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株式会社エーディーケイ(ADK)とは、かつて存在したゲーム会社である。
概要
1980年、アルファ電子として設立。
代表取締役の新井一夫社長が埼玉県浦和市で創業したが、その後業績を伸ばすと埼玉県上尾市愛宕3丁目に本社ビル(アルファビル)を構えて事業を展開していた。とはいえこのビルはそれほど大きなビルではなかったため、従業員の増加に伴い同町内のレーベンビル4F~6Fを賃借して、ここも開発拠点としていた。
なおアルファビルについては旧SNKの一部の本社ビル同様、現在でも建物自体は残っており、別の賃貸が入居している。
1981年に「ジャンピュータ」と呼ばれるアーケードゲームを開発した。実はこれ、史上初となる本格的なコンピューター麻雀ゲームであり、テレビゲームに「麻雀」というジャンルを確立した歴史的な作品である。ちなみに1982年には、これまた業界初となる将棋ゲームを開発している。これらのテーブルゲームで成功を収めたあと、セガやSNK向けにアーケードゲームを開発し、徐々に業務規模を拡大していく。
そして1990年、アルファ電子はあるアーケードシステムを開発する。これこそが後にロングヒットを記録する、「ネオジオ・マルチビデオシステム(MVS)」であった。NEOGEOは、ハードウェアこそSNKが開発していたものの、その中身である基盤の回路設計はADKが担当していたのだ(ちなみに、基盤の開発にはメガドライブを参考にしたらしい)。NEOGEOがもたらした功績については、わざわざ説明するまでも無いだろう。
1993年、社名をADKに変更。当時を知る人の中には、ADKとSNKを混同して考えていた人が結構いたと思われる。確かに、両者の社名は響きが似ていたし、ADKはNEOGEO参入の際にSNKと締結した契約上、NEOGEO以外のハード向けのゲーム開発を禁じられていた(NEOGEOからの移植作は除く)ため、その様に勘違いされても仕方なかったかもしれない。
また発表した代表作の知名度で言えばADKと名乗っていた頃の物が多いが、実際は社名を変更する以前の方が企業としての業績活動が長い為、古くから知るファンや、当時を知る地元上尾市の住民からは未だに「ADKではピンとこないがアルファ電子ならよく知っている」と語る人が多いのだとか。
MVS/NEOGEOに参入した後はSNKのサードパーティーの代表格として多数の作品を発表し、当時の格闘ゲームブームの流れに乗り、多数のアーケードゲームを発表。特に『ワールドヒーローズ』などはシリーズ化され、ゲーム雑誌の表紙を飾るなどメディアミックス展開も多く行われていた。また『ADKワールド』などのNEOGEOCD専用の作品も数作発売している。
また当時の社員によればハイパーネオジオ64向け作品の開発にも社長は当時乗り気だったようだが、SNKに近しい会社であるADKの社員から見ても、その基板の欠点は明らかであったようで「諦めて貰う為にあえて作った」と称した3Dサンプルが存在している。
最後に発売したNEOGEO用ゲームは『ティンクルスタースプライツ』。この作品もゲーメストでコミカライズが行われるなど一定の知名度と人気を得ていた。
だが1997年、事件は起きた。ADKが「未来ソフト」というブランドで、他機種であるプレイステーション向け新作ソフトを発売していた事がバレてしまったのだ。この事がきっかけとなりSNKとの関係が悪化、徐々にSNKからの仕事が無くなり、業績は下がる一方であった。
末期のゲーム事業はネオジオポケット向け作品の開発にほぼ一本化され、その他にもSNK以外のプリクラ開発業務の下請け、更に1999年頃には携帯電話コンテンツや、自社発売のデジタル万歩計シリーズ、KONAMIから発売した『ダンジョンクエスト』というデジモン携帯育成ゲーム等をリリースし、再建を図るも、力及ばず2003年に倒産してしまった(まあ主要取引先のSNKもその前に倒・・・ゲフンゲフン)。
現在、ADK作品の版権は新SNK(旧:SNKプレイモア)が所有しており、人気作の続編や移植作がリリースされている。しかしそれ以前のアルファ電子時代のアーケードゲームは権利関係が不明になっており、移植が困難な状況であるとされている。
ムダ知識
- 意外な話だが、『ワールドヒーローズ』や『痛快GANGAN行進曲』のイラストを描いていたさいとうつかさ氏は、デザイナーではなく広報担当だった。ゲーメストでは『ティンクルスタースプライツ』のコミカライズも連載していた。同氏は現在アダルトゲームの絵師として活動している。
- ネオジオポケットの限定商品である阪神タイガースバージョンは、当時ネオポケ用作品を多数手がけていたADK側が企画したものだという。
- ADKの社員の一部は後にSNKプレイモア(現SNK)に合流した。その為同社の作品『どきどき魔女神判2』では、ニンジャコンバットネタがしばしば登場する。これは『どきどき魔女神判』のプロデューサーである松下氏とイラストレーターの藤ノ宮深森氏が、ADKで『ティンクルスタースプライツ』の製作に携わっていた為である。
関連動画
「ADK=忍者」というくらい、ADKのNEOGEO作品には忍者が登場するゲームが多い。
関連商品
関連項目
関連タイトル(ネオジオ) |
関連タイトル(格闘ゲーム)関連タイトル(その他) |
関連リンク
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