雅楽 単語

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雅楽とは、宮中や寺社などにおいて伝わる音楽や舞のことである。
元々日本にあった音楽や舞に、アジア音楽や舞が融合したもので、
十世紀頃に大まかな形態が成立したと言われている。

歴史

5世紀前後

中国朝鮮半島などの大陸から
儀式用の音楽や舞踊として、現在の雅楽の基が伝わる。
当時は、大宝によって創立されたそれらを所管する
雅楽寮という機関演奏していた。
また、様々なアジア大陸音楽楽器を扱っており
現在とは全く異なるものであった。

9世紀頃(平安時代)から

近衛府(制に規定のない官職)の官人、殿上人(官制五位以上の者)が
雅楽の演奏を担うようになる。
この頃は、唐楽、高麗楽や音楽理論を基とした作曲全盛期を迎えた。
また、音色が似ている楽器や役割の重なる楽器などが幾つも止され
編成が小規模化され、現在の雅楽に近い形となった。

12世紀後半(平安時代末期)から

下人(ここでは雅楽演奏を担っていない者)の楽(雅楽を伝承してきた系)が
活発になり、14世紀半ば(鎌倉時代末期)には殿上人の楽にかわって雅楽の
中心的存在となる。
また、このにかわって
下人楽器とされていた篳篥が楽曲のを担当するようになった。

14世紀半ば(室町時代初期)から

応仁の乱により京都戦場と化したため、多くの資料が焼失し楽人も地方へ四散してしまい
多くの演演奏技法が失われた。
応仁の乱後は、楽所(雅楽の演奏機関)や楽人によって伝承され続け
正親町天皇後陽成天皇京都に楽人を集め、徐々に再へと向かっていく。

17世紀頃(江戸時代)から

江戸幕府が、奈良に南都楽所、大阪天王寺楽所を設け
さらに京都方の楽所を中心に禁裏様楽人衆を創設し、雅楽の復が行われた。
江戸時代では、これら三方楽所を中心に展開していき、雅楽をする大名も増え
古曲の復曲が盛んに行われるようになった。

19世紀半ば(明治時代)から

明治時代から三方楽所や諸所の楽人が東京へ招集され、雅楽局を編成した。
この時、各楽所によって異なる伝承(節回し、舞等)を統一するなどした。
また、明治選定譜の作成により政府は選定曲以外の演奏を禁止したため
千曲以上もあった楽曲の伝承が途絶えた。
しかし、研究によっては江戸時代の時点で既に八十曲ほどしか伝承されていなかったともあり
実際に千曲以上もの曲が伝承されていたかは不明である。

現在

現在宮内庁式部職楽部ではおよそ100曲を継承しているが
大半の曲が、使用している楽譜明治選定譜に基づいているのにも関わらず
昭和初期から現在にかけ演奏速度が遅くなった。
そのため、曲によって3倍以上の長さとなり、それにより奏法も変化した。
これは、現在の奏法で絶された曲を復元すると極端に長くなってしまうことにも現れている。

近年では伶楽舎(雅楽演奏団体)が絶曲を現代の雅楽様式に合わせ編曲
復曲するといった試みが行われている。
また、これとは逆に失われた奏法などに基づき、平安時代の雅楽様式を再現する
試みを行う団体もある。

雅楽に使われる楽器

合奏の際に中心となる楽器は、三管三鼓両絃の八種類である。

三管

以下、三つの管楽器を総称して「三管」と呼ぶ。

笙(しょう)

から差し込むを表すとされる楽器である。
形状は、を立て休んでいる鳳凰に見立てられることから笙とも呼ばれる。
17本の細い管からなり、それらにけられたを押さえ
匏(ふくべ)の横の吹口より息を吸ったり吐くことにより音色を奏でる。

篳篥(ひちりき)

地上にこだまする人々のを表すとされる楽器である。
大篳篥と小篳篥の二種類があるが、一般には篳篥というと小篳篥をす。
漆を塗ったの管に舌(ろぜつ)と呼ばれるリード演奏する。
音域は1オクターブ程しかないが、塩梅(えんばい)という奏法により
滑らかな音の移り変わりを可とする。

龍笛(りゅうてき)

と地の間を縦横尽に駆け巡るを表すとされる楽器である。
管や篠笛といった和楽器横笛全般の原、先祖であるとも考えられている。
の管で作られ、歌口(吹口)と7つのから成る横笛
歌口の隣には、演奏時に重さを調節するため等が詰められている。
音域は2オクターブと広く、低い音から高い音を駆け巡る音色を
舞い立ち昇るの鳴きと例えたのが名前の由来である。

三鼓

以下、三つの鼓(打楽器)を総称して「三鼓」と呼ぶ。

鞨鼓(かっこ)

に、洋楽揮者に当たる役を持っており、曲始めの合図を出す。
鞨鼓の奏者が撥(ばち)を手にすることで演奏開始を伝達する。
鼓胴という中央のなだらかに膨らんだ筒と、鼓面というく部分から構成される。
鼓面は輪にの皮を貼り付け、両面の皮は調緒という革紐で締め付けられている。
この、調緒を調節することで音程を調節することが可である。

鉦鼓(しょうこ)

鼓という字が入っているが、実際は金属打楽器である。
直径15cm程度の金属製の円形の皿形の内側を二本の撥で打ち演奏する。
撥は42.5cmで、先端には球状にした水牛がついている。
管絃演奏、舞楽演奏、路楽演奏で使う鼓が異なり、それぞれ
 釣鼓 、  大鼓 、 荷鼓 を用いる。

太鼓(たいこ)

太鼓は大きく分け、長胴太鼓、胴太鼓、附締太鼓の三つがある。
一節終わるごとに太鼓を鳴らし、楽曲全体を締める重要な役割を担っている。
作りは鞨鼓と似ており、木製の胴に皮をる。撥で皮を叩き音色を出す。
音色は良くく残と余韻の残る音を特徴とする。

両絃

以下、二つの弦楽器を総称して「両絃」と呼ぶ。

楽箏(がくそう)

徴とされ、13本の弦から成る和楽器である。
対応する(義甲)を装着し、柱(じ)という駒で調弦する。
奏法に生田流と山田流があり、それぞれ、丸を使う特徴があり
また、それらを有効に使うための姿勢も異なる。
雅楽の「楽箏」に対し、近世の箏曲は「俗箏(「ぞくそう」または「ぞくごと」)」と呼ぶ。

楽琵琶(がくびわ)

の葉の形に似た撥で弦を弾奏して音色を奏でる。
平家薩摩、五弦など、かなりの種類が存在するが
その中でも、雅楽で用いるのは楽である。
弦をで押さえることにより音程を変化させる。
後世の諸との大きな違いは、他の楽器との合奏に用いられること、調ごとに調弦法が変わること、「さわり」の機構がないこと、左手の押弦が、柱(フレット)の間で絃を押さえる力を変化させて音程を変える奏法がないこと、また小まで使用すること、などである。

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