時代が求めた16ビット |
「メガドライブ」とは、1988年10月29日にセガから発売された家庭用ゲーム機である。
概要
前世代機であるセガマークIIIにはアーケードから多くのタイトルが移植されたが、性能不足は明らかであった。
そのため次世代機が企画されたが、検討の結果SYSTEM16基板をベースに次世代機が設計されることとなった。
メインプロセッサにMC68000、サウンド(FM音源)制御プロセッサにZ80Aが搭載され、SYSTEM16(獣王記、ゴールデンアックスなど)のゲームをそのまま移植出来る性能を持った新ハードがここに誕生した。
16ビットゲーム機として任天堂のスーパーファミコンより2年先行して発売した。当時アーケード基板や高級パソコンで採用されていたMC68000を家庭用ゲーム機として初めて搭載し、プロセッサ性能としてはスーパーファミコンを大幅に上回っていた。このことからシューティングや横スクロールアクションゲームがラインナップに多い。
セガ史上最も成功した家庭用ゲーム機
出荷台数は全世界3074万台(日本358万台)。16ビット機(SFC・MDでほぼ寡占)のシェアは日本国内では約20%とこれでも前世代より大きく伸ばしたが、全世界トータルとしてみると40%弱(メガドライブ・SNESが激戦の日本以外だと45%とほぼ互角・SNESを打ち負かした地域も)と、歴代セガハードの中では抜きんでている。日本ではRPGがダントツ人気のジャンルでメガドライブはRPGをそろえられず苦戦したが、海外特に北米ではスポーツゲームがダントツ人気であり、SNESとのマルチタイトルだとSNES版より売れる傾向があった。
代表作は何と言ってもソニック・ザ・ヘッジホッグ。このスピード感はスーパーファミコンでは再現が難しい。
日本での苦戦
日本の苦戦要因としてはRPGもそうだが、同じく高速CPUを搭載しアクション、シューティングに強かったPCエンジンというライバルハードの存在も大きかった。PCEはファミコンの開発ノウハウがほぼそのまま使えたため、当時のプログラマにとってはMDよりもはるかに開発がしやすかった。
またセガがアーケードゲーム大手だったこともあり、競合他社が参入に消極的だったという事実もあげられよう。PCE最初期に参入して普及を後押ししたナムコは後にMDにも参入したが、二年以上も遅れた上に代表作がひとつも移植されなかった。
さらに自社内でもアーケード部門とコンシューマ部門との不仲が囁かれており、自社作品の移植に積極的でないどころか他社ハード向け移植作品が何本も出続ける始末であった。
これらの要因が、前期のソフト不足に繋がっていった。
晩節を汚し、大成功した海外市場を失う……
末期にはメガCDやスーパー32Xといったメガドライブの拡張システム(3つもACアダプターが必要、メガタワーと比喩された)も発売したが、高価すぎてあまり受け入れられなかった。特にスーパー32Xは、次世代機だったセガサターンの発売と重なる。結果セガサターンは日本国内ではセガ史上もっとも親しまれた家庭用ゲーム機だったものの、海外の販売台数は、セガ歴代ハードの中で最も普及したメガドライブの1割程度の約300万台と大ブレーキ。シェアをプレイステーションにそのまま奪われる結果になってしまった。
しかし、未だにメガドラが現役の国があった
ただし、南米のブラジルでは、2012年に入ってもほかの次世代機を差し置いて、1990年代後半から現役の家庭用ゲーム機である(最新機種はセガからライセンスを受けた、ブラジルのゲームメーカーが製造販売を行っている。1990年代後半まで当国では現役であったマスターシステムも同様)。どうやらそのからくりには、自国産業保護のため他国製の製品に莫大な関税がかけられるから、高価となり普及しにくい(例としてPlaystation3のブラジルの販売価格は日本円換算で10万円前後と日本や北米の4倍位)。なので、ブラジル製となったメガドラは20年以上たった今でも現役でいられるわけなのだ。
時代を超えてのコラボ
なんと2014年夏、タカラトミーアーツの新ブランドから、トランスフォーマーとのコラボ商品「メガドライブメガトロン」の発売が発表された。
あの破壊大帝がメガドライブに変形する……!
