人形の傷跡とは、Child-Dreamが1998年にRPGツクール95にて制作されたゲームである。RPGツクールで作られてはいるが、戦闘イベントなどはなく、実質的にはノベルゲームにあたる。
公式Webサイトから、あるいはVectorからダウンロードできる。なお、以上のものはWindows版であり、Macintosh版はMac版からダウンロードできる。
また、スマートフォン版アプリとしても配信されており、Android版とiPhone版がダウンロードできる。
概要
心配になった妹の上条明日美は、姉の安否を確かめるべく、単身、上京する。
しかし、姉の所属していた研究室、姉の住んでいたはずのアパートには、姉のいた一切の痕跡が無くなっていた。途方に暮れる明日美。
一体、姉の身に何が起こったのか・・。
進行につれて物語の核心が徐々に明らかにされるミステリー要素と、猟奇的な事件が次々に起きるホラー要素、殺人や事件への不安や恐怖を描くサスペンス要素をあわせ持つ作品。
クローンと倫理の問題、科学のあり方などに問題提起をしている。また、霊魂という問題についても扱っている。
登場人物
上条明日美
主人公。父と姉の三人家族に育った。 何ヶ月も連絡のつかない姉を探しに、単身東京に行く。姉については、幼い頃のテレビの記憶とクリスマスの記憶が残っている。
上条明日美という人間は二人存在する。主人公の明日美は、二人目の明日美である。
一人目の上条明日美
とある天才科学者の遺伝子を元に、神子塚武寛の妻・民子を代理母として生まれた人間。科学者のクローンである。その科学者が神子塚とは血が繋がっていないが、彼によって育てられたので、自分が彼を父と思っている。
あるとき、神子塚研究室の地下に行き、研究室で行われていた実験の真実を知る。その様子を父・神子塚に目撃されてしまうが、彼女は研究を肯定し、自分が地下室で研究で行うと約束した。
研究を行う裏で「5th Report」と呼ばれる論文を執筆し、研究室における非人道的な実験を告発し、父を裁いてもらおうとするが、阿相の手の者に殺されてしまった。
後に真一の証言から、彼女が人間の霊魂の研究をしていたことが明らかになる。
なお、佳織の死後に二人目の明日美を叱咤激励する声が聞こえたり、神子塚があらぬ方向を見て話している場面があるが、これと霊魂の研究を踏まえて考えると、恐らく死後も霊魂となり、二人目の明日美を見守っていたのだと思われる。
二人目の上条明日美
前述した「主人公」の上条明日美。灰原助教授により作り出された、一人目の明日美のクローン。一人目の明日美がクローンであるので、つまり「クローンのクローン」である。
失踪した姉を追ううちに、神子塚研究室の実態、一人目の上条明日美のことを知る。自分がクローンであり、姉が架空の存在であったことに思い悩む場面もあったが、研究室を告発しなくてはならないという使命感に則り、行動する。(ネタバレここまで)
姉
上条明日美の姉。明日美より三歳年上。3年前に、帝都工業大学大学院の神子塚研究室に入った。現在は博士課程1年生(D1)。
作中では詳しく描写されていないが、3年前に院試を受験して、修士1年生として研究室に入ったと思われる。
クリスマスイヴの夜にクマのぬいぐるみを明日美にプレゼントしてくれた。
(以下、ネタバレ)
灰原助教授と佳織によって、二人目の明日美の記憶に植えつけられた架空の存在。明日美が思い出すテレビやクリスマスの記憶もすべて架空の話。クマのぬいぐるみは、佳織が明日美にプレゼントしたもの。
ただし、二人目の明日美にとっては心の支えとなる記憶であり、彼女は記憶を与えてくれた佳織に感謝している。
なお、事件後に、一人目の上条明日美の霊魂に守られていたことが明らかになる。(ネタバレここまで)
女
明日美の夢に出てくる女性。少し太っている。明日美にとって大切な人らしいが……。
(以下、ネタバレ)
その正体は、明日美をはじめとするクローンたちの代理母・上条民子。神子塚武寛の妻でもあるが、彼の実験に協力して代理母となり、度重なる出産の末に、一人目の明日美を産んだ後、死亡した。研究室の地下室にミイラとして安置されている。少し太っているのは妊娠しているため。
妊娠した状態で死亡していたので、明日美を産んだ後も、誰かのクローンを出産する予定であったのかもしれない。(ネタバレここまで)
椎名信昭
(以下、ネタバレ)
一人目の明日美が神子塚研究室を告発しようとしていることを事前に察知していた一人。明日美の写真の入ったロケットを持っている。自殺したが、恐らく口封じのために殺されたと思われる。(ネタバレここまで)
