VRChatとは、仮想空間上で他者とコミュニケーションを取ることができる、VRネットワークサービスである。
「同じVR空間にアバターの姿となって入り、誰かとおしゃべりしながら遊ぶ」だけのシンプルなサービスである。[1]
2017年2月1日にアーリーアクセス版がスタートし、アメリカ サンフランシスコに拠点を置く、VRChat Inc.が開発・運営している。ただし資本のほとんどは台湾のHTC社であり、典型的なベンチャー企業とベンチャーキャピタルの関係である。
これゲームなの?という問がしばしば見受けられるが、前述のようにコミュニケーションツールであり、極論すればチャットツールである。VRChat内でゲームをすることもできるが、基本的にプレイヤーがunityを用いることで作成した有志による遊びである。
キャッチフレーズは、
訳すと「作って、シェアして、遊ぶ」である。
無料で利用できるが、特典を得られる有料プランの「VRChat Plus」も用意されている。
2023年11月からは、ニコニコにおける「クリエイターサポート」に相当する「Paid Subscription」という、クリエイターをユーザーが支援するサービスが開始。
2020年より独自ノードUdonに対応したことでより遊びの幅が広がった。一応Steam上ではMMORPGの枠に括られているが、あくまで便宜上のものなので、深い意味はない。
コロナ禍の巣ごもり需要の影響により2022年1月1日の同時接続数が過去最高の約42000人に到達した。[2]
ユーザーはメタバースをどのように利用しているのか。人気の高いVRチャットは、友人との交流やイベント参加が中心。(中略)プラットフォームごとに目的は異なるが、現実の姿とは違うアバターを設定し、さまざまな活動を行っている。利用者は20~30代の若年層が主だ
VRヘッドセットを用いたコミュニケーションサービスとしての自由度が高い。6DOF対応である。つまり頭を動かせるし、手足を動かしてボディランゲージまで取れる。
手で顔を覆い隠して恥ずかしがることもできるし、踊って歌うこともできる。スティックやキーボード操作、ベースステーションによる身体の移動で自由にワールドを走り回ることができる。
なおVRChatという名前ではあるが、VR機器は必須ではなくキーボードとマウスで操作できるデスクトップモードでも楽しむ事が出来る。
アバターの3Dモデルを用意することで完全に自由なアバターを使用することができる。
モデルを用意せずともゲーム内にはアバターペデスタルと呼ばれるプリセットのアバター選択システムがある。
これらはユーザーがアップロードしたものであり、お気に入りに登録することで自由に着替えることができる。またアバターペデスタルの他にデフォルトで選択できるアバターも公式から用意されており、こちらはAvatar Jamといった公式イベントなどで募集したアバターなどが採用されており、数は年々増えている。
またVR内の空間(ワールドと呼称される)も自分で用意できる。攻殻機動隊のミーティングルームを再現したものや、FF11のサンドリア王国(南サンド)を再現したものなど、好みの空間を使うことができる。
むろん自分で用意できない人はアセットストアで販売されている素材で用意してもいいし、開発側がデフォルトで用意してあるものを使っても良い。
現実世界でいうと、秋葉原や道頓堀、佐賀にある「メルヘン村」[3]、横須賀美術館[4]など再現されている場所も多い。
個人法人関わらず開催するイベントも毎日のように盛んにおこなわれており、アバター集会からワールドツアー・麻雀大会に戦闘機のドッグファイト、ホストクラブに競馬予想…
遊び方は、よく言えば「何でもできる」わるく言えば「何をすればいいかわからない」だが、イベント参加からアバター制作、観光にゲームなどなど十人十色ありプレイヤーごとにスタイルは違うので自分なりの遊ぶ方を模索してみよう。
