「正義の道」を歩む事こそ「運命」なんだ!!とは、運命の正しき在り方である。
あなた…『覚悟して来てる人』…ですよね。 この記事は、ジョジョの奇妙な冒険・第6部「ストーンオーシャン」の結末についてのネタバレを擁してます。 |
漫画「ジョジョの奇妙な冒険」Part6ストーンオーシャンに登場する、エンポリオ・アルニーニョの台詞。
物語の黒幕エンリコ・プッチ神父は、作中最大の悪役DIOの遺した「天国へ行く方法」を完遂し、ついに自身のスタンド能力を無限に時間を加速させる「メイド・イン・ヘブン」にさせる。その能力をもって、DIOと因縁のあったジョースター家の末裔と協力する仲間たちを次々と斃していった。主人公の空条徐倫も、希望をエンポリオ少年に託し、自らを犠牲にする事でエンポリオをプッチの手から逃したのだった。
メイド・イン・ヘブンの時間の加速はさらに進み、遂にはこの宇宙の終焉と新たな宇宙の誕生を一瞬のうちに迎え、時の加速の中で生き残った生物たちはこの新しい世界にたどり着く。この新しい世界でも細部は違っても今までの世界と同じ歴史を辿る運命であり、加速した時の中で人々は自分に何が起こるかを体験してきた。それ故に、自分の運命を予め予感できる世界になったのだ。例え、悪い出来事の未来を知っても「覚悟」が出来るから「幸福」になる。これがプッチの求めた「天国」なのだ。
そしてプッチは、時の加速を始めた2012年3月21日より前の2011年11月の時点で一度加速を止めた。逃がしたエンポリオはいずれ成長してプッチを斃しに来るのが未来の運命で、その運命を変えるにはエンポリオがいることがわかっている2011年11月の「グリーン・ドルフィン・ストリート刑務所」で追い詰めるしかない。この世界で唯一運命を変えられるのはプッチのみであり、エンポリオはどうあがいても隠れ家である「幽霊の部屋」に行く運命だ。
エンポリオを幽霊の部屋の壁のスキ間に追い詰めてプッチは拳を振るうが、幽霊の部屋に吸い込まれる瞬間にエンポリオはプッチの拳の前に徐倫から授かった「ウェザー・リポートのスタンドDISC」を差し出していた。仲間のウェザー・リポートがプッチに殺される時に、プッチのスタンドをDISCにして封じ込める「ホワイトスネイク」を利用して能力を残したものだった。そして、唯一運命を変えられるプッチ自身にこのDISCを押し込んでもらう事で運命を変えたのだ。
闘う能力を与えられた所で、他人の才能を容易く扱う事は出来ないと高を括ってたプッチだったが、突如手足が麻痺して床に伏してしまい、目から出血し始める。エンポリオは本で得た知識である100%純粋な「酸素」は生物にとって「猛毒」であることを利用し、天候を操れる「ウェザー・リポート」で密室である幽霊の部屋を純粋酸素で埋め尽くして、自分もろともプッチを行動不能にさせたのだ。
そして、動けないプッチにとどめを刺すべくウェザー・リポートの拳をプッチの側頭部に押し付け床に押しつぶそうとする。確かにスタンドは楽々と操れるものではないが、静かに動かして万力のような力を籠めればそれも関係ない。追い詰められたプッチは、エンポリオを説得しようとする。
こんな事をさせるなァーーーッ!!
わたしが到達した わたしの「能力」は!!「神」のご意志だッ!「神」が望んだ能力なのだッ!
新しい人類が始まり人間の未来はこれで救われるのだッ!この時の加速が始まったケープ・カナベラル「以前」で…………
わたしが死んだら人類の「運命」が変わってしまうぞッ!きっと違う未来になる!ここで死ぬわけにはいかないッ!
ケープ・カナベラルの後ならいくらでも命を捧げようッ!!わたしが ここまでやって来た事が
起こらないという事に変わってしまうんだッ!人々は時の旅で見た運命を見なくなる!
覚悟を知る事がなくなるんだッ!
『覚悟こそ幸福』という事を思い出してくれッ!ここでわたしは死ぬわけにはいかないのだーーーッ
この期に及んでなお自分の行いが「正しい」と信じ、未来を知って「覚悟」できる世界こそが「幸福」であると信じて疑わないプッチに、エンポリオは啖呵を切る。
わからないのか?
おまえは「運命」に負けたんだ!
