RADEONとは、AMDが開発・販売しているGPUのブランドである。
概要
元々はATI社によって開発されていたGPUだが、2006年にAMDがATIを買収したため、以降はAMDのブランドとなっている。
それまでAMDは映像処理には独自開発のチップを使っていたが、ATIの買収以降はグラフィックチップにRADEONを採用、2010年10月よりAMDのブランドとしてRADEONの新作「HD6000」シリーズを発売し、製品名から「ATI」という名称は消えている。
AMDのグラフィックボードの一大特徴としては、ライバルメーカーの製品と比べて、3D性能は甲乙付け難いが、伝統的に動画再生能力に力を入れており、その鮮やかな高画質には定評がある。そのためホームシアターPCにも向き、映像鑑賞中心のユーザーたちからの支持も高い。ゲーミングに特化しただけではない万能型のGPUと知られている。
特筆に値する機能としてはAMD Fluid Motion Video(フルイド・モーション・ビデオ)という、秒間24フレームの映像を秒間60フレームに変換する動画再生支援機能がある。→ Fluid Motion
AMD RADEON(ラディオン)シリーズ
※現行の製品については → https://www.amd.com/ja
- RADEON HD5000 以前のシリーズ
- → ATIを参照
- RADEON HD6000シリーズ
- 2010年10月から発売されているDirectX11対応GPU。HD5000シリーズと同じく40nmプロセスで製造され、シェーダユニットとテクスチャユニットの数と消費電力が下がっている。
- 前世代の同じナンバリングルールに基づいた製品(HD5850→HD6850)と比べると1割程度性能が落ちているが、価格が1万円以上安くなり価格パフォーマンスが上がっている。
- 動画再生支援機能は「UVD3.0」に、映像出力規格は「DisplayPort 1.2」と「HDMI 1.4」に対応し、いずれも最新機能を搭載している。
- なお、RADEON HD 6990はRADEON HD 6970のクロックダウン版を二機搭載したデュアルGPUカードのため、2012年7月上旬時点において1カードとしては世界最速のRADEONカードであり続けている
- RADEON HD7000シリーズ
- 2012年1月10日から7900から順次販売されている。Windows8で採用されるDirectX11.1に対応している。PCIE-3.0に世界初で対応したのも特徴。
ライバルのnVIDIA GeForceのKeplerに先立って発売された次世代GPU。今までのVLIW4から決別して、GCNという次世代アーキテクチャを採用している。まず、アイドル時において3Wという驚異的な低消費電力を実現し(参考に以前のモデルのRADEON HD 6970は25Wほどで、ライバルのGTX 580は40W程度である)、RADEONが苦手とするテッセレーション以外のほぼ総てにおいてGTX 580を打ち破るスペックを実現した。 数カ月後にはnVIDIAが投入してきた新製品、GTX 680に消費電力、性能共に追い越されてしまい、性能面ではGTX 690で更に水をあけられた。だが、GTX6xxはローエンド、ミドルレンジの製品ラインナップはあまり充実していない、コストパフォーマンスに優れるRADEON HD 7870以下がDELL等のメーカーPCに組み込まれる形で一定のシェアを獲得している。
- なお、長らく発売が延期されていたNew ZealandことRADEON HD 7990は2013年4月下旬発売である。
- http://northwood.blog60.fc2.com/blog-entry-6058.html
しかし12年中に出ることはなく、実際に製品化され発売されたのは13年4月下旬である。
リファレンスのビデオカードでファンを三機搭載したというのは世界初であると思われる。(2020年代以降のハイエンドでは当たり前になりつつあるが)
ハイエンドであるHD 7970 GHz Editionを二機搭載し、ライバルであるGeForce GTX 690をほぼ同等のパフォーマンスを実現している。
また、何らかの省エネ技術が採用されたのかTDP 250wのRADEON HD 7970 Ghz Editionを二機搭載しながらRADEON HD 6990と同じ8ピンX2の375wの範囲に収まっている。
それと地味な点だがゲームが八本も付属し(それもバイオショックインフィニットなど新作)、これらのタイトルを所有していないならGTX 690と同価格とした場合お買い得感があると思われる。
~(RX200~5000シリーズは省略)~
- RADEON RX Vegaシリーズ
- NvidiaのGTX1000シリーズに対抗するために2017年に発売されたグラフィックカード、HBM2メモリを搭載しており、DirectX12への対応を進めている、VR ReadyということもありVega56でもVRChatでそれなりに動作する。(VRAM8GBという事もあり人の多いワールドはキツイが・・・)Vega56・Vega64とVega VIIなどがある。ゲームの互換性については微妙な所があるようで後述のRX6000シリーズではアップデートで解消されたシェーダー割れ、Google Earth VRではコントローラー部分に大きな白いたまが出て使いづらかったりする。とはいえシェーダーエラーで落ちることは稀。マイニングブームで大量に買い占められたこともあり、マイニングブーム収束後の2020年代前半で、大阪の某所ではマイニング落ちのvega56が中古で5000円で売られていた。(この記事はそのマイニング落ちのグラボを使って試した所感を書いている。なんか変なスイッチが付いていた。)なおこの世代以降のRadeonグラボはSandy世代のマザボだとUEFI非対応のだと動かない模様。
- RADEON RX6000シリーズ
- 2020年10月から発売されているDirectX12対応GPU。久々に謎の半導体メーカーのハイエンド帯とタメを張るモデルが多数出ている他RADEONシリーズグラボで初めてレイトレーシングを積んだ世代、RADEONレイトレーシングは第1世代の為かハイエンドでもレイトレをオンにするとカクつく場面もちょこちょこ(執筆者の場合RX6800/サイバーパンク2077での話)他に7nmプロセスを採用している。最大128MBのInfinity Cache (L3キャッシュメモリ) を搭載する。性能はRX6800の場合でレイトレ以外はRTX3070に勝っている他、ハイエンド帯のVRAMが12GB(RX6700)~16GB(RX6800・RX6900)と謎の半導体メーカーの同クラス帯の8GB~12GBより多いのでVR系のゲーム向けである。
- 発売直後にマイニングブームがやってきてRX6800の場合で発売時の価格が8万円台だったのが12~13万円台になったりしていた。余談だがマイニング上がりのグラボがダイ割れ故障したというのはこの世代のモデル。ただし劣悪な環境で保管・運用されていた為でありドライバの問題などではない。
- RADEON RX7000シリーズ
- 2022年11月から発売されているDirectX12対応GPU。AI処理が2.7倍になった模様。AMDがこれまでCPUで利用してきた「チップレット」(複数のダイを1つのパッケージ上に統合する方式)をGPUにも応用した製品となるらしい。DisplayPort 2.1に対応。RX7600では16GBモデルも発売されており、GPUの性能は求めない割にビデオメモリの性能はやたら求めるVRChat向けのグラボと言えよう。省電力性がRX6000シリーズよりアップしたようだ。ベンチ性能的にRX6000シリーズからそこまで上がった感はない。が、RX6800の性能をRX7700XTが迫っているのは評価できる。
ゲーム機向け
近年のゲーム機のGPUは全てAMD製である。これは対抗のNVIDIAの失態により、プラットフォームを提供する(任天堂/ソニー/マイクロソフト)側のNVIDIAに対する信頼が崩れて自滅したから、という理由がある。
関連動画
関連項目