ASMR(エイエスエムアール)とは、Autonomous Sensory Meridian Response の略である。
決してARMS (アームズ)ではないし、浅村 (ASaMuRa)でもないし、アシマリ (AShiMaRi)でもない。
ASMRをひとことで説明できる日本語訳が確立されていない。
「Autonomous(以下略)」を直訳して、くだけた言葉にすると
「脳がとろけるように気持ち良くなる現象」となる。
おざっぱに言えば、「(音楽ではない)音・視覚全般から得られる心地よさ」を扱うジャンル。
もう少し具体的に言えば、聴覚や視覚への刺激によって生じる、心地良さ、気持ち良さ、ゾクゾクする、リラックスする、落ち着く、安心する、睡眠が誘導される、睡眠の質が向上する、といった癒し効果を求めた結果生まれたジャンルである。
このASMRを引き起こすトリガーとなる動画がASMR動画である。布が擦れる音、雨の音、焚き火の音、ハサミで物を切る音。そんな音を心地よく感じた経験はないだろうか。そんな音に魅せられた人々が、自分が気持ち良いと思う音を集めた動画を投稿している。
必ずしも性的なもので引き起こされる快感とは限らず、全体の投稿数から見るとむしろそうでない動画の方が多い。自律神経(交感神経と副交感神経)を刺激することによってオーガズムを得る、と考えられているが、音に対する感じ方が人によって違う。眠くなったり、快感を感じたり、頭がじゅわーっとしたりする音に出会えればそれが自分のASMRと言っていいだろう。
その感覚の科学的な解明は、人によって過去の記憶やトラウマ等も含み異なるため難しいとされている(ニコ生『萌え声とASMRを科学する』)。スライムの音を聞いて気持ち悪いと感じる人もいれば、幼児性のある行為や手触り・感触(記憶や想像含む)がストレス解消になったり、無心になって考え事やモヤモヤが晴れた人もいる。咀嚼音を聞いてクチャラーに対し殺意を覚える人もいれば、性的に興奮したり、他者が美味しく食べてる様子に母性本能をくすぐられたり、自身がダイエットや闘病中で食べられない時の気休めになって落ち着いたりなど、まさしく反応は千差万別である。
また、ヒーリング系BGMやトランスミュージック等とは別に、極度の音声加工がされているもの(例:電子ドラッグ・音MAD・爆音)はASMRとはされないことが多い。これは、ASMRに共通する要素として、「リズムやフレーズではなく音そのものへの快感であること」、また動画を視聴することで「自分がその場にいるように感じられること(擬似体験・追体験できること)」が挙げられるためと思われる。特に後者については、バイノーラル録音などの技術を使って音をリアルに再現しようとする試みが多いことからも読み取れる。(ただし、メトロノームや松屋の飴切り等のように単調・永続的なリズムが好まれる例もある)
ニコニコ動画にはかつてより音フェチというタグがあり、2007年ごろからすでに類似したジャンルの動画が投稿されていた。
2010年2月に、ニューヨーク州在住女性のジェニファー・アレン氏によって「ASMR」という言葉が生み出され、2011年ごろから英語圏での「ASMR」の使用が増加する(参考:ASMR生活「ASMRという言葉はいつ生まれたの?」)。日本に広まったのは2013年頃であると考えられ、その年にこの大百科記事の初版が作成されている。
2018年9月16日現在、ニコニコ動画にはASMRのタグがつけられた動画が4,512件存在し、2018年1月~9月16日の投稿動画で「音フェチ」タグがつけられたのは1,056件、「ASMR」タグがつけられたのは1,492件である。このようにASMRには視覚による心地良さも含まれるが、音フェチとすり替わる形でかなり定着してきたと言える。近年はテレビや雑誌などのメディアで取り上げられる際も「ASMR」という言葉を紹介する意図となっているため、今後もジャンル名・現象・概念としてASMRで定着していくと思われる。
また、音フェチの「フェチ」は文字通り崇拝・偏愛・性的嗜好であり、
マニア・変態的な趣味だと捉えられ一般的な理解が得られにくい傾向もある。
お姉さんのネイルタッピング聞いてニヤニヤして何が悪い!
お姉さんの囁きを聞きながら寝て何が悪い!
お姉さんの咀嚼音を(ry
... ASMRも性的欲求に引っ張られる形で誤解されていく可能性はあるが、この文化が今後どう扱われていくかは投稿・視聴するユーザーに委ねられる。
「ニコニコ動画カテゴリ検討Slack」の議論を経て、2018年11月1日に、ニコニコ動画のカテゴリタグとして「ASMR」が追加されることとなった(ニコニコインフォ)。所属カテゴリグループは「エンタメ・音楽」。過去の「ASMR」「音フェチ」などのタグの動画が自動でASMRカテゴリになるわけではないので、動画投稿者が自分でカテゴリを「ASMR」に変更する必要がある。
また、Youtube等ではどんなに高音質で動画を作ってアップロードしても、Youtube側で勝手に再エンコードされてしまい192~32kbpsになる仕様となっている。その点、音声ビットレートの制限がなかったニコニコ動画には高音質とよばれる動画が多かったが、2016年8月19日以降のシステム変更により、同様に音質が制限される事に。
しかし現在、ニコニコ生放送においては制限が「映像・音声合わせて6000kbps」となっている為、本当に良い音を聞きたければ生放送なのではないかということで需要が高まっている。
ニコニコ動画のカテゴリタグ(サブカテゴリ)一覧(2018.11~) ※2018年の新規追加カテゴリは太字 |
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最終更新:2024/12/26(木) 19:00
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