(中略)女の子の姿をした登壇者がパネルを前に高度な数学の概念を説明している。左右を見渡すと参加者が熱心に耳を傾けている。講演後には個別に集まって会話を楽しむ声も耳に入ってきた。
理系のユーザーが集まって講演をする集会や子育て中のお父さんお母さんが集う交流会の様子など近年ではテレビや新聞のメディア露出が増えてきている。
(中略)現実の劇場型のコンテンツは、コスト面やプロモーション面などで運用が難しくなってきている。しかし、サイバー世界においては、いかなるコンテンツも複数のアバタによって受信されることが空間共有という点で実装されているため、すべてのコンテンツが、劇場型コンテンツになりうるともいえる。しかもアバタというメディアを介して参加するので、ユーザーにかかる負担(チケット料金、交通費、衣料費など)も最小限でできるため、実社会の劇場型コンテンツよりも参加しやすいといえる。(略)
舘 暲 , 佐藤 誠, 廣瀬 通孝 (監修), 日本バーチャルリアリティ学会(編集)
バーチャルリアリティ学 より
引用のとおり、イベント参加・主催のハードルは現実よりかなり低くなっていると思われており個人を中心に盛んに開催されている。
こういったアバターやワールドの製作に当てられるソフトは無料・有料を問わずfbxなどの最適なファイルを出力出来るのならば何でも良くunityを用いて公式サーバーへとアップロードすることで使用可能となる。
ネット上の解説ページや動画も多くあるので是非検索してみてほしい。SDK3とSDK2という2つのアップロード形式が混在しているため注意が必要だ。
VRChat Creator Companion(VCC)というプロジェクトを一元で管理するツールも公開されている。
インターフェイスは多国語対応されているため、OSが日本後になっていれば日本語で表示される。ただしユーザーの割合は、現状は英語が主である。割合からすると海外のユーザーが大多数となるため、なにも考えずにプレイすると異国の言葉ばかりしか聞こえてこないだろう。
しかし、アニメなどの影響により日本語の勉強を行いたいプレイヤーは結構存在し、JPなど日本を示すワードが入ったワールドでは片言の日本語が話されていることもある。
日本人に会いたければイベントカレンダーでイベントが開催されているワールドやチュートリアルワールドに赴くことで案内人と呼ばれる初心者狩りをしている怪しい優しい先輩方に捕まえられることを期待してみよう!
コミュニケーションはボイスチャットが中心だが、中には喋らなかったりボイスロイドや近年ではAIボイスの使用するユーザーもいる。
自分の声で喋るのが苦手だったりする人は、ゆっくりボイスやボイスロイドなどを介して・ボイスチェンジャーを利用する人も多い。
VRならではの特徴として、ボディランゲージが出来る点がある。
喋りたくない・喋れない理由があったりするユーザーは、あいさつで手を振ったり手の形や表情でイエス・ノーを伝えたりなどVR機器の性能範囲内ならいくらでも表現が可能。
中にはワールド設置またはアバター内蔵のペンによる筆談や絵文字・テキストチャットを利用することでも交流可能。
技術面ではマイクロソフト社のAPI「DirectX」を商業ゲームエンジン「Unity」を介して使っているためにMacOSやLinux等の複数基本ソフト、いわゆるマルチプラットフォーム対応ではない問題、アメーバピグPC版(AdobeFlashで3DCG空間再現をしていたが将来のサポート終了に伴うサービス終了)の事例のように大人の事情によりサービスが続けられなくなる可能性(例えばSecondLifeやその後継といわれるSansarといった運営が直接API「OpenGL」や「DirectX」を直接使って3DCG空間を再現しているのでゲームエンジンの仕様変更に左右されにくい)がより高いと考えるのが適当である。
VRChatアカウントはVRChat公式サイトにて右上の「Login」→次に出てくる「Register」→必要事項を記入して「Register Now」を押すことで登録が完了する。 IDとパスワードは忘れないように!
