ブラジリアン柔術とは、ブラジルで発達した寝技主体の格闘技である。
グレーシー柔術とも呼ばれる。日本人柔道家、前田光世がブラジルに渡って広めたのが起源とされている。
技術的には寝技主体で、バーリトゥードに対して最適化されているといわれている。
「なんでもあり」と訳される。
ブラジルでは、男と男の喧嘩の際には周囲は手を出さず、存分に一対一で戦わせる暗黙の了解があるという。これを元に、目突き、金的、噛み付きなどを除く一切の制約を取り払った総合格闘技のルールである。
一般的に、組み技に有利で打撃は使いにくいとされている。
以下に記述するのは現在スポーツとして普及しているブラジリアン柔術についてのこと。バーリトゥードで応用するのは本人次第ということで・・・
ポイントは以下のとおりである
テイクダウン(2点) - (立ち技)立っている相手を倒し、寝技に持ち込むこと。
リバーサル=スイープ(2点) - (寝技)ガードポジションの選手が上の選手をひっくり返し、自分が上になること。
ニー・オン・ザ・ベリー(2点) - (寝技)仰向けの相手の胴体に自分の膝を当て、もう一方の膝を床から離した体勢になること。
パスガード(3点) - (寝技)インサイドガードポジションから脱し相手を抑え込むこと。
マウント(4点) - (寝技)マウントポジション(馬乗り)の体勢になること。
バックマウント(4点) - (寝技・立ち技)バックマウントポジションの体勢になること。
絞め技、または関節技を極めた時(一本)
引用終
また、実際の試合はクルクル変な回転運動をしたり、足が絡みあったりして動きやポジションが、曖昧になることもよくある。競技の普及につれて、それまでレフェリーの主観で決めていたものが、キッチリ境界を定めたものも多くあるので、競技者は確認したほうが良い。
(ルール変更に伴い、ムンジアルレベルでも「何であいつのポイントなんだよ!」みたいな揉め事はよくある)
区分(ポルトガル語) | 道着なし(kg) | 道着込み(kg) |
ガロ | -55.5 | -57.5 |
プルーマ | -61.5 | -64 |
ペナ | -67.5 | -70 |
レーヴィ | -73.5 | -76 |
メジオ | -79.5 | -82.3 |
メイオペサード | -85.5 | -88.3 |
ペサード | -91.5 | -94.3 |
スペルペサード | -97.5 | -100.5 |
ペサディモ | +97.6 | +100.6 |
ちなみに上限は「未満」ではなく「以下」なので100g単位までの体重計でピッタリだった場合はセーフである。
現在日本にはBJJFJとJJFJの2つがある(CBJJE JAPANというのもできたらしい)国際的に認可されているのはBJJFJである。JJFJは日系ブラジル人が多く参加している。
同時加盟は可能であるが、試合の日にちが被ったりしていると、道場で「こっちの試合に出てください」と指定されたりあるいは「あ、出場申し込みは勝手だけど、セコンドは行かないよ」というようなことも有り得るので、勝手にエントリーをするのは自重しよう。
横四方固をサイドポジションと言ったり、裸絞をチョークスリーパーと言ったり、日本語と英語がかなりぐちゃぐちゃである。セコンドの指示を聞くことも考えると両方覚えるのが望ましい。
あと、厳密には(崩れ)袈裟固めとかもサイドポジションの一つでもあるので、やっぱり両方覚えたほうが良いかも
ちなみに縦四方固を「ノースサウスポジション」と言ったり、三角絞めを「トライアングルチョーク」という人はほとんどいない。逆にガードポジションやスピニングチョークにあたる日本語が(多分?)存在してなかったりもするのでこういうのは片方だけ覚えるだけで良いかも
「どうせまた地味~~に柔術で勝ったんでしょ!」
「俺はなあ、柔術の凄さの証明するためにやってんだ!」 花くまゆうさく 東京ゾンビより
ゾンビを倒せるかは分からないが、絞め、関節技で強くなりたい・及びグランドポジションで有利になりたいのならお勧めである。
最初格闘技ではなく球技の選手であったエンセン井上は、強くなりたいと合気道を始めようとしたところ、
先生に「ストリートファイトでは使えない」「使えるようになるのには60年かかる」と言われ断念したが、後にヒクソン・グレイシーの試合を観て「こりゃ実戦で使えまくる!」と興味を示し、ハワイで稽古をつけ格闘技のバックボーンとした。
ちなみに中井祐樹氏にブラジリアン柔術を勧めたのはエンセンである。
中井氏は北海道大学の柔道部出身なので、自然にブラジリアン柔術にも踏み入れたイメージを持つ人が多いが、失明後に修斗に復帰する気持ちで寝技の練習の一つとして始めた(もちろんそれだけではないだろうが、きっかけの一つとして)。
もちろん初期UFCでホイス・グレイシーが優勝したのを筆頭に、実戦で使えることは証明済みである。実際1対1なら喧嘩にも使えるよ!
