偽書ゲッターロボ ダークネスとは、白泉社の月刊漫画雑誌 ヤングアニマル嵐で連載されていた卑しい漫画作品である。
概要
西川秀明が描く、「ニセモノ」「マガイモノ」であることを強調した、新たなるゲッターロボ漫画。ゲッターロボ・サーガとは全く違う作風が特徴。
ゲッターロボを原作としているが、そのストーリーや世界観は大幅に異なり、ゲッターロボのデザインも独特のアレンジが施されている。また、西川の別作品(「Z MAN」など)と設定や世界観の類似なども多く見られる。
偽書 ゲッターロボDASHから偽書ゲッターロボ ダークネスへ
当初、本作は偽書 ゲッターロボDASHのタイトルで、講談社の月刊マガジンZで2008年9月号から連載されていた。
しかしマガジンZ休刊(2009年3月号で休刊となった)のためか、わずか5回(2009年1月号まで)で連載が終了。ほとんど世界観・キャラ&メカ紹介だけで終わることになってしまった。
その後、ヤングアニマル嵐にて事実上の続編「偽書ゲッターロボ ダークネス」が連載決定。2009年5月発売のヤングアニマル嵐No.6にて、マガジンZ掲載のDASH第1話がエピソード0として別冊付録に、さらに描き下ろしのプロローグ8ページがエピソード0.5として掲載され、本編がヤングアニマル嵐No.7から開始された。
白泉社「K談社ごっちゃんです!」
なお、マガジンZに掲載された分は偽書ゲッターロボ ダークネス 始動編としてジェッツコミックス(白泉社のレーベル)から無事に単行本化された。以下、本記事ではマガジンZ掲載分を始動編と呼ぶ事とする。
あらすじ
浅間山麓で謎の大事故が起き、そのときに発せられた緑色の光によって「全てが蕩けてしまった」。日本は事実上壊滅し、政府もその機能を失い、救いを失った人々は絶望した。
それから8年、緑色の光=ゲッター線の力に溺れた人間の成れの果て「イデア」が暴虐の限りを尽くし、人間はゲッター線照射障害により消えゆく運命にあった。
リョウ・ハヤト・ムサシ。彼ら3人の若者からなる「チーム・ゲッター」は、奪還者(GETTER)となって、ゲッターロボで戦う。すべてを奪ったイデアから、すべて奪い返すために……
エピソードタイトル
- エピソード.0
- エピソード0.5 奪われたモノ
- エピソード.1 卑しき新世界
- エピソード.2 3つのチカラ
- エピソード.3 アスタルテ
- エピソード.4 アスタルテ②
- エピソード.5 アスタルテ③
- エピソード.6 アスタルテ④
- エピソード.7 アスタルテ⑤
- エピソード.8 アスタルテ⑥
- エピソード8.5 とある港にて
- エピソード.9 ハヤト
- エピソード.10 ハヤト②
- エピソード.11 ハヤト③
- エピソード.12 ハヤト④
- エピソード.13 ハヤト⑤
- エピソード.14 ハヤト⑥
- エピソード.15 ハヤト⑦
- エピソード.16 ハヤト⑧
- エピソード.17 ハヤト⑨
登場人物
チーム・ゲッター
- リョウ(了)
- ゲッターIのパイロット。ハヤト曰く「アホ」「クソ」。チーム・ゲッターのリーダー。
- 大岩を持ち上げ巨大なイデアに投げつけることが出来るほどの怪力の持ち主。その腕は鋼鉄の義手になっており、その義手は了を殴ったイデアが逆に壊れてしまうほどに硬い。
- ハヤト
- ゲッターIIのパイロット。各スキル面においてはチーム・ゲッターのリーダーに相応しいらしい。
- 普段は精神安定剤を服用して本性を抑えているが、本性を「覚醒」させて一定時間が経つと「暴走」し、手の付けようがなくなってしまう。そのため、彼の乗るジャガー号には強制拘束帯と精神安定剤(スーパートランキライザー)注入装置が取り付けられている。
- ムサシ
- ゲッターIIIのパイロット。本作のムサシはツインテールの少女(16歳)である。
- 今回のゲッターチームの常識人担当。
ゲッターの関係者
- 早乙女達人
- チーム・ゲッターの司令官にして万能移動要塞ゲット・ボマーの艦長。早乙女博士の息子。
- 冷静沈着でチーム・ゲッターからも信頼されているようだ。
- 敷島博士
- 世界的に有名な科学者で兵器開発者。最強の兵器を作ることが生き甲斐のジジイ。本作のゲッターロボは彼の手による物である。その他にも、プラズマ・シュートなど、多くのメカを開発している。
- こいつだけは見かけもキチガイっぷりも原作通りである。
イデア
本作の敵キャラ。残虐非道。人間を捕まえては痛めつけて喰らう。多くは人間大、もしくはそれよりも大きい程度だが、巨大なイデア、もしくは巨大な身体と融合する人間大イデアも存在する。
知力・体力・精神力の高い人間が何らかの原因でイデアになったらしい。原因はゲッター線が関わっているらしいが、詳しいことは明かされていない。