そして同年12月、ニンテンドー3DSの本体更新で追加されたメニュー画面のテーマ変更機能の配信コンテンツとして「セガハード・メガドライブ」が配信。
ニンテンドー3DSのメニュー上画面に初期メガドラパッケージデザインを意識したメガドライブロゴと線画のメガドライブが表示され、しかもメガCDの起動デモのBGMが流れるという粋な計らいも見逃せない!
しかし、これだけでは終わらなかった…。なんとゲームソフトを起動すると『セーガー』のボイスが鳴るのである。それも起動時の『NINTENDO3DS』ロゴが表示しきるところまでという始末。一部からは『セガが任天堂ハードを侵略した』『任天堂は懐が深い』と評価されたほどである。
これは企画したセガの奥成Pによると、『3DSにメガドライブのロゴ等をデコレーションしている人がいた』事からメガドライブタイトルも収録したセガ3D復刻アーカイブス発売に合わせたものであるという。
メガドライブファミリー
- 初代機
日本では1988年10月発売。AV出力ケーブルはマークⅢのものが使用できるが、そのためにAV端子からの音声はモノラルのみ。その代わり、本体前面にヘッドホン端子があり、そこからステレオサウンドを楽しめる。…のだが、製造ロットによってはノイズだらけ。
初期ロットでは色の滲みが発生していたため、小さな基板(小亀ボード)を載せて解決していた。 - テラドライブ
1991年5月発売。セガを代表する「バカハード」の一つである。メガドライブとIBM PCを合体させた画期的なパソコンであったが、これを使ってMDのゲームを作れるわけではなかったことや、PC側のCPUが80286という当時としては型落ちの低スペックだったこともあり、完全どっちつかずハードとして大失敗に終わった。裏技的仕様として、メガドライブをクロックアップさせることが出来た。 - Amstrad Mega PC
1993年には欧州と豪州で発売された。こちらはライセンスによるものでセガからの販売ではなかったが、単に2つのハードが相乗りしたものでテラドライブより機能的に劣ったことや、PC側のCPUが80386SXという当時にしては型遅れだったことなどの要因からヒットしなかった。 - メガCD
日本では1991年12月発売。MD本体よりも高速なMPUを搭載し、さらにグラフィックの拡大縮小回転機能のためのDSP(デジタルシグナルプロセッサー)やPCM音源(8音送出可能)など、拡張機能が充実。しかし最も望まれた同時発色数の増加がなされず、ソフトも揃わなかったことから低調に終わった。初期の小売価格は49800円だった。 - ワンダーメガ
日本ビクターとセガから1992年4月に発売された、メガドライブ/メガCD一体型機。MIDI出力、S端子などを備える。79,800円という超高価格機であり、当然全く売れなかった。翌1993年7月に廉価版のワンダーメガM2が59,800円で発売された(こちらはビクターのみ)。後述のスーパー32Xを接続した状態での蓋の開閉が出来ないため、ビクターに送って改造してもらう必要があった。 - メガドライブ2
日本では1993年4月発売。初代機の廉価版で、小型化されていたり、本体のヘッドホン端子が廃止されている。AV出力端子が変わり、マークⅢ・メガドラ初代機のものは使えない。価格12800円。 - メガCD2
日本では1993年4月発売。同時発売のメガドライブ2に伴う小型化。価格29800円。 - メガジェット
本体・6ボタンコントローラ一体型のメガドライブ。もともとは旅客機内の貸し出しサービス用として、日本航空と共同開発したもの。一応見た目は携帯機ではあるが、電池やバッテリーパックは対応なし。1994年3月には15000円で市販された。 - レーザーアクティブ
1993年8月にパイオニアより発売された、レーザーディスクプレイヤー。専用パックをつけることで、メガドライブとメガCDのソフトプラスメガLDソフトを楽しめる。(別の専用パックをつければPCエンジンシリーズとLD-ROM2ソフトも楽しめる。) - メガCDラジカセ CSD-GM1
アイワから1994年9月に発売された、CDラジカセ一体型のメガドライブ。当然、メガCDとしても動作する。そろそろセガサターンも出ようかという時期に45,000円という高価格で発売されたということもあり、全く売れなかった。本体にスピーカーを内蔵しているにも関わらず、音質も最悪だったそうだ。 - スーパー32X