柿崎福太郎
博士課程2年生(D2)。明日美の姿を見てなぜか驚愕するが……。
(以下、ネタバレ)
一人目の明日美が神子塚研究室を告発しようとしていることを事前に察知していた一人。二人目の明日美に会った翌日、地下鉄で事故死したが、恐らく口封じのために殺されたものと思われる。(ネタバレここまで)
一ノ瀬晃
博士課程1年生(D1)。2年前に定員の空きが出たので、M1の冬に神子塚研究室に入った。
(以下、ネタバレ)
一人目の明日美が亡くなった後に研究室に入ってきたため、彼女については知らない。地下室に興味があり、地下室に行くためにIDカードが必要であることを教えたりと、二人目の明日美に対し協力的だが、地下室で船橋のクローンに殺された。(ネタバレここまで)
林谷佳織
修士課程2年生(M2)。脳の記憶の代替になるチップを開発している。明日美は彼女に見覚えがあるそうだが……。
(以下、ネタバレ)
元々孤児であったが、科学を心の支えにし、帝京工業大学システム工学科に推薦入学した。
自らの研究を元に、クローンたちの脳にチップをつけたり、水越・船橋らクローンの殺害をしている。二人目の明日美をかばうために犠牲になった。
二人目の明日美を不憫に思って、クマのぬいぐるみと架空の姉の記憶を与えたり、手紙を遺したりと、二人目の明日を本当の妹のように扱っていた部分もある。(ネタバレここまで)
船橋恭彦
(以下、ネタバレ)
民子を代理母として作られたクローンの一人。地下室で佳織に銃殺されるが、別のクローン個体が複数人生き残っていた。事件後は解放され、それぞれの人生を歩むことになった。(ネタバレここまで)
弓野誠一
(以下、ネタバレ)
阿相の足止めをし、明日美を助けた。事件後に、阿相の長男であることが発覚した。父・阿相とは苗字が異なるが、詳細は不明。(ネタバレここまで)
田名部治義
助手。1年前から働き始めた。
(以下、ネタバレ)
一人目の明日美が亡くなった後に研究室に来た。学生の研究についてもほとんど知らないので、一人目の明日美については全く知らないものと思われる。後に死体として発見された。(ネタバレここまで)
水越麻衣子
(以下、ネタバレ)
民子を代理母として作られたクローンの一人。二人目の明日美を殺そうとしていたところを、佳織によって銃殺されるが、別のクローン個体が複数人生き残っていた。事件後は解放され、それぞれの人生を歩むことになった。(ネタバレここまで)
兼松進
(以下、ネタバレ)
20年前に代理母・民子から生まれたクローンの一人。研究所に貼られたメンバー表では「進」になっているが、本名は真一。
特殊な受精卵から生まれたため、ウェルナー症候群にかかっており、20歳なのに老齢の外見となっている。
一人目の明日美が神子塚を告発しようとしていたことを知っており、それが原因で彼女が亡くなったことについて、自分に責任があると後悔している。当初は人生について自暴自棄になっていたが、二人目の明日美の熱意に打たれ、事件の解決に協力する。(ネタバレここまで)
(ネタバレここまで)
神子塚武寛
(以下、ネタバレ)
「総合人間構築学」と呼ばれる研究を行っており、身寄りのない孤児の中でも優秀な子供たちを集め、研究者として育てていた。その一方で彼らのクローンを作成し、その研究成果を世界中の研究機関などに送っていた。
しかし、自分が作り出した一人目の上条明日美に自分の研究成果を否定され、絶望した。彼女が亡くなってから、初めて生命の尊さを学ぶ。最後には自らの罪を贖うため、阿相の告発文を残し、研究所を爆破した。その後の生死は不明だが、恐らく亡くなったものと思われる。
灰原憲次
(以下、ネタバレ)
神子塚の秘密を暴き、彼を失脚させるため、明日美のクローン(二人目の明日美)を作りだした。だが、志半ばで阿相の手の者たちに殺された。(ネタバレここまで)
阿相要蔵
(以下、ネタバレ)
元文部大臣。神子塚研究室に資金を提供し、クローン実験を行わせていた黒幕。携帯電話の電波によって、クローンたちを意のままに動かすことができる。事件後に弓野が彼の息子であることが明らかになる。(ネタバレここまで)
関連動画
関連項目
- RPGツクール95
- フリーゲーム
- Child-Dream
- Lost Memory
- Creatures~生きとし生ける者たちに
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