主に日本(東京)周辺に現れるらしいが、「人間採集」のためにニューヨークに現れることもあった。
- 早乙女賢(早乙女博士)
- 8年前の事故の原因となった男。"光の創造主"。
宇宙の果てに存在するゲッター線の源へ逝くことを目的としており、そのエネルギーを集めるためにイデア達に人間採集命令を下している。 - 本作では原作では無かった早乙女博士の名前を、原作者の名前と同じ「賢」としているほか、達人の回想から、娘のミチル、息子の元気がこの漫画でも存在することがわかっている。
- "御方様"
- "選ばれし者"の長。人間の女性の姿をしている。光と闇のゲッターについて語るが、その正体は不明。
- ザンギ
- 始動編第1話に登場した巨大イデア。東京で部下を使ってイデアの支配に従わぬ人間を虐殺していたが、ゲッターによって殺される。
- ゾブリ
- 始動編第2話〜第5話に登場。人間大のイデア。円盤に乗ってニューヨークでイデアになる素質のある人間を採集していたが、捕らえた人間全員を素質なしとしてミンチにした。その後、ゲッターIIによって部下が皆殺しにされると「発展的撤退である!」と言い訳しながら逃亡。追撃して来たゲッターを円盤の一部を切り離し自爆させるなどして撒こうとする。しかし、海中に逃げ込んだ所でゲッターIIIにとどめを刺される。
- ズジ
- エピソード1に登場したトサカチキン。廃墟のなかで女を犯し、殺していた所にチーム・ゲッター登場。部下を血祭りにされる。巨大イデアと融合するも、あっさりとゲッターIにトマホークで切り刻まれ、ゲッターに人間大の本体を握りつぶされて死亡。命乞いをしたり、開き直ったりと醜い最期だった。
- アスタルテ
- エピソード3から登場している超エロい女性型の人間大イデア。巨大イデアを自爆させて半径5km以内を消滅させた後、変身して生存者を装い、生存者の捜索に来た了の生命力を搾り取ろうとする。あとエロい。
ゲッターロボ
アンチ・ゲッター線仕様の巨大スーパーロボット。それがゲッターロボである。ゲット・マシンが順番を変えて合体することにより陸・空・海の地形に適した形態に変形する。
本作では各形態を表す数字(1,2,3)がローマ数字で表されている。
ゲット・マシン
小型の戦闘機。リョウの乗る「イーグル号」、ハヤトの乗る「ジャガー号」、ムサシの乗る「ベアー号」。これら3機のゲット・マシンが変形・合体することにより、究極の大殺戮兵器・ゲッターロボになるのだ。
ゲッターI
イーグル、ジャガー、ベアーの順に合体する。唯一空を飛べる形態である。
このゲッターIの操縦だけはリョウが義手をコクピットの機械と融合(?)させて、自身の動きと連動させるマスタースレイブ方式のような操縦法をとっている。
現在明らかになっている武装は、ゲッタートマホークのみ。リョウがアホだからマニュアルを読まないらしく、本編ではほとんどが素手での格闘戦であった。
ゲッターII
ジャガー、ベアー、イーグルの順に合体する。高速で移動し敵を攪乱する。また、腕のドリルで地中を移動することも出来る。
ゲッターIII
イーグル、ジャガーが合体した上に垂直に刺さって合体する。水中戦用の形態。これまでのゲッター3に当たる形態とは異なる合体方法をとる。
ゲッター3形態はOVAなど各媒体でデザインに大きくアレンジが加えられることが多いが、本作でもその傾向が強く見られる。文章では説明しづらいのでお絵カキコなどがあればよいのだが……
主な武装はゲッター・ミサイル、両腕から放つ竜巻で敵を攻撃するゲッター・トルネード。
その他のメカニック
ゲット・ボマー
万能移動要塞。艦長は早乙女達人。ゲッターロボはここから出撃する。
普段は海中に待機していてゲッターの出撃時のみ海上に浮上し、その後は直ぐに海中へと潜行してしまう。
プラズマ・シューター
ゲット・マシン出撃時に使用されるカタパルト。敷島博士が開発したらしい。
第6世代エネルギー プラズマ・ボムスを利用したスーパーレールガンで、大陸間弾道弾の5倍の速さでゲット・マシンを飛ばすことが出来る。
同時多発打ち切り事件
DASH連載当時、幻冬舎のWebコミック誌「MAGNA」でもゲッターロボを原作とする漫画「ゲッターロボ飛焔 〜THE EARTH SUICIDE〜」が連載されていたが、こちらもDASH最終回掲載と同じ月に配信された号で打ち切りとなっている。また、その理由もDASHと同様に「雑誌の休刊」である。
そして虚無へ
2011年に3巻が発刊されたのち、長期間続刊の話が伝わってこなかったが、2014年に4巻が最終巻として発刊された。
物語はゲッターロボパイロットたちが終結するまでのエピソードで終了しており、多くの謎が残され戦いの決着も付かないままとなった。偽書といえど、虚無ることからは逃れられなかったようである。
関連商品
関連項目
- 4
- 0pt