VRChatを起動後、VRChatアカウントかSteamアカウント(またはQuest・VIVE・PICO)かどちらでログインするかを聞かれるがVRChatアカウントでログインする。
Steamアカウントでログインした場合、統合作業が必要となるので手間となってしまうので極力VRChatのアカウントでログインした方がよい。
ログインすると英語のちょっとしたチュートリアルに放り込まれるので、チュートリアルに関してはWiki等を見るかVRChat内の有志による日本語チュートリアルワールドを利用しましょう。
後者の場合、前述のとおり案内人沼の住人と呼ばれる優しい先輩方に出会うこともあるのでついて行ってみましょう。
日本人界隈のホットタイムとして、平日休日問わず日本時間の夜なので夜に行くことをお勧めします。
ユーザーネームについては、公式サイトにて90日に1回変更が可能。(ユーザーネームは、英数字のみならず多種多様な言語で設定可能)
アニメやゲームがオリジナルの二次創作3Dモデルの使用は、基本的に著作権侵害であると考えるべきである。
モデルの作者、あるいは権利保持者が使用許可を出している、親告罪(ここは同人誌即売会と同様)を使って放置している場合は大きな問題にならないが、規約にて明確に禁止している場合はここが問題になってくる。
ゲームのみならずオリジナルのモデル作者の許諾を得ずに無断で配布されている海賊版も多い。
海外と日本では法律も異なるため、違法かな?と思ったらゲーム内で通報するだけに留めるのが吉である。一般論として権利者や合法的に依頼された者以外がむやみに騒ぐ行為は日本国内法が適用されるケースであるならば日本国刑法234条「威力業務妨害罪(3年以下の懲役または50万円以下の罰金)」の疑いが高まると思われる。思わぬブーメランで痛い思いをするので放置プレイが賢いであろう。
権利者や権利者から依頼された場合、必要であればVRChat EULAの8.1項目を読みDMCA(デジタルミレニアム著作権法)を十分理解した上で著作権侵害の申し立てを行う方法も用意されている。
侵害しているようなアバターを使用していると日本人界隈から忌避されやすいので注意。
ワールドによっては怪しいものも多く、信頼できる人・ワールドからクローン(コピー)をしましょう。
もし、ワールドやアバターが「よくないもの」なのか真偽が不明な場合は避けた方が良い。
アバターのみを扱う展示会イベントや作者が許可を出したアバターを集めたワールドも多数あるので覗いてみよう。
VRChatは一般人が通常触らないであろうゲーム開発プラットフォームを利用してアバターをアップロードするという方法をとっている。
なので、Unityに対する知識が必要になってくるためハードルが高く感じられる。
その反面、ユーザーが自由にアバターをカスタマイズできるという点もある。
だが有志のユーザーによって多数の記事やツールが公開されているので年々難易度は下がっている。
自身でUnityを介さずにアバターをアップロードする方法としては、外部サービス(Make AvatarやReady playermeなど)やアバターアップロード代行を利用する方法もある。
しかしアバターにも制約があり、PC向け・Quest(Android)向けで別々にアップロードしないといけない点やPCプラットフォーム向けではアバターのサイズは常識の範囲内で無制限だが、Questプラットフォームでは、10MBと決められており、使えるシェーダーの幅も非常に狭い。
現状はアーリーアクセスということもあり、規制に関しては緩い。ニコニコ動画がYoutubeにタダ乗りしていた時代と言えばお分かりいただけるだろうか。良く言えば自由、悪く言えば無法地帯であったが、過度に心配する必要はない。
場所によっては視界ジャックによって強制的に視界を隠されたり、大音量や強制クラッシュ、アバターの強制変更による操作不能状態に陥るなど、ネットという場所の特性上、俗にいう「荒らし」といった迷惑行為を行うプレイヤーが報告されている。
通報機能などはあるが、基本的にはユーザーに良心が委ねられるため己を守ることが大事でもある。
セキュリティの設定により読み込むアバターの容量の制限を変更したり、ユーザーボイスの設定やブロックなどを活用しましょう。
念のため一度はコミュニティガイドライン[5]に目を通しておきましょう。
VRChatはUnityで読み込める3Dモデル以外はアップロードできず(その他いくつか制約がある)、基本的には自分で作った3Dモデル、あるいは権利者より利用許諾をもらった3Dモデルをアップロードすることが前提となっている。
よって、一部でささやかれている「VRChatはMMDモデルのみを利用して楽しむゲームである」という言説は誤りである。
【VRchat公式規約】
VRChat EULA の 7.User Content がアバターに関する規約になります。
1.アップロードしたアバター等のユーザコンテンツについては、ユーザーが全責任を負う事。
2.ユーザコンテンツをVRChatに投稿した時点で、投稿者はそれの所有者であるか、または正式なライセンス(許可)を所持していることを認める(責任を持つ)ことになる。
3.第三者の著作権を侵害・不正利用するようはコンテンツは禁止。※おおまかにまとめると上記のようになりますが、原文に目を通すようにしてください。
