめより)
それを「クレーマー」だの「プロ障害者」だと批判するのは、木島さんに「おまえは理不尽な門前払いに泣き寝入りをすべきだった」と言っているに等しい。特に改善する必要性を感じていない健常者にとってはあまり理解してもらえない感覚かもしれないが、障害者にとってはまだまだ理不尽だと感じられるこの社会環境を変えていくには、あえて波風を立てていく場面が必要にもなってくる。
(HuffPostJapan、バニラ・エアが燃えている。しかし、木島さんも燃えている。より)
関連動画
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関連項目
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