プッチは「運命」によってDIOに出会い、妹ペルラを失い、受け取った弓と矢でホワイトスネイクを発現させ同時に双子の弟ウェザーにスタンドを目醒めさせた。そしてDIOの遺した「天国へ行く方法」こそ人類が「運命」を克服できると信じ「運命」が味方しながらここまで来れたが、断ち切ろうとした因縁は結局切れずに、弟の能力によって追いつめられる「運命」からは逃れられなかった。
そして、その「運命」はウェザー・リポートが正義を信じて託した能力、空条徐倫が正義を信じてエンポリオに託した意志、それらを受け継いだエンポリオが最後まで「正義の道」を歩み続けたからこそ最後に「運命」に打ち勝ったのだ。
本来であれば「正義」を説くはずの神父が逆に「正義」を説かれ、しかも自分に味方していたと思っていた「運命」を引き合いに出されたプッチには耳が痛い話であろう。プッチは激高し、頭を砕かれる瞬間悪あがきでエンポリオに襲い掛かる。
だが、寸前でウェザー・リポートにつかまれ、渾身のラッシュを食らってプッチは断末魔を上げて息絶える。
この台詞は、これまでの「ジョジョの奇妙な冒険」で描き続けてきた「人間讃歌」の「正義」の面の集大成とも言える言葉である。「代代受け継いだ未来にたくす人間の魂」「「覚悟」とは暗闇の荒野に進むべき道を切り開く事」「『真実に向かおうとする意志』さえあればいつかたどり着く」、それらを内包した「「正義」の輝きの中にある『黄金の精神』」。人間としての正しき道を歩み続ける事こそが切り開く事の出来る「運命」なのだ。
また、主人公サイドの最年少キャラクターがラスボスに対して切る啖呵としては、第4部・川尻早人の「おまえに味方する「運命」なんて…今!ここにある「正義の心」に比べればちっぽけな力なんだッ!」や、第5部・ジョルノの「真実から出た『誠の行動』は決して滅びはしない」に通ずるものがある。
エンポリオ「わからないのか?おまえは「運命」に負けたんだ!」
プ ッ チ「ほざくな 小僧!」
エンポリオ「ぼくひとりじゃあない、ぼくをここに送り込んだ徐倫おねえちゃんの意思だ!
ウェザーも…F・F…エルメェス…アナスイッ!それに承太郎さんもだ!
みんな 未来なんか知らなくても覚悟があった!
覚悟ができていなかったのはおまえだ プッチ!
「正義の道」を歩む事こそ「運命」なんだ!」
掲示板
3 ななしのよっしん
2023/04/13(木) 17:29:25 ID: T0xKHSF8Bp
プッチは未来を知らない事への恐怖がずっとあったんだろうな。
ホラゲーの1周目と2周目(はじめから)みたいなもんか。
化け物が何処で出てくるか分からずビクビクしてる1周目より、出現は回避出来なくても場所を知ってる2周目の方が安心でしょって感じ。
でもプッチだけ最強武器持ち込んだり、イベント自体を回避出来ると。
本当に張本人だけが2周目の世界で特別扱いなのがセコイんだよな。
仮に2周目の世界が完成してても、自分が重傷負ったり死ぬ様な運命だったら全力で回避してるだろ。
4 ななしのよっしん
2023/11/23(木) 14:01:00 ID: PI/pPefmJw
正義がどこにあるのか、すぐわかるのなら苦労はない。
なんなら正義とは相対的なものに過ぎないわけで、相手の正義がこちらにとっても正義とは限らない。
そういう意味でもプッチこそは「まるで覚悟ができていなかった」ということになる。自分の意志や行動に実は本人が誰よりも否定的だった。
暗殺チームや大統領なら動揺はしなかっただろう。
5 ななしのよっしん
2023/12/12(火) 19:57:16 ID: CIAaCQV9nk
覚悟を自分の都合の良いものに解釈してたのがDIOプッチの敗因になったのではないかと思う。
ディオは人間の覚悟には侮れない凄みがあると評していたが、これには〈人間はこのディオのために死ぬ覚悟を持つべき〉という意味合いがあり、勝利するためならば手段を選ばない執念深さはあれど自身の命を賭する覚悟がなかった。
承太郎への目潰し行為がその証左と言える。
そのディオの敗因まで継承したプッチには覚悟とはなんなのか吟味できるはずもなく、〈内なる恐怖を認め打ち克ち、黄金の精神を手にしたエンポリオ〉こそ真なる覚悟が宿る者であり、彼に敗れる結末は運命だったとしか言いようがない。
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最終更新:2024/04/28(日) 10:00
最終更新:2024/04/28(日) 10:00
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