2023年現在、主にBOOTHを使ってVRChat向け創作物の頒布が行われている。日本人が多いワールドにて「新しいの出来たよ」と知らせに来るクリエイターがいたり、アバターのイベントが開催されることがある。
その他、クリエイター自身の作成したワールドでの頒布・クリエイターたちが持ち寄ったりして、アバターを展示したワールドも複数ある。
昨今メタバースが騒がれる中、VRChatに参入する企業が増えている。
代表的なものは株式会社HIKKYによって夏・冬の年2回開催されるバーチャル即売会のVirtual Market(通称:Vket)で、このイベントに企業ブースとして出展する企業が年々増えている。
詳しくはロマンスの神様フェイスダンスを参照。
TikTokで流行っていたロマンスの神様にのせて踊る動画が、2022年6月27日に1ユーザーであるLein.@キノピオPro氏が投稿した顔芸フェイスダンスが火付け役となり、MMD化されニコニコ動画でブームとなった。
これを機に広瀬香美氏本人がVRChatに降臨する事態となり、前項のVketにも出展した。
なお、Vketに出展したブースでは、ゲッダンが踊れるというギミック[6]があった。(期間限定のため現在は来場不可)
その後は定期的にVketに出展し、広瀬香美氏の楽曲などを仮想空間上で踊って触って楽しめるコンテンツとなっている。
UIが英語固定だった時期が長かった関係で、VRChat内で使用される用語も英語をそのまま読んだ”日本語英語”のまま使われることが多い。
用語 | 読み方 |
説明 |
Join | じょいん | 参加の意。フレンドの所に参加する時に「Joinする」と使われる。 |
Instance | インスタンス | 他ゲームでいう「ルーム」や「サーバー」などと似た概念。 同じワールドであっても、部屋が違うため中にいるユーザーも異なる。 |
Invite | いんばいと | 招待状の意。フレンドを自分の所に呼ぶときに使う。例文として「Inviteを送る」 |
Quest | くえすと |
一般的にVRゴーグルの「Oculus Meta Quest2」や「Meta Quest3」のことを指す。Quest単体で遊ぶユーザーのことを「Quest勢」と呼ぶ。 |
フルトラ | - | Full-body tracking(全身トラッキング)の略。従来のVRでは左右のコントローラーと頭のHMDの3点で動くが、フルトラの場合、足や腰などに別途センサーを取り付けてさらに細かな動きを全身(MAX10点)で表現できる。 |
Collider | こらいだー |
Unityでの物理衝突(当たり判定)のコンポーネントの意。 |
ぶいちゃ | - | 日本語読み「ぶいあーるちゃっと」の略称・愛称。転じてVRChatユーザーはぶいちゃ民とも言われる。 |
代表的な言葉を書いてみましたが、VRChat内での用語は他にも多数存在します。
Our Policy on NFTs and Blockchain in VRChatより
VRChat で公式のブロックチェーンまたは NFT を統合する現在または将来の計画はありません。反対の主張には注意してください。
ユーザーが別のプラットフォーム上のアセット(3D モデルや画像ファイルなど)の NFT を購入することを決定した場合、そのアセットが何らかの方法で使用されている限り、他のアセットと同様にVRChat でアセットを利用することが許可されます。利用規約に違反しないもの。
VRChat での NFT やブロックチェーン技術などの無許可の製品やサービスの宣伝、広告、統合、または勧誘は許可されていません。
NFTなどの計画はなく、宣伝なども許可されていない。Steamで開発者向けドキュメントに一部NFTゲームなどのリリースを禁止する項目が追記されたための声明と思われる。
2021年冬に開催された「Virtual market 2021」において一部ブースが撤去される事態となった。[7]
現時点でVRChatユーザーは、3Dモデル(アバターやアイテムなど)をBOOTHなどの外部サイトを介して購入して日本円や米ドルでの現金による経済活動が行われている。
VRChat向けに限らず、BOOTHでは多くの3Dモデルが取引されており、2022年の「3Dモデルカテゴリ」の売り上げがおよそ24億円、取引件数は148万件を記録しており、年々市場は拡大している。 [8]
コミッションプラットフォームである「Skeb」では、VRChatユーザーが自身のアバターの絵を依頼する「うちの子リクエスト」がSkeb全体の約13%を占めており、親和性の高さがうかがえる。[9]
2023年11月からは、ユーザー対クリエイターの経済圏「クリエイターエコノミー」の一環として、VRChat内通貨「VRChat Credit」を利用した「Paid Subscription」誕生したが、現金(ドル)ベースの経済活動となっている。[10]
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最終更新:2024/11/09(土) 02:00
最終更新:2024/11/09(土) 02:00
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