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プレドニゾロン

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プレドニゾロン(Prednisolone)とは、ステロイド系抗炎症である。商品名はプレドニン®など。

概要

有機化合物
プレドニゾロン
プレドニゾロン
基本情報
英名 Prednisolone
略称 PSL
化学 C21H28O5
分子量 360.44
化合物テンプレート

プレドニゾロンは、合成された副腎皮質ステロイド糖質コルチコイドである。1955年合成され、本邦では1956年に上された。副腎皮質ホルモンのコルチゾールをもとに、その1位-2位間に二重結合が導入されているため、抗炎症作用や免疫制作用などが強まり、電解質への作用が弱められている。こうした合成副腎皮質ステロイドは、炎症性疾患、アレルギー性疾患、自己免疫疾患などに幅広く使用されている。以下に、副腎皮質ステロイドの作用を例示する。

プレドニゾロンなどのステロイド系抗炎症は、細胞質の糖質コルチコイド受容体(GCR)に結合し、複合体を形成する。複合体になると、GCRに結合していた2分子の熱ショックタンパク質HSP)が解離し、DNA結合ドメインが露出する。ステロイドGCRの複合体は、核内に移行して二量体を形成、糖質コルチコイド応答エレメントGRE)というDNA特定の領域に結合し、mRNAの転写を促進ないし抑制する。抗炎症作用をもつタンパク質ポコチンの産生促進や、炎症応答に関与する酵素ホスホリパーゼA2、誘導クロオキシゲナーゼ(COX-2)の発現抑制などにより、抗炎症作用を示す。

一方、ステロイド系抗炎症は全身に作用し、糖質タンパク質の代謝にもを与えるため、多副作用があらわれる。とくに注意すべき副作用として、消化性潰瘍、骨粗鬆症耐糖能異常(2糖尿病)などがある。免疫系を抑制するため、炎や敗血症リスクもある。満月様顔貌(ムーフェイス)や中心性肥満などの特徴的な副作用もある。また、ACTH分泌抑制作用のため、長期投与によって副腎皮質が委縮する。長期投与したあとの急な減量や中止は急性副腎不全(副腎クリーゼ)を招くため、徐々に減量する必要がある。

これらの副作用や中止までに時間がかかることから、プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイドは、一般に怖いや止められないと認識されやすい。しかし、臨床ではその強力な治療効果のため広範に使用されている。これは、デメリットを差し引いても、患者にとって有益な結果をもたらすと考えられるためである。不適切な使用は症状悪化・治療長期化を招くが、適切に使用すれば少ない投与量・短い治療期間で済むケースもある。もちろん、副作用リスクゼロにはならないため、注意しておくことは大切である。治療法や副作用について十分に理解し、気づいたことがあれば医師薬剤師にフィードバックしよう。

適応

ステロイド系抗炎症は、その強力な抗炎症作用のため、多くの疾患の治療に用いられる。実際にどれほど多いのかを示すため、例として内のプレドニン®錠、注射や吸入などで用いられる溶性プレドニン®の適応症を以下に記載する。なお、剤形や投与方法によって適応は異なるが割愛する。炎症性疾患を中心に、100える疾患に使用されていることが分かる。

内科・小児科領域

内分泌疾患

リウマチ疾患

膠原病

  • エリテマトーデス(全身性・慢性円状)
  • 全身性血管
  • 多発性筋炎(皮膚筋炎)
  • 強皮症

川崎病

腎疾患

心疾患

アレルギー性疾患

重症感染症

血液疾患

消化器疾患

重症消耗性疾患

肝疾患

肺疾患

結核症

神経疾患

悪性腫瘍

そのほか

外科領域

整形外科領域

  • 強直性脊椎炎(リウマチ性脊椎炎)
    • 強直性脊椎炎に伴う四肢関節炎
  • 変形性関節症
  • 痛風性関節炎
  • 非感染性の慢性関節炎
  • 非感染性の関節周囲炎
  • 非感染性の腱周囲炎
  • 非感染性の腱炎
  • 非感染性の腱鞘炎
  • 非感染性の滑液包炎
  • 脊髄浮腫

産婦人科領域

泌尿器科領域

眼科領域

耳鼻咽喉科領域

皮膚科領域

参考文献

構造

コルチゾール
プレドニゾロン
ベタメタゾン

合成副腎皮質ステロイドは、副腎皮質ホルモンのコルチゾールの誘導体であり、プレドニゾロンであれば1位-2位間に二重結合をもつ。こうした化学修飾は、抗炎症作用や免疫制作用などを強め、電解質への作用を弱めることに寄与している。また、ベタメタゾン(リンロン®など)のように、16位にメチル基が導入されている合成副腎皮質ステロイドは、代謝されにくくなり作用時間が延長している。

血中半減期 糖質コルチコイド作用 鉱質コルチコイド作用
コルチゾール 1.2 hr 1 1
コルチゾン 1.2 hr 0.7 0.7
プレドニゾロン 2.5 hr 4 0.8
デキサメタゾン 3.5 hr 25 ≒0
ベタメタゾン 3.3 hr 25 ≒0
註:糖質コルチコイド作用・鉱質コルチコイド作用について、コルチゾールを1としたときの相対的な力価を掲載。

プレドニゾロンは作用が適度に持続するため、用法用量を調節し副作用を減らす工夫がしやすいとされる。また、大量投与でなければ胎盤で不活性化されるため、胎児にを及ぼしにくく、妊娠していても安全に使用できると考えられる。

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