比嘉大吾とは、日本のプロボクサー。元WBC世界フライ級王者。
概要
沖縄県浦添市出身、生年月日は1995年8月9日、身長161.0cm、リーチ163.0cm。
小学校・中学校時代に野球少年だった比嘉がボクシングをはじめるきっかけとなったのは、
現在所属しているジムの会長であり、地元沖縄の英雄でもある具志堅用高の存在。
2011年2月11日に、井岡一翔 VS オーレイドン・シスサマーチャイのWBC世界ミニマム級タイトルマッチが
テレビで放送されたのだが、試合が早く終わり時間があまったため、テレビ局は過去の名場面を放送することに。
そこで比嘉は、具志堅用高の現役時代の雄姿を目にし、ボクシングをやることを決意したのである。
高校は、父親の転勤にともない、元日本ランカーの知念健次がボクシング部の指導をしていた宮古工業高校に進学。
高校時代の戦績は45戦36勝(8KO)8敗で、目立った成績は高校3年生の国体で少年の部フライ級でベスト8と、
アマチュアでは飛びぬけた実績を残したわけではない。
高校卒業後はオリンピックを目指して大学に進学するつもりだったが、知念監督から比嘉の存在が
具志堅用高に伝わり、比嘉のパンチ力にほれこんだ具志堅からプロへの誘いを受ける。
その誘いを受け入れ、白井・具志堅ジムに入門すると、2014年6月17日に後楽園ホールでプロデビュー。
タイのセーンゲン・サックナロンを相手に初回50秒KO勝ちし、デビュー戦を白星で飾った。
その後は、その驚異的なパンチ力と踏み込みの速さを武器に連勝街道を突っ走り、
2015年7月24日にWBC世界フライ級ユース王座を、2016年7月2日にOPBF東洋太平洋フライ級王座を獲得。
2017年3月12日にはWBC世界フライ級1位となり、2017年5月20日に有明コロシアムで初の世界戦を迎える。
そのときのチャンピオンであったフアン・エルナンデスが前日計量で体重オーバーし王座をはく奪、
比嘉が勝てば新王者、エルナンデスが勝つか引き分けなら王座は空位という条件の試合で、
6回2分58秒TKO勝ちを収め見事王座を獲得。
沖縄出身のボクサーとしては、元WBA世界ジュニアウェルター級王者の平仲明信以来25年ぶり、
史上9人目の世界王者となった。
世界チャンピオンとなった後もその剛腕は猛威をふるい、2017年10月22日にはWBC世界フライ級5位の
トマ・マソンを7回1分10秒TKOで仕留め、ベルトを獲るよりも難しいと言われる初防衛に成功。
試合後には、「自分は大みそかでもやりたい。井岡さんから良い返事を待っている」とコメントし、
当時WBA世界フライ級チャンピオンであった井岡一翔との統一戦を熱望するも、これは残念ながら実現せず。
大晦日に井岡が突然の引退を発表したことで、幻のカードとなってしまった。
2018年2月4日には、地元沖縄での防衛戦が実現。
沖縄で世界戦が開催されるのは、具志堅用高の試合以来37年ぶりのことで、当時具志堅は14度目の防衛に
失敗しており、そのこともあって、比嘉が沖縄で世界戦をやるのは、会長である具志堅の悲願でもあったのだ。
地元出身王者の凱旋試合とあって、満員になった沖縄県立武道館で、元世界2階級制覇王者で
WBC世界フライ級9位のモイセス・フェンテス相手に初回2分32秒KO勝ちをおさめ二度目の防衛を飾るとともに、
元WBC世界スーパーライト級王者の浜田剛史がもっていた15戦連続KO勝ちの日本記録に並ぶ快挙を成し遂げた。
圧倒的な強さに加え、その豪快なファイトスタイルから、近い将来のアメリカ進出もうわさされるなか、
比嘉に試練が襲う。
二度目の防衛戦からわずか2カ月後の4月15日に組まれた、横浜アリーナでのWBC世界フライ級2位の
クリストファー・ジョーダン・ロサーレス・ゴンサレスとの防衛線の前日計量で、
900gのウエイトオーバーにより王座をはく奪されることとなったのだ。
日本人の世界チャンピオンがウエイトオーバーで王座はく奪となったのは、これがはじめてである。
相手陣営がOKを出したことで、試合は開催されることとなったのだが、過酷な減量の影響もあってか、
比嘉のボクシングは精彩を欠いたもので、9回1分14秒にセコンドが試合棄権を申し入れKO負けに。
比嘉にとってはプロ16戦目での初黒星となり、さらに16戦連続KO勝ちという日本新記録も幻となった。
試合後は、減量失敗により王座はく奪となった件について、賛否両論さまざまな意見がとびかった。
ボクシングは階級制のスポーツであり、試合までにきちんとリミットにあわせるのは、プロとしての最低条件。
トッププロともなると、体重が2、3kg違うだけで、パンチの重さがまるで違ってくるのである。
近年のボクシング界では、こうした効果をねらって、わざと体重オーバーし、試合を有利に進めようとする
ボクサーが目立つ。
比嘉の試合の一カ月ほど前に開催されたWBC世界バンタム級タイトルマッチでは、山中慎介の相手、
ルイス・ネリが、前日計量でリミットを2.3kgもオーバーし、王座はく奪となった記憶が新しいだけに、
比嘉に対しても非難の声が相次いだ。
しかし、比嘉は以前から、フライ級はもう限界とたびたび訴えており、実際、最近の試合では胸囲が98cmを
計測するほど、体も大きくなっていた。
これはWBA世界ミドル級チャンピオンの村田諒太の胸囲とほとんど変わらない数値であり、
フライ級のリミットが50.8Kg、ミドル級のリミットが72.5kgということを考えると、
ちょっと目を疑うほどの異常な数値である。
そうしたことからも、わずか2カ月の準備期間しか設けず、フライ級での防衛戦を組んだ陣営にも非があることは
あきらかである。
4月25日、日本ボクシングコミッション(JBC)は比嘉に対し、「ライセンス無期限停止処分」を下した。
これは、計量失格についての処分では、前例にない重い処分である。
ただし、定期的なコンディション管理報告、健康状態報告を受けて解除時期を検討するともしており、
比嘉の体調を考えての措置という面も大きいようだ。
まだ若く、才能豊かなボクサーであるので、心身ともにしっかりと休息をとってからの復帰が望ましい。
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