日本ではなんと次世代機セガサターンの11日後、すなわちプレイステーションと同じ発売日。32768色同時発色。セガサターンにも使われているSH-2 CPUを2基搭載。これによりメガドライブが32ビット機になり、当時大ブームのバーチャファイターも楽しめる。
(メガドラ + メガCD + スーパー32X(俗にいうメガタワー仕様)だと、Z80、68000x2、SH-2x2とCPUが5基となり、とてもユニークな仕様のシステムになる。ただし、動作させるにはACアダプタが3個も必要になるため、コンセントへの差し方等に苦労を強いられる。)
セガの石川雅美氏は「セガ・オブ・アメリカがジェネシス市場延命のために発表したという噂がある」と語っており、何故このようなものが開発されたのかはハッキリとは断定出来ないようである。
令和初の新ハード・メガドライブミニ
セガサミーが、2018年4月に開催した「セガフェス2018」で「メガドライブミニ」を2018年内に発売することを発表した。2018年というとメガドライブ発売30年に当たる。プレスリリースによると、当時の専用カートリッジは差せないが、当時のデザインを再現しつつ約1/4のサイズになった本体をテレビにつなぐだけで、本体に内蔵された多数の作品をプレイできるの事。ただ、この発表には落とし穴があった。
実は日本向けのみでの発売の発表であり、日本よりはるかに市場規模が大きかった北米や欧州向けの発表はなかった。当然海外のファンに「何でこっちでリリースしないんじゃコラァ!」などと反響が大きく、丸30年になる約1か月前の9月に2018年内発売を白紙に戻した。
その後の2019年。年号が令和に変わろうとしている矢先の4月にセガは改めて「メガドライブミニ」の発売を発表。当時の仕様を一から設計し直した上で海外向けの需要にも対応し、”令和初の新(ゲーム)ハード”の名のもとに40+新規2タイトル(新規製作の『ダライアス』と、幻となったが今回新たにアーケード版を移植し直した『テトリス』)収録をアナウンスした。さらにメガドライブミニのサイズに合わせたメガCD・スーパー32X・ロックオンカートリッジ・ゲームカートリッジの装飾品セット「メガドラタワーミニ」の同時発売も発表している。どうして作った。セガらしいけど
主なメガドライブのソフト
ハードメーカーの垣根を越えて任天堂のWiiのバーチャルコンソールでもプレイ可能なソフトがあるので詳細はググること。
- スペースハリアーII
- サンダーフォースII/III/IV
- アフターバーナーII
- ダライアスII
- フェリオス
- 武者アレスタ
- カース
- XDR
- バトルマニア
- スーパーモナコGP
- ハードドライビン
- バーチャレーシング
- ピットファイター
- ストリートファイターII
- モータルコンバット
- ベアナックルシリーズ
- おそ松くん
- 大魔界村
- ゴールデンアックスシリーズ
- ソニック・ザ・ヘッジホッグシリーズ
- ガンスターヒーローズ
- モンスターワールドシリーズ
- ソード・オブ・ソダン
- ファンタシースターII〜IV
- スーパーハイドライド
- ソーサリアン
- シャイニング・シリーズ
- ランドストーカー
- レンタヒーロー
- スーパー大戦略
- アドバンスド大戦略
- 忍者武雷伝説
- バハムート戦記
- ハイブリッド・フロント
- ヘルツォーク・ツヴァイ
- ダイナブラザーズシリーズ
- ぷよぷよ
- コラムス
関連動画
関連商品
関連コミュニティ
関連項目
- ゲーム
- セガ (SEGA)
- MD (MEGA DRIVE)
- サンダーフォース
- ファンタジーゾーン
- アレスタシリーズ
- 全ソフトカタログ
- 播磨体操第一
- 据置型ゲーム機一覧
- Hi☆sCoool! セハガール - セガ原作・監修のCGアニメ。擬人化されたメガドライブが主役の一人として出演
- メガドライブミニ
関連リンク
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https://dic.nicovideo.jp/t/a/%E3%83%A1%E3%82%AC%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%96