ブラジリアン柔術が実戦で強い理由としてそのポジショニングを重視する概念がある(柔道や徒手格闘もそうだけど)。相手の動きを制圧し、自分は殴るのも極めるのもできる立場に置くことによって、金的だろうが目潰しだろうがどんなに開放されたルールでも有利に立つことができる。スポーツ種目としてのブラジリアン柔術は打撃攻撃は無しだが、ポジショニングで有利に立つ技術を身につけることによってバーリトゥードでも相手を殴り放題にだってできるのである。詳しいことはWikipediaのグラウンドポジションでも・・
ニコニコ動画ではあまり見かけないが、You Tubeで異種格闘技戦(総合格闘技ではない)を見るとブラジリアン柔術が圧勝することが多い。(英語表記ではJiu-jitsu又はBJJ)
(ただ、打撃選手の寝技が完全にザルであるのに対し、柔術選手の立ち技ではバックステップやパーリングを少しだけ取得してるようにも見えるが・・・)
総合格闘技の寝技の練習の一環としてブラジリアン柔術を習う人も多く、「いや、俺の寝技はあくまで総合の寝技だから」という人でも指導者をたどっていくとブラジリアン柔術がバックボーンだったりもする。
ただし、立ち技を強化したいときに柔術はあまり推奨できない。自分で柔道やレスリングを習うほうが良い。かつて日本の柔道の国際強化選手は、ブラジルへ柔術の選手たちと合同練習をしたことがあったが、その時の石井慧の証言によると
「あいつら寝技の時は積極的なのに、立ち技になるとみんな見学してるんだよ。」
また、強くなれる割にフィジカルが強くなくても試合で勝てるのも特徴である(トップ選手を除く)
敷居がとても低く、特に道着ありのルールなら力がなくても技術でかなりの部分をカバーできる。
余計な力を抜くことができるようになると、スパーリングも、5分15本(もちろん適宜水分補給はする)とか、レスリングやボクシングではありえない時間をこなすことができてしまったりする。総合含む、あらゆる格闘技の競技人口が減っている日本で、競技人口をガンガン増やしている数少ない競技の一つであるのはこういった理由だろう。
結論からいうと、練習環境が重要である。というのも、元々前田光世が広めにいった時点では、柔道はオモプラッタでもスピニングチョークでもあらゆる技術がばっちり存在しており(足関節はどうだろう?)、ブラジリアン柔術として向こうで広まっていったときも、ルールは柔道と大きく変わったものの、技自体はそれほど新しく開発されたわけではない。
昔エリオ・グレイシーが「柔術のテクニックの多くはワシが開発した」と言っていたが、大体嘘だと思われる。
一方日本では・・・
しかし、嘉納治五郎があまり寝技の普及に熱心でなく、ルールも関節技は肘に限定され、すぐ待てがかかるようになり(本人があまり寝技が好きでないという話も?)柔道がJUDOになるにつれてその動きは加速した。
そんな風に立ち技ばかりが発展していったため、インターハイで好成績をあげる柔道選手でも柔術のテクニックを見て、「こんなん知らなかった。勉強になる」ということもザラにある。
ただし、柔道自体に昔からある高度な寝技の技術が消えていったということはなく、そういうのを教えられる競技者や指導者が少ないということである(上記の練習環境とはそういう話)
ただし、「先輩や先生は誰も教えてくれない」などと言い訳をしてはいけない。青木真也は高校時代、監督から「何で押さえ込んでるのにわざわざ関節とりにいくんだ!」と怒られながらも、自分で市販の本「寝技で勝つ柔道」などで勉強し、関節技・絞め技あるいは立ち技から極め技へ持ってくる連絡技を身につけたりしていた。
なお戦前にいまでいう大学で盛んに行われていた「高専柔道」は熱心に寝技の研究をしていた。現在ブラジリアン柔術で普通に使われる「三角絞め」などは元々、「松葉がらみ」として開発されたとのこと(本段落を編者が編集する前は疑問を呈するように「三角絞めを高専柔道が開発したという記事を見たことがあるが、三角絞めは1世紀も前にあったはず」という趣旨の記述だった。これは実は正しくて、高専柔道で松葉がらみが初披露されたのは1922年、まさに1世紀近く前の話なのだ。他、古流柔術に三角絞めらしき技術があったのでは?という説もWikipedia記事にあるが、詳細はそちらを参考にしてほしい)。
また三角絞めに関して、同じ技術が日本とブラジルで別個にあみだされたという説に関しては、自らも高専柔道(ルールを採用した現代の七帝柔道)の経験がある作家・増田俊也が自著の中で、「三角絞めは足を使って首を絞めてはならないというルール下で、ルールの盲点をついて腕も巻き込む発想から生まれた」という理由から却下している。まあ何にしろ、今では知る人も少ない高専柔道であるが、本邦でも寝技を熱心にやってた柔道があったんだよーというのは事実であることは間違いない。しかし戦後、GHQによって柔道を含めた武道が禁止され、結局生き延びたのは講道館由来の柔道のみになった(無論、柔道存続の危機のなかで生き残りの目を見つけ、ついには世界的競技にまで育てた講道館柔道の素晴らしさは称賛するしかない。しかし、別の柔道も確かに一時期隆盛を誇っていたのだ)。
そんなこんなで、(本来はれっきとした柔道技である)スピニングチョークでも、
PRIDEでノゲイラが出した途端、多くの日本人が見慣れない技だった故、度肝を抜かれるなんてことになってしまったのである。
ブラジリアン柔術に関するニコニコミュニティを紹介してください。
掲示板
14 ななしのよっしん
2021/03/03(水) 20:20:46 ID: qMNufik3Xk
テンテンくんのキャラの顔を横から見るとギョーザっぽいのは作者が格闘技好きだから
それでいいじゃないかどこかの小学5年生よ
15 ななしのよっしん
2022/08/16(火) 19:19:44 ID: X6F6ngngpF
>>13 三角絞めってガードポジションを理解してないと優位性が理解できんから上から抑え込むのが普通な武術ではかなり異端な考え方だからな
肩固めより極める難易度が高いし
16 ななしのよっしん
2023/02/07(火) 22:10:18 ID: qMNufik3Xk
本文の方で大事なことが抜け落ちている
前田栄世がブラジルに行ったのは1914年で高専柔道で三角締めが開発されたのは1922年だから前田がブラジルに三角締めを伝えることはできない
増田はこれを伝えたのを小野安一という人物と推定している
急上昇ワード改
最終更新:2025/03/29(土) 02:00
最終更新:2025/03/29(土) 01:00
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